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「人間形成」を掲げ、思考力とデータ分析で練習環境の制約を補う——徳島大学硬式野球部

監督を置かず、選手全員で練習メニューから戦術までを考える徳島大学硬式野球部。四国地区大学野球連盟の1部リーグに所属し、「試合に勝つこと」を大切にしながら、チームのスローガンとして「人間形成」を掲げています。春季リーグでは優勝に届かず、5位という結果に終わりました。秋季リーグでは、優勝と全国大会出場を目標にしています。練習量や環境に制約があるなかでも、全員で意見を出し合う姿勢と、データを活かした戦術でそれらを補ってきました。今回は、主将の野見山蒼太さんに、チームづくりや課題への向き合い方について伺いました。

 

——徳島大学硬式野球部について概要を教えてください。

 

私たちは四国地区大学野球連盟の1部リーグに所属しています。徳島大学の総合グラウンドを拠点に、水曜の朝と金曜の夕方に練習し、週末は試合を中心に活動しています。

1部リーグへ昇格して以降、2季続けて1部に残留しています。大きな特徴は、監督を置かず学生だけで運営していることです。練習メニューから練習試合の相手まで、選手全員で考えて決めています。

理系の学生が多く、勉強と両立しながら野球に取り組む部員がほとんどです。

 

——チームとして掲げている目標を教えてください。

 

秋季リーグで優勝し、全国大会に出場することを目標にしています。春季リーグでも優勝と全国大会出場を目指していましたが、結果は5位に終わり、悔しさの残る結果となりました。その悔しさをぶつける場が、秋のリーグだと考えています。

四国地区の秋季リーグでは、四国で優勝した後に中国地区の代表と代表決定戦を戦う必要があります。この試合に勝たなければ全国大会には出場できません。春よりも全国への道のりは長くなりますが、チーム全員で勝ち抜くつもりです。

 

——「人間形成」をスローガンに掲げている理由を教えてください。

 

野球がうまいだけでは、一人の人間として十分とはいえないと考えているからです。このスローガンは前の代の主将が掲げたもので、大学生として、社会人として、一人の人間として成長したいという思いから生まれました。

私自身も、人との関わり方を含めて、恥ずかしくない人間になりたいと考えています。具体的には、試合前の挨拶や礼儀を大切にし、自分の道具やベンチの整理整頓にも気を配っています。

試合の合間には、全員で同じ場所に集まり、他チームの試合を見るようにしています。野球の実力ではまだ届かない部分があっても、こうした姿勢では他大学に負けないようにしてきました。

応援されるチームになれているかどうかを、人間形成の一つの目安にしています。

 

 

——監督がいないチーム運営で、難しさを感じるのはどんなときですか?

 

チームの方向性を一つにまとめるときです。私たちには監督がいないため、最上級生が中心となり、練習メニューから練習試合の相手まで、多くを学生で話し合って決めています。

 

監督のように絶対的な立場の人がいない分、さまざまな意見が出ます。意見が多様であることは強みでもありますが、それらを一つにまとめることに難しさを感じています。

リーグ戦後は、次の目標へ気持ちを切り替えきれていない部員もいます。こうした状況の中で、下級生の意見を受け止めながら、チームがより良い方向へ進むための行動を増やしていきたいと考えています。

 

——技術やフィジカルの面ではどんな課題がありますか?

 

まず、練習量の少なさが課題です。私たちは国立大学で、勉強と両立しながら活動しているため、野球に充てられる時間が限られています。さらに、野球部専用のグラウンドがなく、総合グラウンドを複数の部で共有しているため、練習できる内容や時間にも制約があります。そのため、河川敷のグラウンドも活用しながら練習しています。

こうした状況から練習量をすぐに増やすことは難しいため、一つひとつの練習で何を目的とするのか、試合でどう生かすのかを各自が考えるようにしています。

技術面では、春季リーグで打撃の課題が明確になりました。打率や打席の内容を踏まえ、攻撃の戦術を見直す必要があると考えています。

フィジカル面では、他大学と比べて体格や筋肉量に差があります。この差を埋めるため、これまで個人に任せる部分が大きかったウェイトトレーニングについても、体重管理や測定を取り入れ、チームとして取り組んでいく予定です。

メンタル面では、エラーや凡退の後に気持ちが落ち込んでしまう選手がいる点も課題だと感じています。

 

 

——監督がいないことは、強みにもつながっていますか?

 

はい、大きな強みになっていると思います。自分のプレーを出しやすく、のびのびとプレーに集中できます。

また、学生だけで運営しているため、自分の意見を主張しやすい環境があります。こうした環境があるからこそ、練習前には全員で集まり、これから行う練習の目的や意図を共有してから始めるようになりました。

この取り組みは、「この練習はどういう意図でやっているのか」という後輩の質問がきっかけで始まりました。学生だけで運営しているため何が正解かは分かりませんが、まずは試してみようという姿勢で、柔軟に野球へ取り組めています。

その結果、チームの雰囲気が明るくなり、部員同士の仲の良さにもつながっていると感じます。

 

——チームで考えて野球に取り組んでいると感じるのはどんな場面ですか?

 

相手の分析を生かした打席や配球の場面です。私たちは試合前のミーティングで、相手バッテリーの配球や打者・投手の特徴を全員で共有しています。分析は主将が中心となって進めています。

この進め方は、高校時代にデータを重視する野球を経験したことがきっかけです。相手を分析した情報があることで、試合中の判断がしやすくなり、気持ちにも余裕が生まれます。

何も知らない相手だと、何をすればよいか分からなくなることがあります。そのため、事前に情報を整理し、共有したうえで試合に臨むことを大切にしています。

 

 

——印象に残っている試合を教えてください。

 

春季リーグで、高知工科大学に勝ったサヨナラゲームです。相手には以前の対戦で敗れており、私はリーグでも大きな存在感のある相手だと感じていました。その相手に競り勝った試合が、一番心に残っています。

終盤の重要な場面でスクイズのサインを選択しました。相手の状況を踏まえて判断し、同点に追いついたあと、次の打者の一打でサヨナラ勝ちにつながりました。事前に準備していたデータや試合中の流れをもとにした判断で、チームにとっても印象に残る場面になりました。

 

——学業との両立はどのように工夫していますか?

 

時間の使い方を工夫しています。授業をしっかり受けることを基本とし、練習がない日は図書館で勉強する部員も多いです。

理系の学生が全体の7割ほどを占めており、3・4年生になると研究室での活動が増えます。4年生になると研究室で過ごす時間が長くなり、練習に参加できなくなって引退するケースが多いです。

3年生が中心となって代替わりするのは、他大学とは異なる特徴だと思います。

 

 

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。

 

いつも徳島大学硬式野球部を応援していただき、ありがとうございます。皆さまの温かいご声援やご支援のおかげで、1部リーグという舞台で最後まで戦い抜くことができています。苦しい場面で背中を押してくださる皆さまの存在が、私たちの大きな力になっています。

ブログやSNSでの発信にも力を入れており、選手一人ひとりが自分の言葉で振り返りや意気込みを発信しています。反応をいただくたびに、応援されていることを実感し、チームが一つになれていると感じます。

これから入部を考えている方へ。私たちは監督がいない分、自分で考えて行動する力を身につけられる環境です。明るく仲が良く、学年に関係なく意見を言い合える雰囲気があります。野球を通して一人の人間として成長したい方と、一緒にプレーできたらうれしいです。

これからも感謝の気持ちを忘れずに精進していきますので、引き続き温かいご声援をよろしくお願いいたします。