エース不在の課題をどう乗り越えるのか。全員攻撃と凡事徹底でつくる新たなチーム戦略——天理大学女子ハンドボール部
関西学生ハンドボールリーグで戦う天理大学女子ハンドボール部は、現在2部リーグからの1部昇格、そしてインカレベスト8という目標を掲げ、日々活動しています。
選手自身が主体となって考え、運営する自律的な組織へと変化してきたのが大きな特徴です。
一方で、圧倒的な得点力を持つエースが不在という課題にも直面しています。その中で、データ分析を活用したチーム戦略と、全員で得点を狙うスタイルを構築しながら、競技力の向上を図っています。
今回は、こうしたチーム作りの背景や取り組みについて、主将の土井藍莉、副将の岡菜々子、広報の山口芽依さんに話を伺いました。

——天理大学女子ハンドボール部の概要を教えてください。
現在、チームは1年生から4年生までの計26名で、関西学生ハンドボールリーグで活動しています。今年の目標は、まず春季リーグで1部昇格することです。1部に昇格後は、秋季リーグで全日本インカレの出場権を獲得し、本大会でベスト8進出を目指します。
チームの大きな強みは、誰が試合に出てもプレーの強度が落ちないことです。
メンバーのほとんどがスポーツ推薦で入部しており、チーム全体として高いレベルが保たれています。そのため、試合中に選手を頻繁に入れ替えてもパフォーマンスを維持でき、体力を温存しながら最後まで同じ強度で戦い続けられます。

——高校から大学へ。練習環境の変化によって、チームにどのような変化がありましたか?
高校時代は、放課後に約6時間にわたり練習を行う環境でプレーしてきたメンバーも多くいます。当時は、監督から与えられたメニューをこなすことが中心で、自分たちで考える機会は限られていました。
一方、大学では練習時間が約2時間と大きく短縮されています。
その分、限られた時間の中でいかに集中して取り組むかを意識するようになり、短時間でも質の高い練習を目指すようになりました。
また、監督の指示を待つのではなく、自分たちで課題を考えながら練習に取り組むようになったことで、自分のプレーだけでなく、チームメイトの動きにも目を向けるようになりました。
その結果、選手同士のコミュニケーションが大きく増え、チーム全体として連携が深まり、組織としてより良い方向に進んでいると感じています。
——選手主導の組織へと変わる中で、どのようなきっかけがありましたか?
1年生から3年生までは、松木監督からプレー面だけでなく、考え方や姿勢についても細かく指導を受けていました。一方で、より高いレベルで結果を残していくためには、選手自身が状況を判断し、自ら考えて動く力が必要だという課題も見えてきました。
そうした中で転機となったのが、監督が意図的にプレー面での指示を控え、選手たちに考える時間を与えてくださった時期です。
監督からの具体的な指示が減ったことで、練習中の良いプレーや改善点について、選手同士で意見を交わす機会が自然と増えていきました。
その過程を通じて、監督も、学生主体で進める体制がチームの成長につながると判断され、徐々に選手主導の組織へと移行していきました。現在では、練習メニューの策定も選手が主体となって行っています。選手で構成される分析班が試合映像をもとに、自チームのシュート成功率や相手の得点率、ミスの数などをデータとして整理しています。そのデータをもとに、毎週の練習で改善すべき課題を明確にし、論理的に解決していくサイクルを構築しています。

——現在の競技面での課題と戦略を教えてください。
チームの強みは、誰が試合に出てもプレーの強度が落ちないことです。一方で、現在の課題として、苦しい場面で個人の力で流れを変えられるような絶対的なエースがいないことが挙げられます。
その課題に対して、私たちは個人に依存するのではなく、チーム全体で得点を重ねる戦い方へと切り替えました。
具体的には、ディフェンスから速攻につなげて得点する場面を増やし、相手が守備を整える前に攻め切ることを重視しています。その結果、セットオフェンスで長く攻める場面を意図的に減らし、チーム全体の運動量と連携を活かしたスタイルを目指しています。
また、この戦略を支えるために、学内のトレーニングルームでトレーナーにメニューを組んでいただきながら、ベンチプレスやスクワット、デッドリフトなどのウェイトトレーニングにも取り組んでいます。
特に、ディフェンスから速攻につなげるためにはフィジカルの強さが欠かせないため、守備の土台となる身体づくりにも力を入れています。
——モチベーションをどのように維持しながら戦っていますか?
現在所属している2部リーグでは、試合によっては30点近い差がつくこともあり、モチベーションの維持が難しいと感じる場面もあります。
そのような中でも、私たちは強豪高校出身の選手が多いチームではないからこそ、ルーズボールやリバウンドを確実に拾うといった、基本的なプレーを徹底することを大切にしています。こうした凡事徹底の姿勢は、松木監督から強く指導を受けてきた部分でもあります。
また、1部昇格を果たした際には、応援してくださるスポンサー企業の存在や、インスタライブでの試合配信など、自分たちのプレーを見てくださる方々の存在も大きな支えになっています。
だからこそ、相手との力の差に関わらず、どの試合でも手を抜かず、自分たちのハンドボールを最後まで貫くことが、応援されるチームであり続けるために必要だと考えています。
さらに、昨年の春に何十年ぶりかに2部へ降格した悔しさも、現在の大きな原動力になっています。
二度と同じ悔しさを味わいたくないという率直な思いが、チームの高いモチベーションの土台になっています。

——チームの結束力を高めるためにどのような工夫をしていますか?
練習中は集中して引き締まった雰囲気を保ち、練習外ではフラットに接するというように、オンとオフの切り替えを明確にしています。
また、3ヶ月に1回ほどチームビルディングの機会を設けています。ハンドボール以外の種目としてバレーボールや障害物リレーなどを行い、監督も参加しながら、普段とは違う一面を見せ合うことでリフレッシュにつなげています。
さらに、チームの雰囲気を明るくしてくれる存在も大きいです。会場に響く声でチームを鼓舞し、苦しい場面でも良い流れを生み出してくれます。
——いつも応援してくださっている皆さまへメッセージをお願いします。
まずは、日頃より私たちを支援してくださっているスポンサー企業の皆さま、そして日頃から応援してくださっている皆さまに心より感謝申し上げます。
私たちは現在、学生としての最後の競技生活を送っています。その中で、後悔のない形でシーズンを終えたいという思いで、日々の練習に取り組んでいます。
今後も凡事徹底の姿勢を忘れず、まずは春季リーグでの1部昇格を必ず達成し、秋にはインカレでベスト8という目標を実現できるよう努力を続けていきます。
これからも全力でプレーを続けていきますので、引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。