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下剋上を胸に再び全国へ——愛媛大学男子ラクロス部 TOP DOGS

1992年に設立された愛媛大学男子ラクロス部は通称TOP DOGSと呼ばれています。このチームは部員全員が大学からラクロスを始めた未経験者で構成されています。昨シーズンにはリーグ戦で2部降格という悔しい結果も経験しましたが、それでも歩みを止めることなく、2026年のスローガンに「下剋上」を掲げ、再び全国の舞台を目指して活動を続けています。

大学スポーツと聞くと、整った環境のもとで競技力の向上を追求する姿を思い浮かべる方も多いかと思います。しかし、愛媛大学男子ラクロス部はそういったイメージとは少し異なった場所で日々競技と向き合っています。今回は、チームスタッフリーダーを務める日内地美夢さんに、現在の取り組みやチームの雰囲気、大切にしている価値観、そしてこれからの目標についてお話を伺いました。

 

 

——チームの概要を教えてください。

 

愛媛大学男子ラクロス部「TOP DOGS」は、1992年に設立された伝統あるチームです。チーム名には、高みを目指して走り続ける犬のように、常に前へ進み続ける存在でありたいという想いが込められています。活動拠点は愛媛大学山越グラウンドです。練習は月水金の朝6時から9時、土曜日は9時から13時まで行っています。リーグ戦や練習試合は主に週末に組まれており、学業やアルバイトと両立しながら活動している部員がほとんどです。

現在の部員数は、1年生11名(マネージャー4名)、2年生9名(マネージャー1名)、3年生9名(マネージャー3名)、4年生8名(引退済み)という構成です。文系3割理系7割のメンバーが集まっています。

 

——みなさんラクロスの競技経験はありますか?

 

TOP DOGSの大きな特徴は、部員全員が大学に入ってからラクロスを始めているという点です。野球やサッカーなど、別競技の経験者は多いものの、ラクロス経験者はゼロです。ラクロスは、クロスと呼ばれるスティックを使ってボールを操り、ゴールを狙う競技で、サッカーに近い広さのコートに加え、ゴール裏も使える点が特徴です。スピードと戦術の両方が求められるため、基礎技術の習得から戦術理解、フィジカル強化まで、積み上げる要素は多岐にわたります。だからこそ、チームでは、当たり前のことを当たり前にやる「凡事徹底」という価値観を大切にしています。

挨拶や時間厳守、用具の管理、練習への姿勢など、競技以前の部分を大切にすることが、結果的にチームの強さにつながると考えています。

 

 

——昨シーズンの降格の経験とそこから生まれたスローガンについて教えてください。

 

昨シーズンでTOP DOGSはリーグ戦の入れ替え戦で敗れ、2部降格という悔しい結果となりました。チームにとって初めての経験であり、大きな悔しさが残る出来事でした。それでも、目標は変わりませんでした。掲げ続けているのは全国出場です。その道のりを象徴する言葉として、2026年のスローガンに選ばれたのが「下剋上」です。まずは、2部リーグで優勝し、1部チームとの入れ替え戦に勝利したいと考えています。そしてその先で、中四国の最強のライバル岡山大学と再び戦うという構想を描いています。この明確な目標が、今のチームを前へ進めています。

 

 

チームのフィロソフィーは「対現(現実と向き合うこと)」です。理想を語るのではなく、現実と向き合い、足りない部分を認めて、改善を積み重ねていく姿勢が再出発を支える土台になっていると感じます。

 

——チームの雰囲気や文化について教えてください。

 

TOP DOGSの最大の強みは、仲の良さと意見の言いやすさです。先輩後輩という立場に関係なく、戦術や練習メニューについて意見が飛び交う環境があります。主将、副主将を中心とした幹部体制に加え、1・2年生のリーダーも運営に関わっています。私はチームスタッフのリーダーとして、選手とマネージャー双方の橋渡し役を担っています。新体制となった今年からは、練習後のミーティングの進め方も変わりました。一人ひとりになぜその動きを選んだのか、どんな意図があったのかを問いかけることで、自然と意見が出る環境をつくっています。スタッフに対しても同様で、2年生スタッフが孤立しないように3年生が積極的に声をかけたり、経験を共有したりするなど、役割を超えた支え合いが根付いています。

 

 

——現在直面している課題は何ですか?

 

TOP DOGSは、競技力向上を目的に、他大学との交流にも積極的です。合同練習を行ったり、徳島大学と合同チームを組んだりと、競技レベルの向上だけでなく、人との繋がりも大切にしています。一方で、大きな課題となっているのが資金面です。年間予算は約170万円となっており、その中でも特に負担が大きいのが交通費です。中四国リーグでは橋を渡る遠征も多く、月によっては交通費だけで20万円、1大会あたりでも10万円以上かかることがあります。現在は、大学運動部を応援してくださるレンタカー会社の利用や、新歓チラシへの協賛をいただくなど、地域の方々に支えられながら活動を続けています。

 

——協賛企業や応援してくださる方へメッセージをお願いします。

 

中四国リーグは遠征が多く、月によってはかなりの費用が必要なため、金銭的な支援はチームの活動そのものを支える土台になっていると思います。また、金銭面での支援だけではなく、保護者の方や企業の関係者の方々が試合会場まで足を運び、声をかけてくださること自体が選手たちにとって大きな励みとなっています。見てくださる方がいるという実感が、苦しい場面で踏ん張る力になっています。これからはただ勝つだけの集団ではなく、挨拶やゴミ拾い、整理整頓といった当たり前のことを徹底し、人としても尊敬されるような存在となっていきたいと考えています。

その姿勢を貫くことで、応援したい、支えたいと思っていただけるチームとなり、いただいている支援に結果と行動の両方で応えていきたいです。

 

 

2部降格という挫折や資金不足という現実がある中でも、TOP DOGSは立ち止まることなく前へ進み続けています。今年度のスローガン「下剋上」という言葉には、勝利への執念だけではなく、自らの在り方を見つめ直し、チームを根本から変えていこうという強い意思が込められているように感じました。彼らの姿からは、勝ち負けだけでない、大学スポーツならではの成長や繋がりの大切さが伝わってきました。