全員が未経験からのスタート。伝統校が原点回帰で目指す「九州の頂」——西南学院大学アメリカンフットボール部
部員の全員が文系学部に所属し、かつ大学から競技を始めた未経験者たちで構成されている西南学院大学アメリカンフットボール部。週5日のハードな練習と、合宿中には1日5500キロカロリーを超える徹底した食事管理が求められる過酷な環境の中で、彼らは「九州制覇」という目標に向けて前進し続けています。初心者ばかりの集団が、なぜ九州の頂点を目指す舞台で戦い続けることができるのでしょうか。厳しい練習を乗り越えるための工夫や、組織を一つにまとめるチームビルディングについて、マネージャーの四元梨賀さんに話を伺いました。

——貴団体について概要を教えてください。
私たちは1974年に設立され、現在は田尻グリーンフィールドを拠点に活動しています。1年生から4年生まで合わせて80名を超える部員が在籍していますが、全員が未経験から競技を始めています。
活動は火、水、木、土、日の週5日で、学業やアルバイトともしっかりと両立させながら取り組んでいます。年間スケジュールとしては、1月の初詣と浜辺練習からチームが始動し、春合宿、春のリーグ戦、夏合宿、そして秋のリーグ戦を経て12月に引退を迎えるという流れです。監督がプロチームの代表を務めていることもあり、週末にはその社会人チームと合同で、より実践に基づいた練習を行える非常に恵まれた環境があります。

——今年度の目標と、キャプテンについて教えてください。
今年度は「九州制覇」を目標に掲げています。これまでは九州の枠を超えて関東の強豪校に勝つ「打倒関東」という高い理想を掲げていました。しかし現在は、チームの現状と客観的に向き合い、まずは九州の頂点を取り戻すという原点回帰を決断しました。
この目標を達成するため、今年度はキャプテンの決め方にもこだわりました。まずチームとして「九州制覇」という目標を定めたうえで、その目標に最も強い熱量を持つ人物として選ばれたのが、現在の白石キャプテンです。本人は最初「自分にはできない」と不安がっていましたが、誰よりも九州制覇への思いが強いため、今では練習中も常に目標を口に出し、熱いリーダーとしてチームを強く引っ張ってくれています。
——未経験から強豪校に立ち向かうための戦略を教えてください。
競技の特性上、体を大きくすることが不可欠であるため、合宿中などは1食1500キロカロリー、1日で計5500キロカロリーを摂取する食事トレーニングを行っています。高校時代は野球やサッカーなど様々なスポーツを経験してきた選手たちが、それぞれの基礎体力をベースに、こうした体作りを1年かけて行うことで戦える組織へと成長していきます。
私たちスタッフは、合宿や遠征の調整、施設予約といった運営業務だけでなく、現場での細かなサポートにも力を入れています。
例えば、クォーターバックの練習ではボール出しを行い、体重を増やす必要があるラインの選手には、体重管理のサポートや練習動画の撮影を行っています。さらに、練習後に食べるおにぎりを用意するなど、ポジションごとの課題に合わせたサポートでチームの成長を支えています。

——厳しい練習の中で、チームの士気を高める工夫はありますか?
モチベーションを維持するために、「楽しさをつくること」と「ポジションごとのつながり」を大切にしています。未経験のスポーツで過酷な練習が続くと、どうしても心が折れそうになる瞬間があります。そこで、冬にはクリスマスパーティーでのビンゴ大会、夏には屋外での運動会など、上級生主導で楽しめるイベントを企画しています。
また、大人数の組織をまとめるために、ポジションごとに専属のマネージャーを配置し、そのグループ単位で食事会などを開いています。学年や学部を超えた深いコミュニケーションが生まれることで、雨の日のハードな練習前でも「同期や仲間に会いたいから部活に行こう」と思えるような、温かい居場所づくりを意識しています。
——チームの雰囲気や、選手とスタッフの関係性について教えてください。
男女問わず非常に仲が良く、練習中は高い集中力を持って取り組み、オフの時間は明るく楽しむという、メリハリのある雰囲気がチームの大きな魅力です。
スタッフは現場でのサポートから運営業務まで幅広い役割を担っており、選手が競技に集中できる環境づくりを支えています。その一方で、備品の片付けやゴミの分別といった日々の運営面については、選手自身の主体性をより高めていけるよう、必要に応じて率直にフィードバックを行うこともあります。
こうしたやり取りを遠慮なくできるのは、立場を超えて本音で向き合える信頼関係が築けているからこそだと感じています。選手とスタッフという役割を超えて、互いに支え合いながらより良いチームをつくっていく、家族のような温かいつながりが部全体の支えになっています。

——部活動を通して得られる学びや、印象に残っている試合はありますか?
一番の学びは、全員が同じ目標に向かって進むことの意義です。プレイヤーとスタッフは役割こそ異なりますが、勝利への執念やチームに貢献したいという思いは全く同じです。
それが結果として表れたのが、昨年の遠征で格上と見られていた中京大学に接戦の末に勝利した試合や、雨の中で行われた福岡大学戦での逆転勝利です。どれほど厳しい状況でも、全員で声を掛け合い、最後まで諦めずに戦い抜いた経験は今でも忘れられません。
こうした「仲間のために本気になれる経験」は、社会に出てからも必ず活きると感じています。実際に、地域を支える企業へ多くの先輩方が進んでおり、ここで培った熱意や協調性が社会でも高く評価されているのだと実感しています。

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。
日ごろから私たちを応援してくださり感謝申し上げます。
私たちが日々大切にしている価値観に「感謝を忘れない」という言葉があります。日々の活動は、OBの皆様、後援会や保護者の皆様、そして応援してくださる地域の皆様の多大なるご支援があってこそ成り立っています。ユニフォームやボールの寄付、合宿でのサポートなど、本当に多くの方々に支えられています。
応援してくださる皆様のご期待に応えるためにも、一戦一戦、一つひとつのプレーにこだわり、勝利を追求してまいります。今年度の目標である九州制覇を必ず達成し、全員が本気で目標に向き合う姿を通して、結果という形で恩返しをしてまいります。今後とも変わらぬご支援、ご声援をよろしくお願いいたします。