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「映像をつくれる」を将来の選択肢に――小樽商科大学映像研究会

大会での優勝ではなく、卒業後の人生で映像制作という選択肢を持てるようになること。それを活動の目的に掲げる小樽商科大学映像研究会は、代表の上野慈人さんが「大学に映像制作を中心に活動するサークルがない」と感じ、2024年に立ち上げた団体です。現在はドラマを中心に制作しながらも、ジャンルを限定しない方針には、選択肢を狭めたくないという明確な理由がありました。上野さんと部員の伊藤さんに、団体の目指す姿と運営で意識していることを伺いました。

 

 

――映像研究会は、どのような団体か教えてください。

 

大会での優勝を目指す団体ではなく、映像制作を、自分の選択肢の一つとして持てるようになってもらうことをゴールに掲げています。将来、仕事やプライベートで、映像を作るという選択肢を持てるようになってほしいという思いです。今はドラマ制作が中心ですが、今後はドキュメンタリー制作にも挑戦の幅を広げていきたいと考えています。作品は学園祭での上映会という形で発表していて、他サークルとコラボレーションした作品を制作したこともあります。

 

――どのような体制で活動していますか。

 

部員は取材時点では23人が所属し、1・2年生を中心に活動しています。1つの作品につき、10人前後のチームで制作することが多く、少ないときは5人ほどでも制作できます。同じ時期に複数の作品を並行して進めることもあります。制作は企画の発案から始まり、脚本づくり、キャスティングを経て撮影に入り、撮影に約1カ月、編集に約2週間ほどかけることが多いです。企画の立て方も作品によってさまざまで、1人がアイデアから脚本まで仕上げるケースもあれば、概要だけを決めて脚本担当に任せるケースもあります。

 

 

――制作を進める上で、大変なことは何ですか。

 

出演者やスタッフの撮影日程を合わせることです。それぞれ履修している授業や空いている時間が違う上に、屋外撮影が多いと天候にも左右されます。共通の連絡ツールで事前に撮影可能日を調整しつつ、それでも決まらない場合は当日に参加できるメンバーを確認して、撮影を行うこともあります。特に経験の浅いメンバーが撮影を担当する場合は、日程調整や現場の段取りまで含めて学ぶ必要があります。

 

――ジャンルをドラマに絞らず、幅広く活動している理由を教えてください。

 

特定のジャンルに特化する活動にも魅了がありますが、私たちはあえてジャンルを絞らないようにしています。ドラマを撮りたい人もいれば、ドキュメンタリーなど、別のジャンルに興味を持つ人もいます。1つのジャンルに絞ってしまうと、特定のジャンルが自分に合わないだけで、「映像制作そのものが向いていない」と感じてしまう可能性もあります。それではメンバーが自分の好きなものを見つける機会を狭めてしまい、団体の目的そのものが達成しにくくなってしまいます。いろいろな選択肢の中から自分が何を選ぶかを考えてほしいので、あえて幅広く活動しています。

 

 

――団体を立ち上げたきっかけを教えてください。

 

大学内に、自分がやりたい映像制作を中心とする団体が見つからなかったことがきっかけです。自分自身、高校時代は放送部で機材に触れる楽しさを知っていたので、大学でも同じような活動をしたいと思い、周囲に声をかけてみたところ、人が集まってサークルとして活動が始まりました。

 

――どのような組織にしていきたいと考えていますか。

 

学年に関係なく対等な立場で意見を出し合いながら、楽しみながらも、より良い作品づくりには真剣に向き合える場所にしたいと考えています。今の課題は、作品を良くするために必要な意見を、学年に関係なく伝え合うことです。出演者やスタッフが疲れてくると、撮り直しをお願いする声をかけづらくなる場面があります。実際、初めての作品では先輩に対して「本当は撮り直したかったけれど言えなかった」という声もありました。監督だけでなく出演者側からも「もう一度やらせてほしい」と言い出せるようになることも大切だと考えています。それぞれが同じ「良い作品を作りたい」という目標に向かって、作品をより良くするために、遠慮せず意見を言い合える空気を少しずつつくっていきたいと思っています。

 

 

――外部との連携で意識していることはありますか。

 

創設期のメンバーで、現在テレビ局に勤務するOBに、講習会や作品への講評をお願いしています。プロの視点が入ることで、映像制作の経験が浅いメンバーでも、構図や撮影方法の意図を理解した上で、表現したい映像を形にできるようになっています。大学から映像制作を始めたあるメンバーは、活動を続ける中で、必要なリテイクを自分から提案できるようになるなど、大きく成長した実感があります。自分たちだけで制作と発表を繰り返していると、気づけない課題もあるため、外部の視点が入ることで初めて改善が進むという学びもありました。現在は限られた機会ですが、今後はもう少し頻度を増やしていきたいと考えています。

 

――伊藤さんが映像研究会に入った理由を教えてください。

 

もともと映像を作ることに興味があり、趣味で自分のダンス動画やイベントの様子を撮って編集していました。この団体に入ることで、そのスキルをさらに高めて、伝えたいことをより分かりやすく伝えられるようになりたいと思ったのが入部の理由です。撮るジャンルも当初のダンス動画から、イベントの様子を伝えるVlog形式の動画まで少しずつ広がってきました。今後は、編集技術の高い先輩からテクニックを学ぶことと、撮影現場で出演者やスタッフとすぐに打ち解けて、より良い作品づくりに向かえる雰囲気をつくれるようになることを目指しています。

 

 

――資金や機材について、今考えていることを教えてください。

 

映像制作をする以上、より幅広い表現に挑戦できる撮影機材をそろえていきたいという思いがあります。カメラや編集用パソコンなど、映像制作に必要な機材を複数そろえるには大きな費用がかかります。複数台揃えたいと考えるとすぐに大きな金額になってしまうため、機材の充実に向けて、外部からの支援も広げていきたいと考えています。それに加えて、映像制作の専門家に限らず、社会人から企画や予算の組み立てについて意見をもらうことにも意味があると考えています。メンバー自身が企画と必要な予算をまとめてプレゼンし、それを社会人に評価してもらうような機会をつくれたら、社会に出てからも役立つ経験になると思っています。

 

小さなサークルとしてスタートしながら、あえてジャンルを絞らずメンバーの選択肢を広げ、OBからの講評も取り入れながら、制作の質を高めてきた小樽商科大学映像研究会。リテイクを指示する勇気や、意見を言い合える空気づくりに向き合う姿勢からは、少人数の組織でも成果と成長を両立させるためのヒントが見えてきます。誰かの指示を待つのではなく、自分たちで環境をつくっていこうとする姿勢は、仲間と一緒に何かをつくる学生にとっても、参考になる考え方ではないでしょうか。

 

小樽商科大学映像研究会 / 代表:上野慈人

大学内に、自分たちが取り組みたい映像制作を中心とした団体が見つからなかったことをきっかけに、2024年に設立。ドラマを中心に、ジャンルを絞らず幅広い映像制作に取り組んでいる。1作品につき5〜10人程度のチームで制作を行う。初代OBによる講習会など外部との連携も取り入れながら、メンバーの技術向上と撮影・編集環境のさらなる充実を目指している。