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コーチ不在・経験者はごく僅か。それでも大会入賞を続ける組織力とは——上智大学フェンシング部

大学からフェンシングを始めた初心者がほとんど。それでも大会で結果を残し、社会貢献にも挑戦しているのが上智大学体育会フェンシング部です。専属コーチは不在。経験者もごくわずか。それでも、アパッチ杯や北岡杯、関東国公立大会などで着実に成果を重ねています。ソフィア祭出店では準備の難しさに直面し、急遽出店内容を変更するという経験もありました。ですが、成果の裏には、大会で初戦敗退が続き、競技を続けることに悩んだ部員もいます。それでも挑戦を続けてこられたのは、仲間の支えと、自ら学び成長する文化があったからです。今回は、未経験からでも結果を出せる理由と、その挑戦の背景について、主務、渉外長、及びソフィア祭長を務める關紗帆さんにお話を伺いました。

 

 

——上智大学フェンシング部はどんな団体ですか?

 

私たちは四谷キャンパス体育館を拠点に週3回活動している体育会運動部です。創部は1967年と長い歴史を持ちますが、部員減少による休部やリーグ脱退を経験し、2009年に再建されました。現在は約30名規模まで回復し、再び成長を続けています。

スポーツ推薦はなく、部員の多くが大学から競技を始めた初心者です。文系学生が9割を占め、留学志向の強い学生も多く在籍しています。試験前には申告制で練習を休める制度を設けるなど、学業との両立を重視しています。実際にGPA3.0以上を維持している部員も多く、アルバイトと部活動を両立している学生も少なくありません。男女混合で練習を行い、OB・OGや他大学の学生が参加することもあります。学年を越えて意見を言い合える、風通しの良い雰囲気が特徴です。

 

 

——未経験者がほとんどでも結果を出せる理由はなんですか?

 

理由は、部員一人ひとりが主体的に学び、成長する文化が根付いているからです。私たちの部は2025年度時点でも経験者がわずか2名で、ほぼ全員が大学からフェンシングを始めています。それでも初心者向け大会で優勝者を輩出し、インカレ出場者を生み出せているのは、環境に依存するのではなく、自分たちで成長の方法を設計しているからだと思います。

専属コーチがいないため、部員は自分のプレーを動画で撮影し、プロの試合映像と比較しながら分析しています。先輩からのアドバイスをノートにまとめたり、自宅で試合動画を見返したりするなど、自主的に学ぶ姿勢が自然と根付いています。さらに、OBの方が練習や大会に来て個別レッスンをしてくださることもあり、大きな支えになっています。

また、初心者向け大会で上位を目指すという目標が明確で、努力の過程と成果が結びつきやすい環境が整っていることも、結果につながっています。

 

——コーチ不在でも成長できる環境はどう作っていますか?

 

指導者がいない私たちにとって、他大学との交流は成長の大きなきっかけになっています。例えば、國學院大学フェンシング部とは日頃から交流があり、合同練習を行ったり、お互いの練習に参加させてもらったりしています。普段とは違う環境で練習することで、新しいアドバイスをもらえたり、自分の成長を客観的に実感できたりする貴重な機会になっています。

他大学の練習で学んだ内容は、部内に持ち帰り共有します。新しい練習メニューを取り入れる際には、実際に教えてもらった選手に来てもらい、部員全員で練習したこともありました。個人で学んだことを部全体に共有し、全員で実践する。この循環があるからこそ、コーチがいなくても成長し続けられる環境が生まれています。

 

 

——全員役職制の組織運営はなぜ始まったのですか?

 

現在、私たちの部では全員が一つ以上の役職を担っています。この体制が生まれた背景には、部員数の増加があります。以前は部長が多くの業務を担っていましたが、部員が増えるにつれて大会手続きや広報、合宿運営、スポンサー対応、文化祭出店など、必要な業務が一気に増えました。「部長だけでは回らない」という状況をきっかけに、全員が何らかの役割を担う体制へと移行しました。

現在は、公式サイトやSNSを運営する広報、合宿を企画する係、大会の申請や事務作業を担当する係、渉外やスポンサー対応、ソフィア祭の運営など、さまざまな役割があります。部員一人ひとりが役割を持つことで、組織への当事者意識が生まれています。

 

——ソフィア祭出店から学んだことはなんですか?

