物理的な距離を超えて団結し、少人数で成長し続ける仕組みとは——関西大学体育会スキー競技部
2026年に創部100周年を迎える関西大学体育会スキー競技部は、長い歴史を持ちながらも、常に進化を続けてきた伝統校です。冬の競技という印象が強いスキー競技ですが、彼らが最も大切にしているのは雪のない時間の練習の積み重ねです。オフシーズンの努力こそが、短い冬のシーズンでの結果を左右すると考えています。今回は、チームの体制や日々の取り組み、そして100周年を迎える節目のシーズンへの思いについて、主将の細口大翔さんに伺いました。

——チームの概要と体制について教えてください。
関西大学体育会スキー競技部は、現在21名が所属しています。1年生4名、2年生5名、3年生4名、4年生8名で、文系と理系の割合は6:4ほどです。人数は少ないですが、さまざまな学部の学生が集まっています。チームの半数は未経験者で、中にはスキー自体が初めてという選手もいます。運動部経験のある選手は、これまでの経験を活かし、ポイント獲得に向け練習を重ねています。活動拠点は、オフシーズンは関西大学千里山キャンパスの中央グラウンド、パワージムや淀川河川敷などです。全体練習は月・水・金の18時〜20時、土曜日は9時〜11時にパート練習を行っています。雪上シーズンは各パートごとに活動場所が異なり、それぞれが地元や所属する練習拠点で長期合宿を行います。特に、シーズンインとなる時期は年末年始の期間も挟むため、関西出身でないメンバーは、それぞれの地元で練習を行っています。

——どのような競技に取り組んでいますか?
本部では主に3つの種目に取り組んでいます。
まず1つ目が、アルペンです。アルペンは、回転や大回転でポールを通過しながらタイムを競う競技で、現在約10名が所属しています。比較的体格が大きく、瞬発力に優れた選手が多い種目です。
2つ目は、クロスカントリーです。5km・10km・スプリント(1.5kmなど短い距離のタイムを競う)などを走る持久系種目で、現在4名が所属しています。経験者も所属しておりますが、初心者でも持久力などポテンシャルを活かしやすい種目です。
3つ目は、ジャンプです。斜面に設置されたジャンプ台から滑り降りて踏み切り、飛距離とフォーム(空中姿勢・着地姿勢)の完成度を総合的に評価する競技です。現在1名が在籍しており、体の軽さやバランス感覚が求められます。
入部時に本人の適性や希望をもとに話し合い、どの種目にするかを決めています。
——年間スケジュールについて教えてください。
4月〜5月は新歓、6月〜7月は前期練習、8月〜9月は夏合宿、10月〜11月は後期練習を行います。12月中旬からシーズンインし、2月・3月の大きな大会に向けて調整していきます。スキー競技は冬が本番ですが、1年の中ではオフシーズンの方が長いため、夏場は走り込みやウエイトトレーニング、ローラースキー(スキー板の代わりに車輪付きの器具を履き、道路や河川敷で滑走感覚を養う)など基礎体力づくりを徹底しています。全体練習は週に3回と限られていますが、短時間でも質の高い練習を行うことを強く意識しています。雪上シーズンに入ると、各パートや個人ごとに地元や山での合宿に分かれていくため、常に全員が同じ場所で練習できるわけではありません。シーズン中に全員が集まる機会は、数回程度に限られます。

——離れた場所で練習する上で工夫していることはありますか?
物理的に離れていても団結力が揺らがないことが、本部の強みです。誰がどこでどのような練習をしているのかを事前に共有し、互いの状況を把握できるようにしています。距離が離れていてもチームとして戦っているという意識を大切にしています。少人数であるからこそ、部員同士の距離は非常に近く、学年を超えたつながりも強いと感じています。プライベートでも一緒に過ごすことが多く、自然と信頼関係が深まっています。雰囲気は穏やかですが、その内側には互いを本気で認め合おうとする熱い思いがあります。また、OB・OGとの距離が近いことも本部の大きな特徴です。大会時には食料や用具の支援をいただくだけでなく、精神的にも温かく背中を押してくださり、「関西大学スキー部のOBだから」という思いで支えてくださるその存在は、現役部員の大きな励みになっています。昨シーズンの全関西学生スキー選手権大会でリレー3位、部として34年ぶりの総合3位入賞を果たすことができた背景にも、こうした支えがありました。個々で練習する時間が長い競技だからこそ、つながりを意識することで、離れていても同じ方向を向き続けていくことができています。少人数だからこそ生まれる結束力と信頼関係が、100年続く伝統を支えているのだと感じています。

——チームで大切にしている価値観はありますか?
監督から常に、「スキーだけが上手ければ良いのではなく、人として成長してほしい」という言葉をいただきます。常に感謝の気持ちを忘れないこと、立場が上になったとしても威張らないこと、人数が少ないからこそ、一人ひとりの姿勢がチーム全体に影響します。部として明文化されたルールがあるわけではありませんが、無意識のうちにお互いを思いやる文化が根付いているように感じています。スキーは個人競技の側面が強いスポーツですが、結果の裏側には多くの支えがあります。周囲へ常に配慮を持って行動する姿勢こそが、長く応援される選手、信頼される人間につながると考えています。
——現在の課題と今後の目標について教えてください。
目下、大きな課題は、選手の怪我の多さです。シーズン前にも複数の選手が怪我をしてしまいました。基礎練習やアップ、練習後のリカバリーの強化が必要だと感じています。2026年は創部100周年という大きな節目の年です。インカレ1部昇格、全関西3位という高い目標を掲げ、歴史を築いてくださった先輩方への感謝を胸に取り組んでいきます。また、今後はマネージャーの募集にも力を入れていきたいと考えています。選手だけでは限界がある部分を支えてくれる存在は、チームにとって必要不可欠です。SNSも活用し、まずは活動を知ってもらうことから始めたいと思います。

——応援してくださる方々へメッセージをお願いします。
日頃より温かいご支援・ご声援をいただき、本当にありがとうございます。私たちが日々競技に打ち込めているのは、指導者の方々、家族、そして長い歴史を築いてこられたOB・OGの皆さまの支えがあるからこそだと感じています。2026年は創部100周年という大きな節目の年です。これまで関西大学体育会スキー競技部を支えてくださったすべての方々への感謝を胸に、歴史に恥じないシーズンを築いていきたいと考えています。そして、次の世代へと誇れる形でこの伝統を繋いでいけるよう、部員一同全力で取り組んでまいります。これからも変わらぬご指導と温かいご声援をよろしくお願いいたします。
シーズンが短くても、少人数でも、自分たちにできることを積み重ねていく。周囲への感謝を忘れず、着実に進んでいる彼らの挑戦はハンデを感じさせない、力強い歩みでした。関西大学体育会スキー競技部の挑戦は、100年という歴史を受け継ぎながら、これからも続いていきます。