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雪国から全国へ。9割が未経験で挑む「全国1勝」——北海道大学アメリカンフットボール部

北海道という厳しい環境の中で、より高みを目指して活動する北海道大学アメリカンフットボール部。

冬になればグラウンドは雪に覆われ、屋外での練習が制限される期間が続きます。それでも北海道大学アメリカンフットボール部は、全国大会での勝利という目標を掲げ、毎年その舞台に向けて挑戦を続けています。部員の9割以上が大学から競技を始めた未経験者というチームでありながら、練習や組織運営、さらには勧誘の方法まで自分たちで見直し、少しずつ前に進んできました。近年は勧誘改革にも取り組み、1年間で53人が入部するなど、組織規模にも大きな変化も生まれています。なぜ彼らはここまで本気で取り組むのか。雪国で戦う日々、学生主体の組織づくり、そして「応援されるチーム」を目指す理由に迫ります。

 

 

——北海道大学アメフト部はどのような団体ですか?

 

北海道大学アメリカンフットボール部は、全日本選手権での1勝を目標に活動している体育会の部活動です。現在は64名の部員が所属しており、週4回のチーム練習に加えて、各自でのトレーニングやミーティングを重ねながらシーズンに向けた準備を進めています。11月の大会を一区切りとして4年生が引退するため、毎年この大会に向けて1年間をかけてチームを作っていく流れになっています。

北海道という土地柄、冬はグラウンドが雪で使えなくなるため、室内練習が中心になります。基礎的な動きや体づくりに時間をかけ、春に雪が解けてから本格的な実戦練習へと移行していきます。環境としては決して恵まれているとは言えませんが、その分、限られた条件の中でどう成長するかを常に考えながら活動しています。

全国大会での勝利は、これまで達成できていない目標です。だからこそ、次こそはその壁を越えたいという思いを共有しながら、日々の練習に取り組んでいます。

 

 

——未経験からでも活躍できる理由を教えてください。

 

北海道大学アメフト部の特徴を一言で表すなら、「ほとんどが大学から競技を始めている」という点です。実際に9割以上が未経験で、高校まで別のスポーツをしていた人が大多数を占めます。野球やサッカーなど運動部出身者が多い一方で、文化部から思い切って飛び込んでくる人も毎年います。

それでもチームとして成り立つのは、アメフトという競技の特性が大きいと感じています。ポジションが細かく分かれていて、ボールに触らない役割もあるほど求められる能力が幅広い競技です。足が速い、体が大きい、視野が広い、判断が早いなど、何か一つでも武器があれば活躍できる余地があります。いわゆる「万能型」だけが評価されるスポーツではありません。

もう一つ大きいのは、想像以上に頭を使う競技だということです。覚える戦術やプレーは膨大で、試合に出るためには勉強が欠かせません。体力だけでは通用しないからこそ、未経験でも努力次第で追いつけます。そういう意味で、大学から挑戦しやすいスポーツだと感じています。

 

 

——雪国・北海道でどのように練習しているのですか?

 

北海道大学アメリカンフットボール部では、冬の間は屋外での練習ができないため、室内練習を中心に体づくりと基礎強化に徹底的に取り組んでいます。春に雪が解けたタイミングで一気に実戦練習へ移れるよう、冬は「準備の期間」として位置づけています。

北海道でアメフトを続けるうえで最大の制約となるのは、冬の存在です。グラウンドが長期間雪に覆われるため、ボールを使った屋外練習ができない時期が続きます。

平日は朝練があり、時間や規律には比較的厳しい雰囲気があります。特に入部したばかりの頃は、遅刻しないか不安で夜に何度も目が覚めるという話が出るほど、入部当初は大きな緊張感があります。そうした積み重ねが、チーム全体の基準を形づくっています。

また、新入生はすぐに上級生と同じ練習に入るのではなく、一定期間は別メニューで基礎を身につけます。コンタクトスポーツ特有の怖さもあるため、まずは安全にプレーできる体づくりと基本動作を徹底します。雪国という環境の中でも、できることを一つずつ積み上げていく日々が続いています。

 

——60人規模の組織をどのように運営しているのですか?

 

部員は60人を超えていて、いわゆる「大所帯」の部活です。だからこそ、競技だけやっていればいいというわけにはいかず、組織としてどう動くかを学生自身で考え続けています。主将や副将は試合の結果だけでなく、チーム全体の運営に責任を持つ立場です。一方で、技術面を引っ張るリーダーもいるため、役割を分けながらチームを回しています。

運営で一番難しいのは、関わる人の多さです。部員同士はもちろん、OB・OG、遠征や試合に関わる方々、対戦相手など、さまざまな人と関係を築きながら活動が進んでいきます。自分たちが何を目指し、何を大切にしているのかを周囲にきちんと伝えていくことは、想像以上に難しい課題です。

