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理系女子が証明する「飛べる」という可能性。週5日の朝練習とハードな研究を両立——東北大学女子ラクロス部

かつて航空力学的には「飛べない」とされていたマルハナバチが、自分を信じて羽を動かすことで空を飛ぶ。東北大学女子ラクロス部「HUMBLERS(ハンブラーズ)」のチーム名は、この寓話に由来します。部員の約8割が理系学部という環境下で、彼女たちは朝6時30分から週5日の練習を積み重ねています。現在、最上級生プレイヤーが5名しかいないという課題を抱えながらも、全学一回戦突破という目標に向け、どのように組織づくりと日々の練習に向き合っているのか。主将の鳥崎さんと、渉外担当の岩間さんにお話を伺いました。

 

 

——貴団体について概要を教えてください。

 

私たちは1990年に設立された、東北大学学友会女子ラクロス部です。現在はプレイヤーとスタッフ合わせて約30名で活動しています。練習は週5回、月・水・木・金・日曜日の朝6時30分から行い、主に大学のグラウンドを使用しています。大きな特徴として、部員の比率が文系1に対して理系3という構成があります。医学部や工学部といった研究や実習が多忙な学生が多く、学業との徹底した両立を図りながら、組織運営を行っています。部員ほとんどが大学から競技を始めた未経験者ですが、東北リーグ優勝や、1年生のみで出場する「あかつきカップ」での全国3位など、着実に実績を積み上げてきました。

 

 

——「HUMBLERS」という名に込めた、自分たちに課している役割とは何ですか?

 

チーム名の由来であるマルハナバチは、航空力学的には飛べないはずの蜂ですが、それを知らずに飛べると信じることで、空を飛ぶ存在として語られています。

私たちHUMBLERSも 「限界を決めずに挑み続ける」 という想いを大切にして、どんな壁も乗り越えられると信じ日々努力を積み重ねています。

私たちHUMBLERSも、「未経験だから」「理系で時間がない」といったように限界をあらかじめ決めず、挑み続ける集団でありたいという思いを込めて、この名を掲げています。実際、私たちの先輩方の中には、大学からラクロスを始めてボックスラクロス(室内版ラクロス)の日本代表として世界大会に参加した方もいます。未経験からでも自分たちの努力次第で世界レベルに挑戦できるという事実は、私たちの大きなモチベーションとなっています。

 

——最上級生の人数が少ないという逆境の中での工夫を教えてください。

 

今年の私たちの代は、プレイヤーがわずか5名しかいません。この人数では、これまでのトップダウン形式の運営ではチームとして機能しにくくなります。そこで私たちは、1年生から3年生までの後輩たちの力を最大限に引き出すため、組織のあり方を根本から見直しました。上級生がすべてを決めるのではなく、下級生が自発的に意見を出せる環境を作り上げました。

私たちが目指しているのは、全員が「自分がこのチームを動かすエンジンである」という当事者意識を持つようになることです。部員の少なさを、一人一人の強い責任感と、チーム全体が日々成長していくことで補うようにしています。

 

 

——チームとしての一体感を高めるために取り組んでいることはありますか?

 

主体性を引き出すための施策として、恋愛リアリティショーの「今日、好きになりました。」に着想を得た、1対1で対話する企画「ツーショ」を実施しています。これは単なる交流会ではなく、各自の生い立ち、入部した理由、続けている動機、将来どのような人間になりたいか、といった人生観を深く共有する場です。お互いの「行動の源泉」を理解することで、それぞれの主体性を上げ、言いやすい環境をつくるとともに、グラウンド上での厳しい指摘も、単なる批判ではなく「相手の目標を達成するための助言」として機能するようになっていきます。こうした深い相互理解が、試合中の粘り強い連携や、一人ひとりが自分で考えて動く組織文化の土台となっています。

 

——医学部や工学部のハードな学業と、週5日の練習を両立させる仕組みはありますか?

 

部員の8割が理系という私たちにとって、学業との両立は精神論ではなく「仕組み」で解決すべき課題だと捉えています。試験や実習が重なる時期には、計画的に練習を休んで勉強に集中できる「テストオフ(休養制度)」を活用しています。また、同じ学部・学科の先輩や同期と協力して試験対策を行う文化も根付いています。

日々の朝練習を欠かさないための工夫として、学年ごとにLINEグループで「おはようLINE(通称、おはLINE)」を送り合い、返信がないメンバーには即座に電話をかけて起こすようにしています。朝のうちに練習を行うことで、1限の講義や午後の研究活動に支障をきたさないよう、競技と学業の両方に全力を注げる環境を整えています。

 

 

——未経験者が多い中で、東北地区を勝ち抜き全国で戦える強さの秘訣は何ですか?

 

強さの秘訣は、OB・OGやコーチの方々との距離感にあります。多くの先輩方が卒業後も東北大学に残るため、未経験者のつまずきやすいポイントを熟知した指導を、非常に密な頻度で受けられることが大きい要因となっています。練習内容としては、個人の「1 on 1」の能力向上に重点を置いています。オフェンスであれば一人でディフェンスを抜き去る力、ディフェンスであれば一人で守り切る力を徹底的に磨いています。また、渉外活動にも注力しており、地理的ハンデによる遠征費の負担を軽減するため、スポンサー企業との繋がりを自ら開拓しています。

 

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。

 

 

いつも応援してくださり、ありがとうございます。

私たちは、ただラクロスという競技に打ち込むだけでなく、この活動を通じて人間的成長を目指しています。新人戦で全国3位を経験した際の楽しさや一体感を、今度は全学一回戦突破という結果を通して、改めて体感したいと考えています。私たちは、競技力向上だけでなく、チームとして、そして一人の人間としての成長を止めることなく取り組んでいきます。今後とも応援をよろしくお願いいたします。