実績ゼロから55団体・約500人規模へ。新入生が安心してサークルと出会える新歓の場——新歓祭
「新歓祭」は、関東圏の大学生を対象に、新入生が安心してサークルや学生団体を選べる場をつくることを目的として、2026年に立ち上げられました。さまざまなジャンルの団体が集まり、初年度から55団体が出展しました。実績のない状態からのスタートでしたが、徹底した安全対策と地道な集客活動により、約500人が来場するイベントに成長しました。
2027年以降はさらに規模を拡大し、学生が中心となって継続的に運営できる体制づくりを進めています。今回は、イベントの立ち上げを牽引した、東京経済大学4年生の露崎七海さんに話を聞きました。

——「新歓祭」について概要を教えてください。
「新歓祭」は、4月に開催した新入生向けの合同新歓イベントです。大学公認サークルに加え、大学公認ではないインカレサークルや学生団体も対象とし、新入生がさまざまな団体と交流できる場を提供しています。2026年の開催では55団体が参加し、約500人の新入生が来場しました。参加団体のジャンルは幅広く、女子大生のみで構成されるダンスサークル、カンボジア支援に取り組むボランティア団体、就職活動を支援するビジネス系団体など、多種多様な団体が一堂に集まりました。
ジャンルを問わず幅広い団体を巻き込めることが、私たちの強みだと考えています。
——どのような思いでこのイベントを立ち上げたのでしょうか?
最大のきっかけは、インカレサークルや学生団体を選ぶ新入生の安全を守りたいという思いでした。
大学公認ではない団体の中には、一部で悪質な勧誘やトラブルが発生している現実があります。私の身近にも、インカレサークルでトラブルに巻き込まれた人がいました。
一方で、そうした一部の危険な団体のイメージが先行することで、健全に活動している学生団体にまで人が集まりにくくなっている状況も目の当たりにしてきました。
そこで、新入生が安心して団体の実態を知ることができる場をつくりたいと考えました。いきなり個別の新歓現場に足を運ぶのではなく、まずは安全性に配慮されたイベントの中で各団体を知り、自分に合うかどうかを見極められる導線を整える。それによって、学生の安全を守りながら、健全に活動する団体にも光を当てたいと考えています。

——参加者が安全に楽しめるように、どのような工夫をしましたか?
まず、参加団体の代表者全員に対して、イベントの開催目的や、悪質な勧誘に対する私たちの考えを伝えました。その内容に同意していただいたうえで、参加してもらう形にしました。
開催環境にも配慮しました。会場は密室を避け、中学校の体育館を利用しました。周囲に地域の方や子どもたちの目がある、開放的な場所で開催することで、参加者が安心して過ごせる環境を整えました。
また、提供する飲み物はソフトドリンクのみとし、イベント後の二次会も禁止にしました。開催時間も12時から16時までの4時間に限定してしました。時間が長くなるほどトラブルのリスクも高まりやすくなるため、あえて短い時間に設定しました。
少し物足りないくらいで終えることも、参加者の安全を守るためには大切だと考えています。新入生に純粋にイベントを楽しんでもらい、安心して帰ってもらうための工夫です。
——集客や運営には、どのような苦労がありましたか?
過去の実績がまったくない状態で、参加団体を集めることには苦労しました。自分たちの知り合いのサークルをいくつか集めることはできても、接点のない団体を含めて50以上の団体に参加してもらうのは、簡単ではありませんでした。特に最初の30団体を集めるまでは、手探りの状態が続きました。
SNSでの発信やビラ配りに加え、新入生が集まる他のイベントにも直接足を運び、地道に声をかけて回りました。
団体ごとのスケジュール管理や調整にも苦労しました。当初は約100団体から参加の意思表示がありましたが、実際には日程調整が難航したり、直前で参加を見送ったりする団体もありました。SNSなどで開催に向けたやり取りを進める中でも、想定通りに進まない場面も少なくありませんでした。
また、最終的には55団体に参加していただきましたが、多くの団体の情報を整理し、当日の配置やスケジュールを組む作業も、少人数の運営メンバーにとって大きな負担になりました。

——数多くの団体をまとめる上で、意識していたコミュニケーションはありますか?
自分の考えや現状を、飾らずに正直に伝えることを意識していました。
規模の大きいイベントを実現するには、周囲を巻き込む力が必要です。そのためには、きれいに整った言葉だけで説明するのではなく、「こういう世界をつくりたい」「現状を変えたい」という正直な思いを、自分の言葉で伝えることが大切だと考えています。
実績がない中で大きな目標を語ることには勇気がいります。それでも、本音で向き合うことで、相手に「一緒にやってみたい」と思ってもらえる関係を築けると感じています。うまくいっている部分だけでなく、自分たちに足りていない部分まで隠さずに伝えたことで、多くの人が協力してくれました。
——運営メンバーとの連携や、当日の印象的なエピソードを教えてください。
運営メンバーは、私の同世代を中心に7人で構成しました。私たちは、新型コロナウイルスの影響で大学1年時の新歓シーズンを十分に経験できなかった世代です。だからこそ、自分たちが経験できなかった新歓の文化を、新入生のためにつくりたいという共通の思いがありました。
準備段階では意見が合わず、何度もぶつかることがありました。当初は30人ほどの運営メンバーがいましたが、学業や個人の事情などにより、途中で参加を続けられなくなったメンバーもいます。最終的には7人で運営する形になりました。
それでも当日は、残ったメンバー一人ひとりが受付や進行などの持ち場で責任を持って動いてくれました。私が細かく指示を出さなくても、一人ひとりが自分で判断し、連携しながらイベントを進めてくれたことは、本当に嬉しかったです。
印象に残っているのは、参加団体の方から「これまで人が集まらず活動の継続が難しい状況だったが、今日は入部希望者が多く来てくれて泣きそうになった」と言っていただいたことです。その言葉を聞いた時、このイベントを開催して本当に良かったと感じました。

——協賛企業との関わり方で、意識したことはありますか?
学生と企業が自然な形で出会える空間づくりを意識しました。今回のイベントでは25社から協賛をいただきましたが、企業による登壇時間は設けませんでした。
新歓祭では、学生がサークルを探すために来場しています。そのため、企業側が一方的に情報を伝える形にすると、学生の本来の目的とずれてしまうと考えています。学生への支援や採用を考えてくださっている企業にとっても、本来の魅力が十分に伝わらないのは大きな機会損失です。
そこで会場内では、参加団体のブースの間に、企業ブースを自然な形で配置しました。学生が自分の意思で企業に興味を持ち、無理なくコミュニケーションを取れるようにするためです。企業の方々にもこの方針をご理解いただき、学生との新しい関わり方として協力していただきました。

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。
2026年の開催では、運営メンバーが中心となってイベントをつくり上げました。2027年以降は、100団体・1,000人規模への拡大を目指すとともに、学生主体の運営体制をさらに強化していきたいと考えています。
団体の管理から営業、会場の手配、コンセプト設計まで、学生自身が主体的に関わり、実践を通じて経験を積める場にしていくことが目標です。新しいことに挑戦したい人や、ゼロから大規模なイベントをつくる経験をしてみたい学生には、ぜひ2027年以降の運営に参加してほしいです。
また、学生の活動を支援してくださる企業の方々とも、学生文化に寄り添った新しい連携の形を模索し続けたいと考えています。これからも「新歓祭」が、安全で魅力的な出会いの場として定着するよう活動を続けていきます。引き続き、応援をよろしくお願いいたします。