 

私たちにとってソフィア祭への出店は、大きな挑戦でした。長く参加を見送っていたため、何から準備すればよいか分からない状態からのスタートで、準備物が直前に判明して慌ただしく動く場面も多くありました。

当初はタンフルを販売する予定でしたが、調理工程や衛生管理の難しさが直前に判明し、急遽タピオカへ変更することになりました。この経験から、実現可能性を早い段階で確認する重要性を学びました。

翌年は反省を活かして準備内容を記録し、マニュアル化を進めたことで、負担を減らしながら同程度の売上を達成できました。現在は売上4万円から倍増を目標に、装飾や価格表示の改善、フェンシング体験企画の強化などに取り組んでいます。ソフィア祭は、企画から改善までを実践的に学べる貴重な経験になっています。

 

 

——關さんはフェンシングを続ける中で、挫折を経験したそうですね。どのように乗り越えたのか教えてください。

 

フェンシングを続ける中で、思うように結果が出ず苦しい時期がありました。入部当初は同学年の中でも良い成績を残せていましたが、周囲の成長とともに結果が伸び悩み、初心者向けの大会でも初戦敗退が続き、自分の努力が報われないように感じた時期もありました。さらに仲の良かった同期が退部してしまい、精神的にも大きな影響を受け、部活を辞めたいと感じたこともありました。

そんなとき、先輩や同期が「辞めてほしくない」と声をかけてくれました。その言葉に支えられ、自分を必要としてくれる仲間がいると気づき、もう一度頑張ろうと思うことができました。努力を続けた結果、春に初戦敗退だった大会で秋には4位に入賞することができました。仲間に支えられながら続けた経験は、今ではかけがえのない財産になっています。

 

——パラフェンシングに挑戦する理由はなんですか?

 

私たちは競技としてのフェンシングだけでなく、社会貢献にも力を入れています。その取り組みの一つが、パラフェンシング体験会の開催です。車椅子に固定された状態で行うフェンシングを体験できるイベントで、パラリンピック出場経験のある選手をお招きしたこともあります。

この活動を始めた背景には、「フェンシング界とパラスポーツ界を盛り上げたい」という思いがあります。フェンシングはまだ認知度が高いとは言えない競技ですが、パラフェンシングを知ってもらうことで、競技そのものへの関心も広がると考えています。社会貢献と競技普及の両方を実現できる取り組みとして、今後も継続していきたい活動です。

体験会では、初めて剣を持つ方でも安全に楽しめるよう工夫しており、多くの方に参加していただいています。フェンシングを「観るスポーツ」から「体験できるスポーツ」へ広げていくことが、私たちの目指す姿です。

 

 

——応援してくださる企業の皆さまへメッセージをお願いします。

 

現在のフェンシング部は、部員数の増加とともに成長を続けている発展途上の組織です。役職制度の見直しやイベント運営、備品整備など、より良い環境づくりを進めていますが、フェンシングは用具費用が高く、防具一式を揃えるには約20万円ほどかかります。剣も消耗が激しく、継続的な環境整備が大きな課題となっています。

私たちはリーグ戦2部昇格や部員増加を目指すとともに、パラフェンシング体験会の開催など、競技の普及や社会貢献にも取り組んでいます。これらの活動をさらに広げていくためには、企業の皆さまのご支援が大きな力になります。

フェンシングやパラフェンシングの普及に、ぜひ一緒に取り組んでいただける企業様と出会えたら嬉しいです。ご興味を持っていただけましたら、温かいご支援・ご協力をいただけますと幸いです。

 

 

執筆:ツナカレメディア編集部