“波響”が導く、自分で考え、自分で動くチーム——九州大学男子ラクロス部
九州大学男子ラクロス部「バジェーナ(BALLENA)」は、学生主体の運営と日々の積み重ねを大切にするチームです。
理念である『波響』を軸に、遠征や地域連携など多方面で挑戦を重ね、2025年には日本代表選手も誕生しました。
そんな彼らの目標は「学生日本一」です。
今回は、協賛班である福島駿平さんにお話を伺い、部の特徴や意識していること、これからの目標などをお伝えしていきます。

——九州大学男子ラクロス部の活動概要について教えてください。
九州大学男子ラクロス部「バジェーナ(BALLENA)」は、スペイン語で「クジラ」という意味を持つチームです。メンバーは1年生27名、2年生22名、3年生17名、4年生15名の合計81名(取材当時)。活動拠点は九州大学伊都キャンパス内の専用グラウンドで、平日2〜3日(チームによる)の練習に加え、土日には試合や練習試合が入ります。平日はA・Bチーム、Fチーム(フレッシュマンチーム)に分かれ、それぞれが目標を設定して練習に取り組んでいます。
——年間スケジュールについて教えてください。
1月のシーズン始動から本格的に活動が始まります。2月にはつま恋や関東への遠征で強豪校と対戦し、春の新歓で1年生を迎え、5月には新チームで関西・関東遠征を実施します。夏以降は七大戦や九州リーグが続き、秋には全日本大学選手権(全学)に向けて仕上げていく流れです。特に関東・関西遠征は、“レベルの高い環境”に触れられる貴重な機会で、チーム成長に欠かせないイベントです。
チームの目標は「学生日本一」。先輩たちが築いた土台を受け継ぎ、昨年・一昨年と阻まれている“全学1回戦の壁”を越えるべく、日々の活動に取り組んでいます。

——年間を通して遠征を定期的に取り入れていますが、遠征を重視されている理由を教えてください。
遠征を重視している最大の理由は、「強い環境に触れなければ成長のスピードは上がらない」と考えているためです。九州では強豪校と日常的に対戦する機会が限られるため、関東・関西の大学と試合をする遠征は、チームにとって欠かせない強化の場になっています。
特に関東はレベルが高く、2部・3部の大学であっても常に他大学との練習で切磋琢磨する環境があり、全国上位と変わらないほどの実力があります。だからこそ、積極的に遠征を行い、レベルの高い環境でプレーすることで、自分たちの課題が明確になり、チーム全体の底上げにつながります。
2024年は年に3回2025年は関東・関西へ3回で、中四国へ1回の遠征、そして北海道での七帝戦への参加が実現しましたが、今後はより遠征の数を増やしていきたいです。“地方だから伸びない”ではなく、環境をつくるために自ら動く姿勢を大切する。この意識が九州大学男子ラクロス部の強さにつながると信じています。
——学生主体で部を運営しているとのことですが、具体的な役割や運営体制の特徴はありますか?
九州大学男子ラクロス部は、運営から強化までほぼすべてを学生主体で行っていることが特徴です。役割は主将・部長を中心に、オフェンス幹部、ディフェンス幹部、ゴーリーリーダーなど競技面の役職があります。さらに残りのメンバーは「AD班」「ST班」「OB班」という32つの班に入り、部を支えています。
AD班は協賛活動・OB連携・広報など“チームを外から支える仕事”を担い、ST班はトレーニング管理や戦術分析など“競技力向上のための仕事”を担当、「OB班」はOBの方々との連携・支援依頼・活動報告などを担当します。全員が必ずどこかの班に所属し、役割を持つ仕組みがあるため、自分たちの手で組織を動かしていく文化が根づいています。

