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「廃校をもっと身近に」増え続けるマイナスをプラスに変える——学生団体廃校文化祭実行委員会CSFの挑戦

 

2011年に設立された学生団体廃校文化祭実行委員会CSFは、「廃校をもっと身近に」を理念に掲げ、​廃校施設の​魅力や可能性を発信する学生団体です。

廃校でのイベント開催や、廃校を活用する企業との連携・発信など、さまざまな活動の背景には、“廃校の可能性を広げたい”という想いがあります。

今回は、代表の唐澤将太さんにお話を伺い、学生たちが何を学びどう取り組んでいるのか、具体的な活動内容やこれからの展望についてお伝えしていきます。

 

——増える廃校、知られない廃校施設の知名度──“もったいない”を力に変えて

 

廃校は年々増加しており、2025年時点で全国に7,500校ほどあるといわれています。しかし、増えた廃校はそのまま放置されているわけではありません。会社の研修施設や少年サッカーの練習場所、水族館として活用される例もあり、学校としての役割を終えた後、別のコミュニティの活動場所として生まれ変わっています。

しかし、世の中の多くの人は、廃校がこれほど活用されていることを知りません。その状況にもったいなさを感じ、より多くの人に、廃校活用の事例や魅力を知ってもらいたいという想いで「廃校をもっと身近に」という理念を掲げています。

 

——東京から全国に届ける、“廃校の魅力”

 

 

学生団体廃校文化祭実行委員会CSFは、東京都豊島区池袋にある「みらい館大明」を拠点に活動しています。現在のメンバーは1年生9名、2年生11名、3年生15名、4年生5名の計40名が在籍しており、文理比は「文系:理系=5:5」です。

主な活動は廃校でのイベント開催や、廃校活用の魅力発信です。2024年に開催されたイベントは「廃校しずく祭」や「紫陽祭」、年間の最大イベントは「校境なき文化祭」です。地域創生局・運営局・広報局・渉外局の4つに分かれて週1回活動しています。

 

——“理念に共感”だけで繋がる仲間たち

 

 

メンバーの特徴について「本当にバラバラすぎて説明できない」と唐澤さんは語ります。

なぜならメンバーの出身や大学、学部はさまざまで、理念に共感した、ただそれだけの共通点で集まっているからです。

ただメンバー同士は仲が良く、プライベートでも交流が盛んです。

出会いのきっかけは理念への共感ですが、活動する中で関わりを深めていくと相手の世界を知り、自分の世界が広がる面白さがあります。実際に文化祭の準備期間中は、普段とは違うメンバーの新たな一面を見つけることが多く、印象に残っているといいます。

卒業後の進路もバラバラなメンバーが、“廃校”というひとつの共通点で繋がるこの活動期間は、かけがえのない時間です。

 

――テーマは“青春×廃校”──世代を超えた空間作り

 

 

毎年秋に開催する「校境なき文化祭」は、2025年12月7日で15回目を迎えます。

校境なき文化祭が当団体の強みである理由は、学生だけでなく行政と連携し、地域を巻き込んだ一大イベントである点です。実際に2024年は、来場者約600名と過去最大級のイベントになりました。大学のサークルや地元のグループを10団体以上招待し、イベント出展やステージ出演など一丸となって文化祭を作り上げています。

準備期間中は、大学も学部もまったく違うメンバーたちが、高校時代の「青春の一コマ」のように、ひとつのものを作り上げていくという学生らしい楽しさを実感できます。

さらに当日は、自分たちが作り上げたコンテンツを、子供から大人までさまざまな人が楽しんでくれるーー世代を越えた人々が、学生のような「青春」の時間を、「廃校」で楽しめることが、地域の活性化や社会貢献につながっていると唐澤さんは語ります。

 

――最後に、学生団体廃校文化祭実行委員会CSFからのメッセージ

 

 

学生団体廃校文化祭実行委員会CSFでは、多様な背景をもつメンバーと共に、廃校を通じた社会貢献ができます。

協賛企業への営業や地元の方々との交流など、コミュニケーション能力・提案力・企画力が求められる場面も多く、卒業後の社会で求められるビジネススキルを日々磨いています。廃校の新たな発見や今後の成長をこれからも発信していきますので、ぜひご参加・ご支援をよろしくお願いいたします。

 

「廃校をもっと身近に」と魅力を発信し続ける、学生団体廃校文化祭実行委員会CSF。ひとつの理念に共感して集まり、”廃校”を通して身につけた幅広い知識や経験は、背景の異なるメンバーや地域に根ざした活動をしたからこそ得られた学びです。ここで得た学びは、社会に出てからもそれぞれの未来をつなぐ架け橋になることでしょう。

 

執筆:青木千奈(株式会社Koti)