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短い練習時間でなぜ勝てるのか?学生主体の論理的運営で全国の舞台を目指す——埼玉大学準硬式野球部

埼玉大学準硬式野球部は、文系と理系の学生が混在し、知性と仲の良さを兼ね備えた組織です。彼らは、平日の練習時間がわずか2時間という制約の中で、いかに効率よく成果を出すかを徹底的に追求しています。かつての「楽しければいい」という甘さを捨て、学生自らが監督や主務を担い、論理的な対話を通じて勝利を掴み取りに行く姿は、限られた条件で最大の結果を求められるビジネスの現場にも通ずるものがあります。学生が主体となってチームを運営し、話し合いを重ねながら最適な答えを導き出す姿勢は、この部ならではの強みです。本記事では、埼玉大学準硬式野球部の活動内容やチームの雰囲気、価値観の変化、そして部活動を通じて得られた成長についてお話を伺いました。

 

 

——部の活動概要について教えてください。

 

埼玉大学準硬式野球部は、埼玉大学敷地内を拠点に活動しています。練習は主に月曜・金曜の16時から18時、土曜日は9時から12時に行っています。平日は授業の関係で全員が揃わないことも多く、全体でまとまった練習ができるのは土曜日が中心です。そのため、部員それぞれが空き時間を利用して個人練習に取り組むなど、工夫しながら活動しています。年間スケジュールとしては、2月の合宿を皮切りに、3月の関東大会、4〜5月の春リーグ、6月の決勝トーナメント、8月の大会、9〜10月の秋リーグ、11月の引退試合と、シーズンを通して公式戦が続きます。オフの期間となる12〜1月は、個人に任せたトレーニング期間とし、各自が課題と向き合っています。

 

——チームの特徴や強みはどんなところにありますか?

 

私たちの一番の特徴は、真面目で仲がいいことです。部員数は多くありませんが、その分一人ひとりの距離が近く、学年や学部を越えて自然とコミュニケーションが取れています。普段から一緒に授業を受けたり、食事に行ったりする関係性があるため、練習や試合でも意見を言いやすい雰囲気があります。また、短い練習時間の中で効率を追求している点も強みです。長時間練習ができない分、今のチームにとって何が一番必要かを常に考え、練習内容を取捨選択しています。惰性で練習をするのではなく、一つひとつのメニューに意味を持たせて取り組む姿勢が、チーム力の向上につながっています。

 

——練習内容はどのように決めているのですか?

 

練習内容は、学生同士の話し合いを通して決めています。金曜日に集まったメンバーで意見を出し合い、練習試合や公式戦で見つかった課題を整理した上で、土曜日の全体練習で何に取り組むか決定します。試合期間であれば、実戦で認識した課題を重点的に練習し、オフ期間であれば、全体で取り組める基礎練習や個人のレベルアップにつながる内容を優先します。限られた時間の中でも最大限の成果を出すために、その時々の優先事項を共有し、全員が同じ認識を持って練習に参加できるよう工夫しています。

 

 

——学生主体でチームを運営することの良さは何ですか?

 

埼玉大学準硬式野球部では、チーム運営のほぼ全てを学生が担っています。監督の選出をはじめ、キャプテンや主務、グラウンドやレンタカーの手配、スポンサーの対応、金銭管理に至るまで細かな業務を役割分担しながら進めています。学生だけで組織を動かすことで、意見が通りやすく、現場で感じた違和感や課題にもすぐに気づくことができます。その一方で、学生同士だからこそ気が緩まないように、責任感を持って行動することを大切にしています。特に金銭面の管理などは慎重に行い、甘えの出ない組織づくりを常に意識しています。

 

 

——チームの雰囲気や大切にしている文化について教えてください。

 

チームの雰囲気を一言で表すなら、「高め合い」です。仲がいいからこそ、良いプレーには素直に称賛の声をかけ、改善が必要な場面では遠慮せず指摘し合うことができます。練習や試合では、プラスの声かけを特に意識しています。ミスを責めるのではなく、次につながる言葉をかけ合うことで、全員が前向きにプレーできる環境をつくっています。特別なルールがあるわけではありませんが、自然と声が出る文化が根付いており、その文化が試合中の粘り強さや結果にもつながっていると感じています。

 

——印象に残っている出来事はありますか?

 

以前は、楽しさを重視するあまり、勝ちきれない試合が続いた時期もありました。春リーグでは、6チーム中5位という結果に終わり、楽しさだけで終わってしまっていいのかという悔しさがチーム内に残りました。話し合いを重ねる中で、勝てそうな試合を落としてしまう原因や、終盤のミスの多さに向き合い、同じ方向を向いて勝利を目指そうという意識が生まれました。その結果、練習試合の内容も徐々に良くなり、秋のリーグでは優勝、決勝トーナメント準優勝という結果を残すことができました。

 

 

——部活動を通して得られたものは何ですか?

 

部活動を通して得られた一番大きなものは一生の「ブラザー」と呼べる仲間です。学業やアルバイトと両立しながら、一つの目標に向かって努力する経験は、大学生活の中でもかけがえのないものになっています。また、話し合いを重ねてチームを運営する中で、主体性や責任感、周囲と協力する力も身につきました。これらの経験は、社会に出てからも必ず生きると感じています。

 

——今後の目標を教えてください。

 

私たちの目標は、全国大会で一勝することです。練習量が限られているという課題はありますが、全員でできることを最大化し、個々の質を高めることで、その壁を乗り越えていきたいと考えています。ポジションを固定せず、様々な役割に挑戦することで、少人数でも戦えるチームを目指しています。

 

 

——最後に、応援してくださる方へメッセージをお願いします。

 

私たちは勝つために、本気で野球に取り組んでいます。一つのことを継続し、仲間と共に努力してきた経験は、必ず社会でも力になると信じています。これからも埼玉大学準硬式野球部へのあたたかいご声援をよろしくお願いいたします。

学生主体での運営は、決して楽な道ではありません。意見がぶつかることもあり、責任の重さに悩む場面もあるでしょう。それでも、自分たちで考え、決めて、行動する経験は単なる部活動以上の価値を一人ひとりにもたらしているように感じました。楽しさと勝利を天秤にかけ、悔しさを経て勝利へと目指す彼らが、全国大会への一勝という目標に向けて積み重ねている日々は、結果に関わらず、確実に彼らの糧となっていくはずです。限られた環境だからこそ生まれる主体性と結束力のある埼玉大学準公式野球部の挑戦は、これからも多くの人に勇気を与えてくれるでしょう。

 

 

執筆:ツナカレメディア編集部