——2025年の印象的な出来事として、「日本代表選出」とありますが、詳しく教えてください。
2025年の大きな出来事として、九州大学男子ラクロス部から初めて日本代表選手が誕生しました。選出されたのは、中村優仁選手です。地方大学から日本代表選手が生まれるのは珍しく、部にとって大きな誇りであり、刺激にもなっています。また、この出来事をきっかけに、関東をはじめとする他地域とのつながりも生まれ、チームとしても成長の機会になっています。「自分たちの環境でも日本一を目指せる」という強いメッセージとなり、チームの目標である“学生日本一”への原動力にもなっています。
——部として新たに協賛活動が加わったと伺いました。糸島との取り組みはどのように始まりましたか?
地域企業と大学スポーツをつなぐ取り組みとして、2025年から糸島との協賛活動が本格的にスタートしました。きっかけは、糸島商工会議所に所属するOBの方からのご紹介です。「地元ともっと連携してはどうか」という提案をいただき、部としても“地域に開かれたチーム”を目指したいという思いが重なり、新しい挑戦として取り組むことになりました。
具体的には、糸島の子どもたちと一緒に行う「糸島塾」への参加や、地域イベントのサポートなどを通して交流を深め、大学の枠を越えた学びが得られる貴重な機会となっています。
——新歓活動で印象的な出来事を教えてください。
2025年度の新歓活動では「短期決戦」を掲げて取り組んだ結果、4月前半の段階で一気に40名近くの1年生が入部を決めてくれたことが特に印象的です。一次締め切りを設け、早期入部者にはクロス棒をプレゼントする仕組みを導入したことで、多くの学生が早い段階から入部を決断してくれました。
新歓を通して、既存のメンバーは“自分たちはどんなチームなのか”を改めて言語化する過程で自分たちの魅力を再確認でき、その作業が部員のマインドセット向上にもつながったと感じています。
——チーム理念『波響』について教えてください。
『波響』は、九州大学男子ラクロス部が代々受け継いできた理念です。“我々は目標に向けて努力し、日々の活動に誇りを持って取り組む姿を通して、すべての人々の心を魅了し、感動と幸せを波のように響かせる集団である。”という想いが込められています。練習中の小さな行動、たとえば誰かがゴミを拾えば全員が拾う、上下で集散すれば全員で揃えるといった日々の振る舞いも「波響」を体現する大切な行動です。2025年から始まった糸島との協賛活動への参加や地域との協働も、この理念に根ざした取り組みであり、チームとして最も大切にしている価値観のひとつになっています。

——2025年度のスローガン「BEAT」にはどんな想いが込められていますか?
「BEAT」には、“高鳴る鼓動 碧き炎で歴史を刻む” という意味が込められています。現在のラクロス界は関東一強の状態です。地方チームが全国で勝つことは容易ではないからこそ、私たちは「打ち負かす=BEAT」の精神を掲げ、関東の壁を越える覚悟を明確にしています。
——九州大学男子ラクロス部を一言で表すと何ですか?
「努力」です。一人ひとりが自主練習を欠かさず、上級生・下級生を問わず全員が成長に貪欲です。練習中の声がけや日々の積み重ねへの姿勢からも、“チーム全体で努力を文化にしている” ことを強く感じます。
——日々応援してくださる方々にメッセージをお願いします。
いつも変わらぬご支援・ご声援をお寄せくださるOBOGの皆さま、保護者の皆さま、そして日頃から関わってくださるすべての方々に心より感謝申し上げます。
私たちは2025年12月現在、新シーズンに向けて新体制のもと、日々ミーティングを重ねながら準備を進めています。来季の目標である「学生日本一」を実現するために、日本一にふさわしい練習と日々の行動を、チーム一丸となって積み重ねていきます。
引き続き、温かいご支援のほどよろしくお願いいたします。

日々の小さな行動から地域とのつながり、遠征での挑戦に至るまで、理念『波響』を体現するかのように歩み続ける彼らからは、“自分たちで道を拓く”という強さを感じます。一人ひとりが責任と誇りを持ってチームを育てる姿勢は、社会に出た後も大きな力となり、彼らの未来を支える土台になるはずです。
執筆:青木千奈(株式会社Koti)