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仲間と挑む頂点。未経験集団の勝ち方とは——愛媛大学アメリカンフットボール部

愛媛県松山市を拠点に活動するアメリカンフットボール部、BOMBERS(ボンバーズ)。1976年の創設から今年度50周年を持ちながらも、現在の部員は全員が大学から競技を始めた未経験者です。専属の指導者がいない環境、そして高額な道具代という経済的な壁。数々の困難に直面しながらも、彼らはなぜ中四国制覇という高い目標を掲げ続けるのでしょうか。主将の大和晃希さんと、マネージャーとして主に医務に携わっている平尾凛和さんに、組織を支える哲学と成長のストーリーを伺いました。

 

 

——貴団体について概要を教えてください。

 

大和さん:私たちは中四国学生アメリカンフットボール連盟の1部リーグに所属し、秋のシーズン優勝を目標に活動しています。部員数は、1年生14名、2年生14名、3年生2名、4年生8名の計38名です。最大の特徴は、現在の部員が全員、大学入学後にアメリカンフットボールを始めた未経験者であることです。かつてはリーグ優勝を経験したこともある伝統あるチームですが、直近数年は5位という悔しい結果が続いてきました。13年ぶりのリーグ優勝という悲願達成に向け、週4回の練習に励んでいます。

 

——日々の活動で工夫していることを教えてください。

 

大和さん:専属の指導者がいないからこそ、自分たちで考えながら、何が最善かを探し続ける姿勢を大切にしています。毎年2月頃に行われる中四国クリニックに参加し、社会人リーグの選手から最新の技術を学ぶほか、大学院に進学した3名の先輩が学生コーチとしてチームに残り指導してくれています。さらに、Instagramで発信されている戦術動画を自分たちで探し、LINEグループで共有しながら学んでおり、部員全員が主体的に戦術を構築するなど、部員同士で教え合う文化が根付いています。また、練習後にはマネージャーが作る温かいおにぎりを片手に、全員でビデオミーティングを行っています。その日に撮影した練習動画を即座にチェックし、良かった点や改善点について率直に意見を交わし、課題を翌日に持ち越さないことを大切にしています。

平尾さん:私たちマネージャーは、日々の練習風景の撮影や食事のサポートを通じて選手の成長を後押ししています。また、私は選手の怪我を予防し復帰を支える医務の役割も担っており、テーピングの技術を先輩から引き継いで選手の身体管理を行っています。

 

 

——これまでぶつかった壁を教えてください。

 

平尾さん:新入生の獲得と、それに伴う経済的な負担の大きさが最大の壁です。アメリカンフットボールは非常に魅力的なスポーツですが、防具一式を揃えるだけで約20万円という大きな初期費用がかかります。加えて、シーズン中は試合のために広島などへの遠征が続き、その交通費などの負担も大きくなります。実際に、金銭的な理由で競技を諦めざるを得なかった仲間もおり、悔しさを感じました。

大和さん:コンタクトスポーツゆえの「危険」「痛みを伴う」というイメージも根強く、未経験の新入生を勧誘するのは簡単ではありません。人数が少ない中では一人ひとりの負担も大きくなり、組織全体のモチベーションをいかに維持するかが常に課題でした。

 

——その壁をどう乗り越えましたか?

 

平尾さん:資金面では、OB会との連携を強化しました。今年2月に開催した創部50周年記念式典には全国から約100名のOBが集まってくださり、そこでいただいた寄付金を新入生の防具代の補助や遠征費に充てる仕組みを整えました。一括払いが難しい学生には月々の分割返済を認めるなど、誰もが競技を続けられる環境づくりに努めています。

大和さん:新入生獲得に向けては、競技の魅力と部の雰囲気を伝えることに注力しました。新歓のお花見には約100名の新入生が参加し、運動会やアルティメット大会などのイベントを通じて、自分たちの強みである雰囲気の良さをアピールしました。さらに、消防団の出初式や消防フェスへの参加、愛媛マラソンでの運営活動など、地域貢献活動を通して応援されるチームを目指しています。

 

 

——活動を通じてご自身はどう変化しましたか?

 

大和さん:私はこれまでの人生で、組織のトップに立つ経験がありませんでした。キャプテンとして、モチベーションが異なる部員たちを一つの目標に向かわせるのは想像以上に難しかったです。思い通りにいかないことも多々ありますが、一人ひとりと1対1で食事に行くなど工夫を重ね、本音で話し合うことで互いの理解を深める大切さを学びました。自分と向き合い、挑戦し続ける経験は、自分自身を大きく成長させてくれたと感じています。

平尾さん:高校までは顧問の先生が担ってくださっていた遠征の手配やOBの方々との連絡も、すべて自分たちで行う必要があります。責任は重いですが、どうすれば企業や地域から応援していただけるかという視点を持てるようになりました。自律的に活動することで、主体的に物事を動かす力が身についたと自負しています。

 

——チームとして大切にしている価値観を教えてください。

 

大和さん:大切にしているのは、メリハリです。練習中は高い集中力を持って激しくぶつかり合います。また、グラウンド内外問わず学年に関係なく活発にコミュニケーションをとっています。上下関係を重んじつつも、オフの時は気兼ねなく笑い合える空気感があります。

平尾さん:そのほかにも選手が自信をもって部活動に取り組める環境作りにも力を入れています。アメリカンフットボールはコンタクトスポーツである以上、自分を信じられなければ相手に勝つことはできません。未経験からスタートしたからこそ、日々の小さな成長を互いに認め合い、自信を積み重ねていく文化を大切にしています。

 

 

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。

 

大和さん:OBの皆様、日頃より多大なるご支援をいただき本当にありがとうございます。皆様の支えがあるからこそ、私たちは競技に打ち込むことができています。皆様から頂戴しているご期待に、結果という形でお応えできるよう、チーム一丸となって中四国優勝を目指します。新入生の皆さん、アメリカンフットボールは未経験から始めても主役になれるスポーツです。本気で情熱を注げる4年間を、私たちと共に過ごしましょう。

平尾さん:OBの皆様、防具代のご支援や組織運営へのサポートなど、いつも温かく見守ってくださり感謝しております。新入生の皆さん、アメリカンフットボールは日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、戦略的で非常に奥が深く、本当に魅力的な競技です。運動経験の有無は関係ありません。自分を変えたい、何かを成し遂げたいと思っている方は、ぜひ一度グラウンドへ足を運んでください。皆さんと一緒に戦える日を楽しみにしています。