地域にバレーボールの輪を広げながら、学生主体で1部昇格に挑む——島根大学女子バレーボール部
島根大学女子バレーボール部は、スポーツ推薦のない国立大学でありながら、中国リーグでの1部昇格を目指しています。指導者が常駐していないため、フォーメーションや練習メニューは学生自身で考えています。守備を軸にしたチームづくりや、選手同士でカバーし合う連携を大切にしながら、地元の中・高校生への指導にも取り組んでいます。今回は、広報の戸谷日和さんとキャプテンの鵜飼芽生さんに、チームづくりや日々の活動への思いを伺いました。
——島根大学女子バレーボール部について概要を教えてください。
私たちは、中国リーグ2部に所属しています。島根県内では、大学の部活動として女子バレーボールに取り組む数少ないチームです。そのため、試合相手がなかなか見つからず、地元の高校生に練習相手をお願いすることも多くあります。
目標は、1部リーグへの昇格です。中国リーグの春と秋に開催されるリーグ戦を最も重視しており、特に秋リーグを年間最大の目標としています。
春リーグでは2部で優勝しましたが、その後の入れ替え戦で福山平成大学に敗れ、2部残留となりました。第1・第2セットは相手に主導権を握られましたが、第3セットではリードする場面もあり、悔しさの残る試合でした。この経験を糧に、次こそ昇格をつかみたいと考えています。

——チームが抱える課題は何ですか?
一番の課題は、限られたメンバーでどう戦うかです。私たちの大学にはスポーツ推薦がないため、バレーボールを目的に進学してくる学生が少なく、部員を増やすこと自体が難しい状況にあります。身長のある選手が多いわけではなく、コンスタントに得点を決められる選手も限られています。得点源が一部の選手に偏りやすいので、そこに頼りきりにならず、全員で支え合うことが欠かせません。
1部リーグには私立大学が多く、国立大学はほとんどありません。スポーツ推薦で選手を揃える私立大学に勝つには、限られたメンバーで力を高めていく必要があります。そのため、一人の力に頼るのではなく、全員で協力しながら得点を重ねていくことが重要だと考えています。
——課題に対してどのような工夫をしていますか?
守備を軸としたチームづくりを行っています。選手全員が高さや決定力を備えているわけではないぶん、練習で守備を鍛え、粘り強くつないで得点に結びつけるスタイルを大切にしています。
まず力を入れているのはブロックです。ブロックが機能すると相手の攻撃コースを絞りやすくなり、後ろの守備も動きやすくなるためです。レシーブでは、足を動かしてどこへでも拾いに行くことを全員で意識しています。
フォーメーションを重視した練習も、ほかのチームより多く取り入れています。一人で行う練習だけでなく、後ろに3人入って連携を確認するなど、隣の選手とのつながりを意識しています。レシーブが得意な選手は守備範囲を広げ、苦手な選手をカバーし合うことで、チーム全体の守備力向上を図っています。
——チームの強みはどこにありますか?
限られたメンバーの中でも、絶対的なエースがいることです。その選手は高校時代に全国大会へ出場した経験があり、今もチームの中心として得点を重ねています。ほかにも強いスパイクを打てる選手や、安定してトスを上げられるセッターがそろい、攻撃力は1部のチームにも引けを取らないと感じています。守備で粘って拾い、エースにつないで決める。得点源が限られるぶん、この形をチーム全体で支えることが私たちの戦い方です。

——チームの雰囲気について教えてください。
みんなで話し合いながら練習を進めるのが、私たちのスタイルです。試合の前後はもちろん、練習中でも誰かが「これはどうなんだろう」と疑問を持った時点で自然と話し合いが始まります。プレーと同じくらい、話し合いの時間も大切にしています。一人が一方的に指示するのではなく、全員が納得できるまで意見を出し合うことを意識しています。
上下関係はあまりなく、私たちが上級生であっても、誰もが自由に意見を言える雰囲気があります。先輩に冗談を言う後輩がいたり、空いた時間に急にミニゲームを始める人がいたり、それを少し離れたところから見守る人がいたりと、個性豊かなメンバーがそろっています。
——地域との交流を積極的に行っているそうですね。
はい。地元の高校生や中学生を対象に、バレーボールの指導を行っています。高校生に対しては、松江東高校へ定期的に伺い、練習相手として参加したり、技術指導を行ったりしています。中学生に対しては不定期ではありますが、年に3回ほどバレー教室を開催しています。こちらは練習相手というよりも、メニューを一から自分たちで考え、一つひとつ丁寧に教えることを目的とした活動です。遊びの要素も取り入れながら、楽しく学べるよう工夫しています。
部員には教育学部の学生が多く、実際に教える経験を通して将来のビジョンを具体的に描きやすくなっています。また、自分たちにとっても、人に教えることで基礎を見直すことができるため、非常に有意義な機会となっています。
練習試合などで顔を合わせた中高生が、質問をしに来てくれることも多いです。スパイカーの子からは「どうやって打っていますか」、セッターの子からは「クイックとどう合わせていますか」といった質問をよく受けます。感覚に頼る部分は伝えづらいですが、長く続けてきたからこそ教えられることを、できるだけ分かりやすく伝えるようにしています。
——学生主体で活動して学んだことは何ですか?
自分たちで考えて進める力がついたと感じています。私たちは指導者が常駐していないため、フォーメーションや練習内容を自分たちで決める必要があります。そのため、自然と物事に真剣に向き合い、考えながら進める力が身につきました。
学生主体で取り組んできたことが、実際の成果にもつながっています。監督に頼りきらず自分たちで考えたことで、相手にうまく対応できるようになり、簡単には得点を許さなくなりました。その積み重ねが、2部優勝という結果につながったのだと実感しています。
また、全員が主体的に関わる環境だからこそ、意見も活発に出るようになりました。誰かの考えに対して「それは違うよ」と指摘したり、「次はこうしよう」と提案したりすることで、より良いプレーにつながっています。その分、一緒にバレーボールに取り組んでいる実感が強く、とても楽しいです。

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。
いつもInstagramなどを通じて応援の言葉をいただき、とても励みになっています。保護者の皆さんには送迎をしていただいたり、差し入れをいただいたりして、心から感謝しています。
私たちは、スポーツ推薦のない環境でも、自分たちで考え、工夫を重ねながらバレーボールに取り組んでいます。また、地元の中高生への指導など、競技以外の活動にも積極的に力を入れています。
入部を考えている人にも伝えたいのですが、ここはバレーボールの経験がある人も、これから頑張りたい人も、みんなで意見を出し合いながら成長できるチームです。上下関係を気にせず、自由に意見を言える雰囲気なので、安心して参加してほしいです。一緒に1部昇格を目指しましょう。