背中で引っ張る、学業と競技を両立するボクシング――大阪国際大学ボクシング部
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2019年に創部し、部員不足で公式戦への参加を見送った時期を経て、2025年のリーグ戦で団体優勝を果たした大阪国際大学ボクシング部。キャプテンの金井悠斗さんは、練習量だけを追うのではなく、「やめる理由より続ける理由を探す」という言葉を大切にし、部員一人ひとりの向上心を引き出しながらチームを引っ張っています。
部員の多くが未経験から競技を始める中、長時間の拘束を前提とせず、学業やアルバイトとの両立を大切にしながら着実に力をつけてきた大阪国際大学ボクシング部。今回は金井さんに、チームの現状と、後輩を巻き込むマネジメントについて伺いました。

――大阪国際大学ボクシング部の現状について教えてください。
現在は、2部リーグ昇格を目標にしています。現在の人数では、2部昇格に必要な階級数をそろえることが難しい状況ですが、2025年のリーグ戦では団体優勝することができました。2019年の創部後、2021年に初めてリーグ戦に出場して6位、2022年は8位という結果でした。その後は部員不足で2年ほど出場を見送った時期があり、2025年にリーグ戦へ復帰し、団体優勝を果たしました。
――部員数や試合出場までの条件を教えてください。
全学年合わせて13人ほどが在籍していますが、アルバイトなどの事情で練習に参加できる部員は限られていて、日によって参加人数は異なりますが、5人前後で練習することが多いです。
対抗戦は7階級のうち4階級以上で勝利しないと昇格できない仕組みで、今は試合に出られる部員を4人以上そろえることを目指しています。より多くの階級に選手を出せれば、団体戦で戦える選択も広がりますが、人数が限られている以上、まずは試合に出られる部員を安定して増やすことが最優先の課題です。ボクシングはコンディション管理が重要な競技でもあるため、練習に来られなくなった部員に無理に試合出場を求めることはせず、それぞれの体調や生活状況に合わせながら活動しています。

――チームの強みを教えてください。
一人ひとりが課題を持って練習に取り組む向上心の高さが、チームの強みです。対人練習が終わった後も自分からアドバイスを求めたり、シャドーボクシングを続けたりする部員が多く、部員の意欲が高まる中で、練習日も増やしています。練習日以外にも、自主的に道場で練習する部員がいます。競技面では、さまざまな階級の選手が所属しているため、対抗戦で有利な階級構成をつくれることも強みの一つです。幼い頃からボクシングを続けてきた部員が2人いることも、階級を問わずチーム全体の底上げにつながっています。
――新入生の勧誘で工夫していることはありますか。
学内の掲示板にチラシを掲示するほか、日頃からSNSで活動の様子を発信も行っています。2025年のリーグ戦で無敗優勝した実績を発信し、外部コーチを迎えた指導体制もあわせて伝えたところ、2026年度は、6人ほどの新入生を迎えました。未経験からでも競技に挑戦し、試合出場を目指せることを伝えたことも、初心者の入部につながっていると感じています。

――部活動と学業・アルバイトの両立を大切にされているそうですね。
競技中心の生活を送るチームもある中で、自分たちは学業やアルバイト、自分の時間も確保できる活動体制を大切にしています。基礎練習の日と実践練習の日を分けるなど、練習の強度は落とさずにメリハリをつけることで、学業やアルバイトと両立できる部活動を目指しています。将来を見据えたときに、部活以外の経験も積める環境にしておきたいという思いもあります。自分自身もコンビニとピザのデリバリーのアルバイトを掛け持ちしていて、練習がない日はアルバイトや自由な時間に充てています。
――指導体制について教えてください。
未経験者には、経験者がマンツーマンで基礎から指導しています。必要に応じて、以前所属していたジムのトレーナーにも外部コーチとして指導をお願いしています。このトレーナーからは「ボクシングは殴り合いではなく距離の取り合いだ」と教わりました。踏み込んで攻撃した後にすぐ元の距離に戻れば、相手の攻撃が届かない状態をつくれます。大学の公式戦ではヘッドギアを着用しないため、経験の浅い部員は、相手との距離感をつかむまでに時間がかかる場面もありますが、この考え方は今、新入生にも繰り返し伝えています。
フィジカル面では、専門的なフィジカルトレーニングを学んだ経験のある後輩に協力してもらい、そのメニューを取り入れています。少ない回数でも足腰に負荷がかかるスクワットなどを取り入れており、器具を交代で使う待ち時間も、部員同士で声をかけ合いながら過ごすようにしています。
――キャプテンとして、部員を巻き込むために意識していることはありますか。
自分自身が練習量を落とさず、しんどい練習にも率先して取り組むことを意識しています。キャプテンの姿勢は、下級生の練習への向き合い方にも影響すると考えています。しんどい練習も明るい雰囲気で一緒に取り組むことで、受け身で取り組むのではなく、自分から練習したいと思える空気をつくりたいと考えています。
未経験から始めた部員の一人が、しんどい練習にも自分から取り組む姿を見せてくれたことも、チーム全体の雰囲気を良くした大きなきっかけでした。その姿を見て、他の部員たちにも「負けていられない」という空気が生まれています。

――理想とするチームの姿を教えてください。
強さよりも、部員同士がお互いをリスペクトし合えるチームでありたいと思っています。未経験だからといって下に見るようなことは絶対に許さず、経験の有無に関わらず、頑張っている姿そのものを認め合える関係を大切にしています。競技力を高めることと同じくらい、仲間を大切にすることも重要だというのが自分の考えです。練習場には「やめる理由より続ける理由を探す人であってほしい」という言葉を掲げていて、心が折れそうな部員がいたときは、この言葉とともに声をかけるようにしています。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
性格や経験の有無は関係なく、大阪国際大学ボクシング部は日々練習を積み重ねて強くなっています。からでも基礎を学び、試合出場を目指せる環境があるので、興味を持ってくれる学生にはどんどん練習に来てほしいと思っています。これからの試合結果にも、ぜひ注目していただけたら嬉しいです。
未経験の部員が多くを占める中、感覚だけに頼らず「距離の取り合い」という理論を軸に指導し、学業やアルバイトとの両立を前提に組み立てられた練習体制。キャプテン自身が率先して練習に取り組む姿勢も、部員が互いに刺激し合う雰囲気につながっています。強さよりも仲間を大切にするという金井さんの言葉は、競技成績だけでなく、仲間との関わり方も大切にするチームの姿勢が伝わります。これからチームをまとめる立場にある学生にとっても、参考になる考え方ではないでしょうか。
大阪国際大学ボクシング部
キャプテン:金井悠斗
顧問:折目侑基
2019年創部。2021年に初のリーグ戦出場を果たし、2025年のリーグ戦で団体優勝。2部リーグ昇格を目指して活動している。部員は全学年で約13人、うち未経験者が7割を占める。学業やアルバイトとの両立を前提に、外部コーチによる指導と専門的なフィジカルトレーニングを取り入れながら競技力の向上に取り組んでいる。