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自立と協働を軸に、学生主体で組織を動かす秘訣とは——東北大学学友会フットサル部

東北大学学友会フットサル部は、監督も外部コーチを置かず、すべて学生主体で運営されています。組織づくりも戦術づくりも、自分たちの手で積み重ねながら、全国の舞台で結果を残してきました。2025年の全日本大学フットサル大会では、全国3位に入賞し、再び大学日本一となることを目標として見据えています。今回は、マネージャーの高橋由有さんに、チームの成り立ちや日々の活動、そしてこれからのビジョンについてお話を伺いました。

 

 

——チームの概要・体制について教えてください。

 

東北大学学友会フットサル部は、2011年に設立されました。チームは2つに分かれており、Aチームは「D-GUCCI」、Bチームは「GONRYO」と呼ばれています。「D-GUCCI」という名前は、創設期のメンバーであった出口さんの名前が由来で、「GONRYO」は以前使用していた権量体育館から取っています。普段のリーグ戦や大会では、それぞれのチームとして出場することも多いですが、インカレなどでは大学として1つのチームになります。活動拠点は、仙台市青葉区にある片平体育館です。曜日ごとに練習時間は異なりますが、火曜・木曜・土曜・日曜の週4日活動しています。部員は現在、1年生22人、2年生17人、3年生13人でプレーヤーとマネージャーを合わせ、総勢52名です。文系と理系の割合は3対7くらいです。プレイヤーだけでなく、マネージャーやスタッフも含めて一人ひとりがチームの一員であるという意識で、競技だけでなく運営にも関わっています。外部スタッフはおらず、会計やスポンサー対応、広報、フィジカルケアなども全て学生で分担しています。

 

——チームで大切にしている価値観はありますか?

 

「自立」と「協働」です。もともと東北大学学友会フットサル部はサークルとして活動していました。しかし、インカレ全国大会で結果を残したことをきっかけに、その実績と継続的な活動が評価され、正式な学友会の部活動として認められるようになりました。そのため、立ち上げ当初から指導者や外部の大人に頼るのではなく、自分たちで組織を運営し、強化していく必要がありました。「誰かがやってくれるだろう」という他責の姿勢ではなく、自分が動くという意識が自然と根づいていったのは、そうした背景があったからだと感じています。実際に、入部したばかりの1年生でも、早い段階から運営の仕事を任され、自らで考えて行動する場面がたくさんあります。最初は戸惑う人もいますが、周りの先輩や同期が声を掛け合いながら支えてくれるので、一人で抱え込むのではなくみんなで協力して成し遂げるという感覚が育っていきます。

 

 

——年間スケジュールについて教えてください。

 

活動の中心はリーグ戦と各種大会で、地域リーグと学生リーグが5月から12月にかけて行われます。6月にはインカレ東北大会、8月には全国大会があります。11月には全日本選手権、12月には学生リーグの全国大会、2月には七大戦、3月には新人戦もあります。イベントも非常に多く、4月には新歓、5月には東京への遠征、10月には学祭の出展と芋煮会、1月にはみんなで新年会をし、3月には先輩を送り出します。数多くのイベントを設けることで学年を超えて交流できる機会を大切にしています。特に芋煮会は東北らしいイベントで、河川敷に集まって、里芋を入れた豚汁のような芋煮をみんなでつくって食べます。競技の場とは異なった一面を見ることができるので、個人的にもすごく好きなイベントです。

 

——学生主体の組織運営について詳しく教えてください。

 

東北大学学友会フットサル部で役職と呼べるものは、AチームBチームそれぞれの主将と副主将のみです。それ以外は上下関係のある役職ではなく、役割として割り振っています。スポンサー担当、会計、広報、分析、フィジカルケアなど、20以上の部署があり、入部時のアンケートや希望をもとに配置されます。立候補制で選ばれる主将、副主将も含め、それぞれが責任を持って組織を支える形になっています。

 

 

——練習で大切にしている文化はありますか?

 

練習で最も大切にしているのは、立場に関係なく意見を伝えあえる雰囲気をつくることです。プレーヤー同士はもちろん、マネージャーや下級生の声も含めて、本音で話し合うことを当たり前にしてきました。意見がぶつかることもありますが、それを避けるのではなく、向き合い、衝突もチームとして前に進むために大切なプロセスだと捉えています。また、学業やアルバイトと両立している分、練習時間は決して長くないからこそ、一回一回の練習に明確な目的を持ち、強度と集中力を高めることを強く意識しています。コートの中では積極的に声をかけあい、互いを励まし合いながら空気を作っていくことで、限られた時間の中でも最大限の成長に繋げていきたいと考えています。

 

——何か印象的なエピソードはありますか?

 

最も印象に残っているのは、ここ数年の全国大会での悔しさと、今年の結果です。2014年に日本一になってから、しばらく思うような成績を残すことができず、2022年からは3年連続で全国5位という結果が続きました。目標であった全国ベスト4にあと一歩届かないもどかしさや自分たちのスキルは本当に向上しているのかと不安になる瞬間もありました。それでも今年も全国ベスト4を目標に掲げ、練習の取り組み方やチームの在り方を一つひとつ見直しながら挑戦を続けてきました。その結果、全国大会で3位に入れた時は、3年間の努力が実ったような気がしたため、とても嬉しかったです。

 

 

——今後の目標はありますか?

 

一番大きな目標は、大学日本一です。ただ、結果のみを追いかけるのではなく、その過程も大切にしたいと考えています。現時点では簡単に届く目標ではありませんが、地域チャンピオンズリーグや全国大会での一試合が、今の自分たちの立ち位置を測る大切な機会だと考えています。その中で競技力を底上げするため、フィジカルケアの環境整備やトレーナーの帯同体制づくり、外部コーチを招いた戦術面の強化に取り組んでいます。特に戦術については、学生だけでは気づくことのできない視点を取り入れることで、チームとしてもう一段階成長していきたいという思いがあります。こういった積み重ねの結果、全国大会で4年ぶりに3位に入り、公式戦で無敗の期間が続いたこともありました。まだまだ成長途中ではありますが、少しずつ日本一を現実的な目標として見据えることができる場所まできたのではないかという実感があります。

 

——応援してくださる方々へメッセージをお願いします。

 

3年連続全国5位という悔しさを越えて、ようやくベスト4の壁を越えることができました。今は、本気で大学日本一を目指せることのできる場所に立っていると思っています。たくさんの選択肢がある中で、この部活を選んだのは、ここでしかできない経験があると信じているからです。これからも全員で挑戦を続けますので、応援いただければ嬉しいです。

 

 

東北大学学友会フットサル部は、競技の強さだけでなく、組織を動かし、人と向き合い、迷いながらも自分たちの答えを探し続けています。その姿勢そのものが、このチームの最大の魅力だと感じました。全国3位という結果は通過点にすぎず、彼らの挑戦はまだ続きます。このチームがこれからどんな景色を見せてくれるのか、その歩みをこれからも見守っていきたいと思います。