また、バックグラウンドの違う学生が集まっているからこそ、最高学年が行動で示すことを大切にしています。細かい行動や普段の振る舞いまで意識するのは、その積み重ねがチーム全体の基準になると考えているからです。

 

 

——勧誘改革で新たに53人が入部した背景を教えてください。

 

アメフトは、人数が多ければ多いほど強くなる競技です。交代が自由にできるため、選手層がそのまま戦力に直結します。だからこそ、毎年の勧誘はチームにとってかなり重要なテーマになっています。

最近は特に勧誘のやり方を大きく見直しました。まず、他大学の成功事例を調べるところから始まり、東京大学や京都大学の団体に話を聞いてノウハウを持ち帰りました。それをそのまま真似るのではなく、北大に合う形に落とし込んでいったのが大きな転機だったと思います。

新歓パンフレットを制作し、OBの方々から企業広告を募って約90万円の資金も集めました。闇雲に声をかけるのではなく、マーケティングの考え方を取り入れて勧誘を進めた結果、1年間で53人が入部し、部員数は一気に増えました。本気で向き合えば、組織はここまで変わるのだと実感した出来事でした。

 

——部としていま抱えている課題を教えてください。

 

一番大きいのは、やはり資金の部分だと思っています。アメフトは防具が必須で、ヘルメットやショルダーなどを揃えるとどうしても大きな出費になります。新入生には少しでも始めやすい環境を用意したいと思い、OBの方から防具を譲っていただく取り組みを進めていますが、まだ十分な体制とは言えません。新入部員が費用面を理由に挑戦を諦めなくていい状態をつくりたいと考えています。

環境として恵まれているとは言えない中で、それでも全国大会で勝つという目標を掲げています。だからこそ、目の前の課題と向き合いながら一つずつ前に進んでいくことが、今のチームにとって大切なテーマになっています。

 

——アメフトを通じてどんな力が身につきますか?

 

アメフトを続けていると、とにかく「準備すること」の大切さを実感します。全国大会で勝つという目標がある以上、感覚や勢いだけで戦うことはできません。何が足りないのかを考えて、そこから逆算して日々の取り組みを決めていく。この考え方が自然と身についていきます。

特に印象的なのは、対戦相手の分析です。試合映像を見ながら相手のプレー傾向を読み取り、「この場面ではこう動くはずだ」と想定して練習で試していきます。覚えるプレーの数も多く、競技を続けるほど勉強量が増えていく感覚があります。体力や技術だけでなく、戦略的に考え続ける力が求められるスポーツだと感じています。

 

 

——なぜ「応援されるチーム」を目指しているのですか?

 

今のチームでは「OVER(超える)」という言葉を掲げています。全国大会での勝利という目標を超えることはもちろんですが、それと同じくらい大切にしているのが「応援されるチームであること」です。勝つことだけに目を向けるのではなく、周りから応援してもらえる存在でいたいという思いがあります。

そのため、日常の行動にも気を配るようにしています。時間や規律を守ることはもちろん、誰が見ているか分からない場面でも自分たちの振る舞いを意識します。小さな行動の積み重ねが、チーム全体の信頼につながると考えています。

一方で、チームの雰囲気はとても温かいです。先輩後輩の距離は近く、食事に行こうと自然と声を掛け合う文化がありますし、同期同士で集まる時間も多いです。厳しさと人の良さが同居しているところが、このチームの大きな特徴だと思います。

 

——全国大会での1勝を目指す理由を教えてください。

 

北海道大学アメフト部にとって、一番大きな目標は全国大会での勝利です。毎年11月の大会を一区切りとして4年生が引退するため、この舞台が4年間の集大成になります。

ただ、全国大会で勝つことは簡単ではありません。北海道という地域的なハンデがあり、移動距離や環境面で本州の大学とは条件が大きく違います。それでも、だからこそこの目標に意味があると感じています。まだ達成したことがないからこそ、次こそはその壁を越えたいという思いがチーム全体にあります。

1年間の練習も、勧誘も、組織づくりも、すべてはこの大会につながっています。4年生にとっては最後の試合であり、チームにとっては次の世代へ思いをつなぐ場でもあります。1年間のすべてが、この大会につながっていると言っても過言ではありません。

 

 

——企業・支援者の皆さまへメッセージをお願いします

 

北海道という環境もあり、活動の条件が他大学と比べて恵まれているとは言えないのが正直なところです。特にアメフトは防具や遠征費などの負担が大きく、競技を続けるうえで資金面の課題は常にあります。防具一式だけでも大きな費用がかかるため、将来的には新入生が安心して始められる環境を整えたいという思いがあります。

それでも、部員一人ひとりが全国大会での1勝という目標に本気で向き合っています。これまで達成したことのない結果に挑戦しようとしている最中です。環境のせいにするのではなく、自分たちで前に進もうとしているチームだと思っています。

こうした挑戦を応援していただける企業の方と出会えたら、とても心強いです。ご支援いただけることが、全国1勝への大きな推進力になります。