250人の価値観が響き合う“居場所”——早稲田大学SesSion
早稲田大学SesSion(セッション)は、ストリートダンスを軸に活動するインカレサークルです。約250人が所属し、7つのジャンルに分かれて活動する大規模な団体ですが、彼らが大切にしているのは、ダンスの上手さや経験値だけではなく、一人ひとりが安心していられる「居場所」です。初心者から経験者まで、大学や学部、ダンスとの向き合い方もさまざまな学生が集まり、それぞれのペースで活動しています。真剣に作品づくりに打ち込む時間がある一方で、無理をせず関われる余白がある。そのバランスが、学年や経験を問わず多くの学生を惹きつけてきました。
今回は、渉外係の鶴町美晴さんに、活動内容やSesSionならではの魅力、これからの目指す姿についてお話を伺いました。

——団体の概要について教えてください。
早稲田大学SesSionは、ストリートダンスを軸に活動するインカレサークルです。活動場所は高田馬場・新宿・渋谷周辺のダンススタジオで、ジャンルごとに練習しています。現在の所属人数は1年生130名、2年生86名、3年生15名、4年生1名の合計232名(取材当時)。早稲田大学の学生は全体の3〜4割で、残りは他大学の学生です。
特定の大学に偏ることはなく、東京近郊のさまざまな大学から学生が集まっている点も、私たちの特徴です。
取り扱うストリートダンスのジャンルは7つです。ヒップホップやガールズ、ロック、ポップ、ハウス、ワック、ブレイクなど、ストリートダンスの主要ジャンルを幅広く網羅しています。

——ダンス経験者と初心者の割合はどのくらいですか?
経験者が多いというイメージがありますが、初心者から始めるメンバーも多く、全体で見ると約4割が大学からダンスを始めています。
ジャンルによっては半分以上が初心者というところもあります。入会時に自分の好きなジャンルを選び、そこを軸に活動しますが、公演ごとに他ジャンルに挑戦することも可能です。「最初に選んだジャンルに縛られない」のもSesSionの良さだと思っています。
——年間の活動スケジュールについて教えてください。
4月の新歓公演から活動が始まります。6月には早慶戦や六大学をはじめとした大学関連のイベントがあり、8月から9月にかけて夏合宿や夏公演、11月以降には冬の内部イベントや引退公演など、年間を通して多くのイベントがあります。また3月には、JDC(Japan Dancers Campionship)やALL JAPANなどのダンスの大会にも出場。その中でも一番大きなイベントは、9月に開催される夏公演です。夏公演はSesSion単独で行う自主公演で、2023年から3年ほどは福生にある文化センターのホールを使用しています。300〜400人規模の会場で、SesSion全体の集大成とも言える公演です。
——SesSionならではの強みはどこにあると思いますか?
私たちの強みは、一言でいうと「多様性」です。ダンスと遊びを自然に両立している点が、その象徴だと思います。SesSionはショーケース作りに力を入れていますが、同じくショーケースに打ち込んでいる他のサークルと比較すると、より自由で、のびのびとした練習環境が整っています。サークル員同士で遊びに行く機会も多く、全体として明るく和気あいあいとした雰囲気です。また、サークル内部でバトルやサイファーのイベントを活発に行っており、ショーケース以外のスタイルのダンスも大事にしています。多様なダンスの楽しさに触れられることも、SesSionの魅力です。
人数が多く、ジャンルも多様なので、メンバーそれぞれで好みや目的が異なりますが、内部でバトルをしたり、外部の大会やイベントに個人で出たりと、活動の幅が自由に設定できるため“挑戦しやすさ”があります。大学も学部もバックグラウンドもバラバラな点は、それぞれが持っている文化や価値観の違いを生み、その多様性が集まってできあがるショーケースは私たちにしか出せない魅力です。

——団体として大切にしている目標はありますか?
常に意識しているのは『内部からも外部からも愛されるSesSion』であることです。特に2025年は、所属しているすべての学生が、SesSionをかけがえのない「居場所」として捉えられるような、“居心地の良さ”を特に大切にしてきました。
人数の多さゆえに、関わりの少ないメンバーもいます。それでも「出ていないから」「来ていないから」と切り捨てるのではなく、戻ってきたときに受け入れられる場所でありたい、と考えています。
——運営で大変だった経験はありますか?
私たちの代になって初めて、12月末に冬のイベントを開催したことが印象に残っています。初めて執行代表として全体を仕切る立場になり、数百人規模をまとめる大変さを痛感しました。人数が多いと、どうしても話が届かなかったり、「これはやめてほしい」と伝えても伝わりきらなかったりします。その中で、どうやって全体を動かすかを考える経験は、自分の中で成長を感じた瞬間です。
——渉外係の役割について教えてください。
渉外係はスポンサー企業や協賛とのやりとりを行う役割があります。私たちの活動は、公演の参加費だけでは資金的に限界があるため、スポンサー企業や協賛によって資金をやりくりしているからです。特に夏公演は、会場設営や照明・演出なども学生主体であるため、渉外係がメインになって協賛企業に支援を求めています。協賛金額は内容にもよりますが、2〜5万円程度でパンフレットへの広告掲載などを行うことがほとんどです。合宿でお世話になっている宿泊施設や、照明・演出を担当してくださる企業など、長く関わってくださっている方もおり、これからもこの関係性を大切にしていきたいと考えています。
——鶴町さんは、なぜ数あるダンスサークルの中でSesSionを選んだのですか?
実は私がSesSionに入ったのは2年生のときなのですが、高校の同級生が先にSesSionに所属していて、その子の大会を見に行ったことがきっかけでした。舞台を見て「自分もこういう場所に立ちたい」と憧れを持ったのを覚えています。他のダンスサークルもいくつか見に行きましたが、最終的にSesSionを選んだ理由は、雰囲気のあたたかさでした。「ここなら居場所としていられそう」と感じられたことが、入部の決め手になりました。

——SesSionに入ってよかったと感じるのはどんなときですか?
一つは、ダンスが上達する点です。ダンスに対する真剣さは、他のサークルにない強みです。すべてのチームが、公演に向けて真剣に練習に取り組むので、嫌でも上手くなります。
もう一つは、同期や同ジャンルの仲間という居場所ができたことです。私の所属ジャンルは特にあたたかい雰囲気で、公演に出ていない期間があっても、戻ると自然に受け入れてくれます。その空気があるから、続けられていると思います。
——入部を検討している学生へメッセージをお願いします。
ダンス経験があるかどうかは、関係ありません。ダンスを本気でやりたい人や、居場所を探している人にとって、SesSionは居心地の良い団体だと自信を持っておすすめできます。人数は多いですが、その分、必ず自分に合う場所があります。少しでも興味があったら、ぜひ一度体験に来てください。
——応援してくれる方へメッセージをお願いします。
早稲田大学SesSionをいつも応援してくださり、ありがとうございます。SesSionは2005年に創設され、2025年で20周年を迎えました。これまでの20年間で築いてきた歴史を大切にしながら、新しいことにたくさん挑戦する一年にしていきますので、今年もSesSionをよろしくお願いいたします。

250人規模の組織の中で、多様な価値観を受け入れながら一つの舞台をつくる——早稲田大学SesSionでの日々は、ダンスの技術以上に、人と関わる力や、違いを尊重しながら場をつくる姿勢が育まれていました。彼らがSesSionで作った居場所は、社会に出た後も大切な存在になっていくのでしょう。
執筆:青木千奈(株式会社Koti)