ホームリンク閉鎖。それでも中四国優勝を狙う——愛媛大学アイスホッケー部
愛媛大学アイスホッケー部は、イヨテツスポーツセンターを拠点に活動してきた学生主体のチームです。2026年5月6日にホームリンクが閉鎖され、それからの氷上練習は岡山県への遠征が中心になりました。
専任の指導者がいないなか、練習メニューの作成から遠征の手配、資金面の運営までを学生が担っています。目標は、2026年秋の中四国大会で優勝し、インカレの本戦に出場することです。
ホームリンクを失った今、チームは何を考え、どのように強くなろうとしているのか。今回は、部長の奥瞭太朗さんに話を聞きました。

——愛媛大学アイスホッケー部について概要を教えてください。
部員はマネージャーを含めて19人です。内訳は、2年生が2人、3年生が12人、4年生が4人、大学院生が1人です。
これまでの活動拠点は、2026年5月6日に閉鎖されたイヨテツスポーツセンターでした。閉鎖前は、オフシーズンに火曜夜、木曜朝、土曜朝、シーズン中は火曜夜、土曜朝、土曜夜に氷上練習をしていました。
部員の多くは大学からアイスホッケーを始めています。私自身も大学からアイスホッケーを始めました。最初は分からないことばかりでしたが、先輩や社会人チームの方に教わりながら、少しずつ技術を身につけてきました。

——チームの目標を教えてください。
私たちの目標は、2026年秋の中四国大会で優勝し、インカレ本戦に出場することです。
前回の秋大会は3位でした。あと一歩届かなかった悔しさがあり、今回は覚悟を持って優勝を狙っています。ホームリンクはなくなりましたが、目標は下げていません。限られた練習機会をどう生かすかが、今のチームにとって大事な課題です。
「勝ちたい」「もっと上手くなりたい」という思いが、部員の原動力になっています。試合中はベンチからもよく応援の声が出ます。他大学から試合中に「にぎやかだね」と言われることもあります。それだけベンチも含めて全員が試合に入り込み、勝利に向かって声を出しているのだと思います。
——指導者がいない環境で、どのように練習を組み立てていますか?
私たちの大きな特徴は、専任の指導者がいないことです。練習メニューは、キャプテン、副キャプテン、ホッケーキャプテンを中心に学生が考えています。遠征の日程調整、大会や練習試合の申し込みも学生が行っています。
指導者がいる環境では、練習メニューを受け身でこなしてしまうこともあると思います。しかし、私たちは自分たちでメニューを考え、どうすれば上達できるかを話し合わなければなりません。その分、アイスホッケーに主体的に取り組む力や、自分で課題を見つけて動く力が身についたと感じています。
学生同士でメニューを作っているため、意見交換もしやすいです。練習内容について「ここは変えた方がいい」と感じたら、すぐに次のメニューに反映できます。自分たちに合った練習を組める点は、今のチームの強みです。

——ホームリンク閉鎖後の活動環境について教えてください。
2026年5月6日、ホームリンクだったイヨテツスポーツセンターが閉鎖されました。以降、氷上練習をするには、県外のリンクへ行く必要があります。
今後は、最寄りのスケートリンクがある岡山県への遠征が中心になります。本州に出るだけでも長距離移動が必要になり、移動面では他大学より不利な部分があると感じています。また、リンクでアイスホッケーを体験してもらう機会を作りにくくなり新歓活動にも影響します。。
夏は陸上トレーニングを中心にし、合宿も行う予定です。2026年は秋大会優勝を目指しているため、平均して月2回ほど岡山県への遠征を入れる予定です。岡山のリンクまでは車で約3時間かかります。夕方に出発し、深夜練習後、早朝に愛媛へ戻るため、移動だけで1日が終わることもあります。しかし、氷上に立てる回数が限られる分、1回ごとの練習の質を高める必要があります。
氷上練習が少ない分、ミーティングの回数を増やしています。大学の教室を借り、過去の練習や試合の映像を見ながら、良くなかった場面や改善点を話し合っています。限られた環境でも、練習や試合に向けた準備を積み重ねていきたいです。
——チームの雰囲気や強みについて教えてください。
私たちは少人数のチームなので、学年を越えて距離が近いです。礼儀や規律は大切にしながらも、仲が良いからこそ、言いにくいことも面と向かって伝えられます。
たとえば、後輩から先輩のプレーに対して、意見を言える雰囲気があります。反対に「どうしたらいいですか」とアドバイスも求めやすいです。こうした意見交換が、練習の質に大きくつながっていると感じています。
愛媛県のアイスホッケーに関わる人たちとの距離が近いことも特徴です。社会人チームの方と一緒に練習をしたり、中高生の練習に参加する機会があります。経験が豊富な社会人の方からは、参考になるアドバイスをいただけることが多いです。また、中高生と一緒に練習することで、人数が少ない私たちも試合形式の練習を行いやすくなります。
社会人の方からいただいたアドバイスは、チームのLINEグループで共有しています。マネージャーが撮影してくれた動画はYouTubeに上げてもらい、その映像を見ながら「このプレーはどうだったか」「次は何を意識するか」をミーティングで話し合います。大会前になると、LINEグループ内で活発に意見交換が行われます。

——チームで抱えている課題を教えてください。
課題は大きく二つあります。一つは、指導者がいないなかで技術面をどう向上させるかです。社会人チームとの合同練習や、映像を使った振り返り、ミーティングを活用しています。
もう一つは資金面です。アイスホッケーは、他の競技に比べて費用がかかる競技です。1人あたり年間で約25万円の負担があります。防具の一部はOBの方から譲っていただいたものもありますが、ヘルメット、スティック、スケート靴などは自分でそろえる必要があります。
金銭面の負担が大きく、部活動の継続が難しくなった部員もいます。部の雰囲気や競技の楽しさを伝えるだけでは、部員数の確保やチーム運営を十分に行えないと感じることがあります。
今は大学の課外活動基金を通じた支援窓口を活用し、OBの方々にも状況を伝えています。社会人の方や連盟の方とも話し合いながら、チームの運営方針を探っています。
——大学でアイスホッケーに取り組む中で、得たものは何ですか?
チーム競技は、自分一人だけが同じ方向を向いていても成り立たないことを学びました。部長として、全員が同じ目標に向かえる環境を作る難しさを感じています。
私は高校まで陸上をしていました。陸上は個人競技の面が強く、自分が努力すれば、その分だけ結果につながる感覚がありました。しかし、チームスポーツであるアイスホッケーはそうはいきません。
また、環境は与えられるものではなく、自分たちでつくるものだとも学びました。分からないことは社会人の方に聞き、自由参加の朝練にも参加し、必要な練習環境を自分たちで探しに行く。そうした行動を通じて、主体性や行動力が身についたと思います。
アイスホッケーは、大学から始めても挑戦できる競技です。経験がなくても、上級生や経験者がスケーティングから指導してくれます。ゼロから始める分、どれだけ自分から行動できるかが成長の速さにつながると感じています。

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。
いつも応援してくださり、ありがとうございます。
ホームリンクがなくなった今、社会人の方々やOBの皆さまの支えがこれまで以上に大切になります。
私たちは、皆さまの気持ちに応えられるよう練習に取り組み、2026年秋の大会では覚悟を持って優勝を目指します。これから練習環境は厳しくなりますが、勝つための準備を続けていきます。
入部を考えている学生には、経験がなくても来てほしいです。最初は滑れなくても大丈夫です。私たちも大学から始めた部員が多く、先輩や経験者が基礎からサポートします。アイスホッケーに少しでも興味があれば、一度チームの雰囲気を見に来てください。