1通のDMが変えた指導者不在の環境。つながりを力に変え、1部昇格に挑む——山口県立大学女子ラクロス部
少人数チームでありながら、過去最多となる17名もの新入生を迎え入れ、合同チームではなく、自分たちだけで大会に出場できる体制を整えた山口県立大学女子ラクロス部。未経験者のみで構成される中、資金面の課題や部員不足といった数々の壁に直面しながらも、対話と独自の工夫を重ね、組織を立て直してきました。
中国・四国リーグ1部昇格という目標に向け、厳しい状況の中で彼女たちはどのようにチームを変えてきたのでしょうか。そこには、仲間や他大学、支援者とのつながりを力に変えてきた日々がありました。
今回は、その歩みについてキャプテンの藤井美優さんにお話を伺いました。

——貴団体について概要を教えてください。
私たちは中国・四国リーグ戦において、現在所属する2部で勝利し、1部へ昇格することを目標に活動しています。中国・四国リーグは1リーグあたり5から6チームで構成されており、1部には岡山大学や広島大学などの強豪校が在籍しています。私たち山口県立大学は全員が大学から競技を始めた未経験者ですが、今年は17名もの1年生が加わり、上級生10名と合わせて総勢27名となりました。現在は週3回、火曜・水曜は18時から21時、土曜は8時から11時に、大学のグラウンドで練習に励んでいます。

——昨年まで直面していた最も大きな壁はどのようなものでしたか?
部員が10名しかおらず、単独で試合に出場できないことでした。大会に出場するためには他県のチームと合同チームを組む必要があり、昨年は愛媛大学と合同チームを結成しました。しかし、山口と愛媛という物理的な距離の壁は大きく、お互いの大学を行き来して合同練習を実施できたのは、試合前の数回のみです。日々の連携を深める時間が圧倒的に足りない中での試合は、常に困難が伴いました。さらに、現場で直接指導してくださる指導者が長らく不在だったことも、学生たちにとって大きなプレッシャーとなっていました。
——指導者が不在の中、練習メニューはどのように工夫されてきたのでしょうか?
練習メニューの考案から未経験者の育成まで、すべて学生だけで手探りしながら行っていました。
幹部陣で話し合い、過去に経験したメニューをベースに組み合わせを変えたりして工夫を凝らしました。また、他大学と合同練習を実施した際に効果的だと感じた練習法を積極的に取り入れ、実践と改善を繰り返す日々でした。

——現在のコーチとはどのような経緯で出会われたのですか?
チームにとって大きな転機となる出会いでした。もともと北海道で本格的にラクロスの指導をされていた方が、仕事の都合で山口県へ赴任されることになり、その方から突然、SNSのダイレクトメッセージで「練習に参加してもよろしいでしょうか」と連絡をいただきました。
最初は、「なぜ私たちのチームに」と驚きを隠せませんでした。しかし、そこから深く関わってくださるようになり、現在では練習にも継続的に参加していただき、私たちにとってかけがえのないコーチとして指導してくださっています。
この出会いは、チームの技術力向上における大きな転機となりました。
——部員のモチベーションが低下した時期には、どう向き合ってきましたか?
遠征費や高額な道具代といった金銭面の負担から、部活動を続けることに思い悩む部員が出た時期がありました。遠征時は貸切バスを利用できるほどの人数ではないため、自分たちで車を運転して移動する必要があり、交通費もかさんでしまいます。金銭的な負担がラクロスの楽しさを上回ってしまいそうなときは、その部員がなぜラクロスを始めたのか、そして本当はどんな目標を持っているのかを、1対1でじっくり聞くようにしました。まずは一人ひとりの話にしっかり耳を傾け、もう一度ラクロスの楽しさを感じてもらえるような対話を最優先で行いました。

——資金面の課題には、どのように向き合いましたか?
ゴーリー(キーパー)の防具など、初期費用が高額なため代々引き継いで使用する道具については、大学の助成金を活用して部費から半額を補助する制度を設けました。さらに昨年は、全国の大学部活動を対象としたオンライン寄付企画「ギビングキャンペーン」に、大学として初めて参加しました。身内や友人に支援を呼びかけるだけでなく、SNSを活用して他大学の団体と連絡を取り、お互いに投票を行うなどの地道な広報活動を続けた結果、約15万円の活動資金を獲得することができました。自分たちの行動で資金の壁を乗り越えた経験は、チームの大きな自信に繋がっています。
——少人数チームだからこそ培われた強みと、キャプテンとしての学びを教えてください。
チームの強みは、少人数だからこそ一人ひとりが基礎練習に多くの時間を使い、高い基礎技術を身につけてきたことです。また、学年の垣根を越えた風通しの良さも大きな強みで、上級生が下級生を支える「メンター制度」を通じて学年を超えた結束力を築いています。
私個人としては、北海道から来てくださったコーチや他大学の仲間など、人との繋がりの重要性を深く学びました。また、チームの現状に合わせて全員が達成できる現実的な目標を立てるべきか、それともあえて高い目標を掲げて練習の基準を引き上げていくべきか、リーダーとして組織の進むべき方向を見極め、決断する力が身についたと感じています。

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。
いつも応援してくださっている関係者の皆様、日頃より温かいご支援をいただき、感謝申し上げます。
私が入部した頃と比べると部員数も大きく増え、ギビングキャンペーンなどを通じて資金面でも活動の幅が広がるなど、チームは着実に良い方向へ進んでいます。
これまで支えてくださった皆様の期待に応えるためにも、リーグ戦では必ず勝利し、結果で恩返ししたいと考えています。
そして、新たに加わってくれた多くの1年生とともに、自分たちだけで大会に出場するという目標を達成し、最後は全員で感謝と喜びを分かち合える最高のシーズンにしたいです。引き続き温かいご声援をよろしくお願いいたします。