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“至心”を胸に、自らが考えて動く少数精鋭チーム——同志社大学体育会アイスホッケー部

 

1932年に設立された同志社大学体育会アイスホッケー部は、“主体性”を価値観に掲げ、少数精鋭で日々練習に励んでいます。

メンバーが自ら考えて動ける組織になるまでに、どんな課題があったのか。

今回は、主将の福井進之助さんにお話を伺い、活動内容や日々の練習で意識しているポイント、これからの目標についてお伝えしていきます。

 

——部の特徴や具体的な活動内容について教えてください。

 

同志社大学体育会アイスホッケー部は、関西大学高槻アイスアリーナや京都アクアリーナ、木下アカデミー京都を拠点に活動しています。練習は火・木曜日の週2回で、23時ごろから開始。土日は試合に充てています(深夜帯の練習が多い点も特徴です)。

メンバーは1年生4名、2年生6名、3年生4名、4年生6名、マネージャー6名の計26名が在籍しており、文理比率は文系8割、理系2割の構成です(取材時)。

「関西制覇」と「インカレベスト8」を具体的な目標に掲げ、日々の練習と試合に取り組んでいます。

 

——スローガンである“至心”に込められた意味や、大切にしている想いを教えてください。

 

 

2025-2026シーズンのチームスローガンは『至心』です。

至心という言葉には、「真心」や「思いやり」の意味が込められています。

年間を通じて大切にしている価値観は、「量より質、質より気持ち」です。限られた練習時間で成果を出すためには、1回の練習の質を高める必要があります。その質を支える基盤として、「練習に向き合う気持ち」を何より重視しています。

実際に私は、練習に対しての気持ちを意識したことで、部活に対しての考えだけでなく学生生活全体の受け取り方が変わっています。メンバー同士の「ありがとう」が飛び合う環境作りや、チームのことを考えて作り上げる練習メニューは、4年間の大学生活をより充実したものにしてくれます。

 

——“土台づくり”にこだわる理由は何ですか?

 

同志社大学体育会アイスホッケー部は、メンバーを班に分け、それぞれに役割を定めて活動しています。主にチームを動かす役職は、主将と主務と副主将が各2名、会計と副主務、副会計が各1名です。

運営を選手主体で回すため、チームは3つの班に分かれています。

 

・分析班:試合動画の撮影・分析、練習メニュー案の提示、個別アドバイス
・広報班:Instagram・TikTok等のSNSを通じた情報発信
・渉外班:ミーティング設定、スポンサー獲得に向けた渉外・営業活動

 

各班に分かれて主体的に動くことで、「自分がチームを支えている」という実感が生まれ、日々の練習への意欲とやりがいにつながっています。

 

——学生自らが練習メニューを作ることにはどんな意味がありますか?

 

 

自分たちで練習メニューを組むことは、一人ひとりの主体性を育てることにつながります。

全員が意見を出しやすい場づくりを意識し、学年を越えて仲良く、練習の議論だけでなく日常の雑談も気軽に交わせる関係性を築いています。

アップの時間はリラックスした雰囲気で進め、各自が力を発揮しやすい準備を整えます。授業で一緒になる機会や、練習後の交流も多く、家族のように何でも話せる関係性が強みです。

一方で、自分たちの意見だけで練習を組むと方向性がぶれることもあります。そこで第三者視点として分析班が課題を指摘し、内容を取り入れることで、常に軌道修正と改善を図っています。

全員がチームのために協力し、“主体的”に動き続ける──その関わりが絆を深めています。

 

——チーム内での意見交換する中でメンバーの特徴がでたエピソードはありますか?

 

チームメンバーは、厳しい意見もしっかり言えることが強みのひとつです。しかし、伝え方が上手い子もいれば、気持ちが先に出てしまって強い言い方になってしまう子もいます。

そんな時に感じるのは、受け取る側のメンバーが本当にいい子ばかりだということです。「感情的にならなくていいよ」「今はこういう状況だから大丈夫だよ」と、自然になだめたり、場を整えてくれるんです。

一人でも大人な対応ができるメンバーがいると、たとえマイナスな言葉が出たとしても、それをプラスに変えていける。そうやって、お互いの言葉を前向きに受け取り直せるのが、このチームの良さです。

 

——チーム全体が主体的に動けるようになるまでに、課題はありましたか?

 

 

少数精鋭であることから、一人ひとりが主体性を持ち、「小さな会社」のように機能する組織づくりを目指しています。しかし、その過程では「組織化」に傾きすぎて“指示待ち”が増えるという課題にも直面しました。

私は一時期、広報班と分析班のリーダーを兼務していたのですが、SNSの投稿を依頼しても誰も動けず、試合直前に慌てて対応する事態が起きてしまいました。「誰かがやってくれるだろう」という思い込みが連鎖し、進捗を把握できていなかったことが原因です。

来年自分がいなくなった後に、主体性がないチームになるのは困ると考え、月1回の全体ミーティングを新設し、班ごとの情報共有時間の確保や、役割・期限・最終責任者の明確化を行いました。結果として、全員で主体性について考えるきっかけになり、メンバー同士で声を掛け合いながら自分から動く人が増えています。

今後も部員の主体性をさらに高め、“指示待ち”から“自ら考えて行動できる組織”を目指していきます。

 

——応援してくださる人に対してメッセージをお願いします。

 

 

日頃より温かいご声援を、誠にありがとうございます。これからも「気持ち」を大切に、愛され、応援されるチームを目指して日々精進してまいります。

今後とも変わらぬご支援・ご声援のほど、よろしくお願いいたします。

 

チーム全員が主体性を持って練習に励む同志社大学体育会アイスホッケー部。“至心”を掲げ、主体性と協調性を磨く同部の挑戦は、競技にとどまらず、社会で自ら道を切り開く力へとつながっていきます。

 

執筆:青木千奈(株式会社Koti)