下からの押し上げが、チームを強くする。学生主体で1部昇格を目指す組織づくり——香川大学男子ラクロス部
学生主体でチーム運営の多くを担う、香川大学男子ラクロス部。練習メニューの作成から外部との連絡、資金集めまでを学生が担っています。目標は、中四国2部リーグから1部へ昇格し、その先も1部に残り続けられる基盤をつくることです。シーズン序盤には強豪相手に前年度より大きく点差を縮めるなど、チームは着実に力をつけてきました。楽しく活動しながら、ラクロスには本気で向き合う。そんなチームづくりを進める一方で、部員のモチベーション管理や資金繰りといった課題にも向き合っています。今回は、主将を務める井上峻也さんに、チームの強みや組織運営から得た学びについて伺いました。

——香川大学男子ラクロス部について概要を教えてください。
部員は1年生から4年生まで、約50名が在籍しています。今シーズンは、1年生が多く入部してくれました。
コーチは常駐しておらず、練習メニューの作成や外部との連絡まで、活動のほぼすべてを学生だけで進めています。
最も大きな目標は、中四国2部リーグから1部へ昇格することです。それに加えて、1部に残り続けられる基盤をつくることも目標にしています。
チームは、強豪相手にも手応えを得られる試合が増えています。シーズン序盤、1部リーグ所属の広島大学戦は5対3で負けましたが、前年度のリーグ戦では大差で負けていたため、点差はかなり縮められました。

——チームの強みは何ですか?
強みは、学生主体で運営している点と、雰囲気の良さです。
運営面では、練習メニューの作成も外部との連絡も学生が担っているため、自分たちでチームに必要なことを逆算して考える力がつきます。一人ひとりが何らかの役割を持っていて、チームの一員だという意識も生まれます。外部の大人に支えていただければ助かる場面もありますが、自分たちが深く関わるからこそ、チームへの愛着や責任感が生まれると考えています。
雰囲気については、先輩後輩の関係にかかわらず仲が良いことが挙げられます。強豪校ほど厳格ではなく、サークルのように緩すぎるわけでもなく、楽しさを大切にしながらもラクロスには真剣に向き合っています。そのバランスが、私たちの良さだと思っています。
——新入生が多く入部した理由は何だと思いますか?
雰囲気の良さをしっかり伝えられたことが、一番の理由だと思います。
前年度は新歓時期の練習中に上級生だけで固まってしまい、新入生が入りづらい雰囲気がありました。その反省から、今シーズンは上級生から積極的に話しかけ、部活以外の会話も増やしました。その結果、先輩後輩でも気軽に話せる関係が生まれ、雰囲気の良さにつながっています。
大学から新しい競技を始めたいと考えている新入生にとって、私たちの雰囲気が合っていたことが、入部につながったのだと思います。

——部員のモチベーション管理にはどう向き合っていますか?
モチベーションには個人差があり、その差がチーム全体の雰囲気にも影響するため、今も課題として向き合っています。
下級生にはもともと意欲の高い部員が多く、中四国ユースに選出された選手も在籍しています。こうした下級生が主体的に努力する姿が刺激となり、上級生も「自分たちも頑張らないと」という意識を持つようになります。その結果、下からの押し上げが生まれ、チーム全体のモチベーション維持につながっています。
一方で、モチベーションが上がりにくい部員もいます。そのままにすると練習参加のハードルがさらに上がってしまうため、自主練に誘ったり、練習中に積極的にコミュニケーションを取ったりして、部活に来やすい環境をつくっています。ラクロスは接触もある競技でときには痛みも伴うため、心理的な負担が大きくなりがちです。雰囲気を良くすることで「来れば楽しい」と感じてもらい、継続的な参加につなげることを意識しています。
——資金面ではどんな点が大変ですか?
資金繰りは大きな問題です。
まず、新歓費や備品購入費として部員から費用を集めています。しかし、想定以上に新入生が入ったことで必要な備品も増えたため、追加で徴収する必要がありました。防具も新歓費の一環として自分たちで購入していますが、上級生の人数が少なく引き継げる防具が限られているため、新たに購入する必要があり、その分費用がかさんでいます。
移動費の負担も大きいです。中四国は会場が各県に1つほどしかないため、試合や練習試合のたびに長距離移動が必要になります。例えば岡山大学へ行くだけでもレンタカーを借り、瀬戸大橋の通行料を支払う必要があります。加えて、全国大会に出場することになれば、ホテル代や移動費も発生します。

