“ゴルフで人間力を鍛える”——個人とチームの狭間で成長する大阪大学体育会ゴルフ部

 

“ゴルフを通じて人間力を高める”という想いのもと、スキル向上に向けた練習や地域貢献活動に日々励む大阪大学体育会ゴルフ部。

メンタルスポーツとも呼ばれるゴルフにおいて、ただ勝つことだけを目的とせず、責任感を持って自分を律し、誠実にプレーする姿勢を大切にしています。

ゴルフを始める際の“障壁”を下げる工夫や、メンバー間で意識を共有するためのグループ練習など──日々の活動の中にある工夫は、どのように彼らの成長につながっているのでしょうか。

今回は、会計を務める柴田倖暉さんにお話を伺い、活動内容や大切にしている価値観、これからの展望についてお伝えします。

 

——国公立大学から上位リーグを目指して

 

 

大阪大学体育会ゴルフ部は、練習場として多田ハイグリーンゴルフを利用し、ラウンド練習の際には大阪や兵庫など各地のゴルフ場を拠点に活動しています。練習は月・水・金曜日の週3回、いずれも午後7時30分から9時30分までの2時間です。

メンバーは1年生14名、2年生28名、3年生17名、4年生5名の合計64名が在籍しており、文理比率は文系6割、理系4割の構成です。

年間を通して七帝戦やリーグ戦をはじめとする各種大会、合宿に参加しており、男女ともに2部リーグでの活躍を目標に掲げています。2025年の戦績は、秋季男子3部リーグ戦優勝、七帝戦3位、秋季男子2部リーグ戦では6位で残留を果たしました。また、個人戦でもメンバーがMVP受賞するなど、団体・個人ともに成果を挙げています。通常のグループ練習に加え、名古屋大学や神戸大学など他大学との交流戦も定期的に実施しています。

 

——ゴルフを始める“障壁”をなくすために

 

メンバーの約8〜9割は初心者からのスタートです。ゴルフを始める際、最初の“障壁”となるのが道具の購入です。できるだけハードルを下げるため、初期は部所有のクラブや中古を活用し、上達に応じて自分に合う道具へ移行するようにしています。

また、メンバーの多くは、提携先のゴルフ場でキャディのアルバイトを行っています。アルバイトを通じて接客力を養えるだけでなく、勤務後には練習場を無料で利用できるため、技術向上と環境づくりの両面で大きな支えとなっています。

 

——“メンタルスポーツ”で勝ち抜くために、繊細な自分を鍛える

 

「ゴルフはメンタルスポーツです」と柴田さんは語ります。
そもそも、ゴルフには審判がいません。だからこそスコアの申告を例に挙げても、正しいルールを覚えて、自分を律して正しく申告しなければならない。そこには“自律”と“責任感”が求められます。

また、精神の揺らぎが体の動きに直結し、ボールの軌道にまで影響するのもゴルフの特徴です。繊細なスポーツだからこそ、精神面を鍛えることが不可欠です。

大阪大学体育会ゴルフ部では、グループ練習やミーティングを通して部全体の意識をすり合わせ、悩みや課題を共有することで、一人では得られない気づきをチーム全体で育んでいます。

 

——人間性を高める地域貢献の場

 

 

週3回の練習前には、地域貢献活動としてボランティアを行っています。主な内容は、練習先である多田ハイグリーンゴルフにて近隣の小中学生にゴルフを教えることです。 川西市教育委員会・多田ハイグリーンゴルフ・大阪大学体育会ゴルフ部が連携して“部活動を作る”という目的で、数年前から実施しています。

子どもたちにゴルフの楽しさを伝えることは、“未来のプレイヤー育成”というやりがいがあります。また、練習環境を提供してくださる多田ハイグリーンゴルフへの感謝の気持ちを
“恩返し”として形にできる活動でもあります。

 

——温度差・目的差を埋めるグループ練習──楽しみたい人も、勝ちたい人も

 

ゴルフという個人競技を“部活動”として行う中では、メンバーの目的やモチベーションに差が生まれることもあります。「試合で結果を出したい人」「楽しんでゴルフをしたい人」──60名を超える部員がいれば、練習や試合に対する熱量にも違いが生じます。

メンバー同士の温度差・目的差を埋めるために取り入れているのが、“グループ練習”です。学年や実力が異なるメンバーが同じグループで交流し、ゴルフのルールを教え合い、目標を共有することで、メンバー同士の信頼関係も作っています。

 

——最後に、大阪大学体育会ゴルフ部からメッセージ

 

 

私たちは、国公立大学の中でも上位リーグでの活躍を目指し、日々全力で練習に励んでいます。

行動力・団結力、そして責任感を持った誠実な人間性を大切にしながら、感謝の気持ちを結果で示せるよう努力を続けてまいります。今後ともご支援・ご声援のほど、よろしくお願いいたします。

 

 

ゴルフを通じて心身ともに成長し、人間性を磨く大阪大学体育会ゴルフ部。仲間との関わりや地域貢献を通して得た経験は、社会に出てからも「課題解決力」や「協調性」として彼らを支える力になるでしょう。

 

執筆：青木 千奈（株式会社Koti）