なぜ京大準硬式は「学生主体」で強くなれるのか。自ら考え動く組織運営の秘密——京都大学準硬式野球部
京都大学という名門校で、主体性を武器に戦い続ける準硬式野球部。戦略立案から組織運営まですべて学生が担う“学生主体”のチームです。
「全国大会出場」という高い目標に向け、彼らが実践する組織論は、ビジネスで求められるスキルの宝庫でした。

——「文武不岐」今年のスローガンに込めた覚悟とタイムマネジメント
彼らは、今年度のスローガンとして「文武不岐」を掲げています。「学業と部活動は相反するものではなく、どちらも同じ道の上にある」。そんな想いを言葉にしたのが「文武不岐」です。このスローガンは、毎年部員同士で話し合い決定しており、彼らの今の決意が表れています。実際に平日の練習は授業を優先とし、学業との両立を図っています。部員のほとんどがアルバイトやインターンシップ、資格試験の勉強にも励んでおり、限られた時間で結果を出すための“時間の使い方”を、日々工夫しています。
——「学生主体」自ら考える文化が育む課題発見・解決力
この組織の最大の特徴は、学生主体の運営にあります。「どうしたら勝てるのか」「個人として結果を残せるか」を全部員が「自分ごと」として考え、意見を出し合う文化が根付いています。特筆すべきは、そのアプローチが非常に論理的であることです。
。部員同士で知恵を出し合い、最新のフィジカルデータ分析やトレーニング理論を積極的に導入しています。昨年度の主将が発案し、専門トレーナーの協力も得ながら、具体的な課題克服に役立てています。これは、自ら課題を発見し、データをもとに仮説を立てて改善するという、ビジネスのPDCAに通じる姿勢です。

——未経験者が最多勝に。多様性を力に変えるチームづくり
準硬式野球は、大学から始める部員も多いのが特徴です。同部も、硬式野球経験者は3割程度で軟式出身者、ブランクのある選手、そして大学から野球を始めた初心者も所属しています。特筆すべきは、その多様性を強さに変えている点です。大学から野球を始めた投手が、リーグ戦で最多勝を獲得したという印象的なエピソードが証明しています。学生主体だからこそ、多様な人材が、それぞれの個性を活かして全員野球で勝利に貢献できる環境を、彼ら自身の手で作り上げています。
——リーダーが実践。主体性を支えるピープルマネジメント
学生だけで組織を動かすことは、もちろん容易ではありません。だからこそ、リーダーたちは信頼関係の構築を最重要視しています。リーダーとして強く意見を言う際には、まず様々な人の意見を聞くよう心がけています。さらに、試合前日にはベンチ入りする全員と話し、モチベーション管理を行うなど、緻密なコミュニケーションを徹底しています。これは、個々のメンバーに寄り添い、組織のパフォーマンスを最大化する高度なピープルマネジメントです。

——最後に
彼らの目標は関西大会を勝ち抜き、全国大会に出場することです。そして「“京大野球”といえば、準硬と言われるようになる」ことです。
学業と部活動を両立しながら、主体性を武器に組織を動かし、結果を追求してきた彼ら。
そこで養われた「課題解決力」は、社会に出た後の大きな武器になるはずです。
執筆:ツナカレメディア編集部