——資金集めではどんな工夫をしていますか?
活動資金を確保するために協賛を募り、複数社から支援をいただいています。しかし、それだけでは必要な資金をまかなえないため、OB戦の機会には現状の大変さを伝え、OBの方々から援助をいただくこともあります。
以前は資金を安定的に確保するため、部員1人につき1社という形で30社ほどスポンサーを募集しました。しかし継続的な支援を得ることが難しく、最終的に残ったのは5社ほどにとどまりました。資金不足は依然として深刻な状況であり、活動を継続するために部員一人ひとりがアルバイトで費用を工面し、資金を捻出しています。
——印象に残っている試合やシーンはありますか?
いくつかありますが、まず印象に残っているのは、入部当初の入れ替え戦です。
当時は上級生の人数が少なく、1年生でもリーグ戦に出る機会がありました。私はフェイスオフというポジションを担当していました。得点の後やクォーターの最初に、バスケットボールのジャンプボールのように、最初のポゼッションを取り合う役割です。
2部から1部への入れ替え戦で何度かフェイスオフの機会がありましたが、ほとんどのフェイスオフで勝つことができました。自分が一番貢献できたと思える試合でした。その後、関西地区のフェイスオフのトーナメントに出て準優勝もできました。関西の強い選手たちと戦えた経験は、今でも思い出に残っています。
もう一つは、新人戦の全国大会です。私はコーチとして同行しました。地区予選では岡山大学にぎりぎりで勝って出場を決め、全国5位という成績を残せました。
勝った瞬間に、みんなでグラウンドの中心に集まって喜んだ場面は、後輩たちの成長を感じ、感慨深い気持ちになりました。

——活動を通じて学んだことは何ですか?
大きく二つあります。
一つは、組織運営の難しさです。
主将になって特に痛感したのは、一人ひとりの考えやモチベーションに差があるということです。そのため、チームとして統一感を出すことが難しくなります。だからこそ、新チームの始動時には何度もミーティングを開き、意識をすり合わせることが重要だと学びました。
また、すべてを自分で抱え込むと運営が回らなくなるため、役割や責任を他の幹部や部員に分ける必要があると気づきました。ただし、任せきりにすると状況が見えなくなるため、各担当の連絡グループに入り進捗を聞いたりして、状況を把握したうえで任せるようにしています。
もう一つは、技術を伸ばすためのポイントを理解できたことです。私は高校時代は部活動で本格的に競技に取り組んでおらず、大学から再開したためブランクがありました。そのため、最初はとにかく量をこなそうとがむしゃらに練習していました。しかし、そのやり方では効率よく上達できないと感じ、目標から逆算して計画的に取り組む必要があると気づきました。
実際に、利き手の右ばかり使い、苦手な左手を避けていたことで、技術の偏りが生まれてしまいました。この経験から、苦手な部分にも向き合って計画的に練習することが重要だと学びました。後輩に教える立場になった今は、その反省を踏まえ、考えながら取り組む大切さを実感しています。

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。
日頃からのご支援に、本当に感謝しています。今こうして活動を続けられているのは、応援してくださる方々のおかげです。
前年度に1部から2部へ降格しましたが、今は1部昇格を目指して取り組んでいます。私たちがどこまで成長したのかを、ぜひ試合で見ていただきたいです。応援してよかったと思ってもらえる組織にし、そう思っていただける結果を残していきます。
入部を考えている方にも伝えたいことがあります。私たちの部は、楽しく活動しながらラクロスには本気で取り組むチームです。先輩後輩の壁は低く、一人ひとりに役割があります。大学から運動を始めた私でも、しっかり戦力になれました。少しでも興味があれば、ぜひ一度見に来てください。