週5回の朝練と毎日のSNS発信。30名の新入生を惹きつけたチームづくりの裏側——武蔵大学男子ラクロス部
武蔵大学男子ラクロス部は、関東2部リーグから1部への昇格を目標に掲げ、その先には日本一を見据えて活動しています。選手の多くは大学からラクロスを始めた未経験者ですが、それぞれが他競技で培った経験を生かし、自分の強みをプレーに落とし込んでいます。
充実したグラウンド環境や大学からの支援を受けながら、練習メニューの作成やチーム運営は学生が主体となって取り組んでいます。学年やポジションを越えたつながりも強く、競技には真剣に向き合いながら、部員同士の交流も大切にしているチームです。
今回は、主将の渡邊新さん、副将の石岡大和さん、スタッフの山本芹菜さん、植松美結さん、山田有紗さんにお話を伺いました。

——武蔵大学男子ラクロス部について概要を教えてください。
武蔵大学男子ラクロス部は、大学の理念である「開拓し続けることで原動力を生み出す存在であれ」という言葉を大切にしながら活動しています。今年の目標は、現在所属している関東2部リーグから1部リーグへ昇格することです。春の大会で結果を残し、1部リーグとの入れ替え戦につなげることを目指して、日々練習に取り組んでいます。2026年は新入生が約30名入部し、部員数は全体で80名近くになりました。練習は週5回、平日は朝7時から10時まで、土曜日は11時から15時まで、朝霞グラウンドで行っています。
チームの特徴のひとつは、練習環境の充実です。グラウンドを長時間使用できるため、全体練習後も自主練習に取り組んだり、部員同士で話し合ったりしやすい環境があります。大学からの支援もあり、競技に集中しやすい体制が整っています。
部員数は増えていますが、学年を問わず部員同士の距離が近いことも、このチームの良さです。互いに声をかけ合いながら、1部リーグ昇格という目標に向かって練習を重ねています。

——部内の雰囲気について教えてください。
部員同士の距離が近く、同学年だけでなく、上級生と下級生のつながりも強いチームです。
部内には「ファミリー制度」という独自の取り組みがあります。ポジションや学年に関係なく6つのグループに分かれ、オフの日には部員同士で交流する機会を設けています。この制度を通じて、学年を越えたコミュニケーションが自然に生まれています。
大学の授業でも、同じ学部の部員同士が一緒に受講することが多く、練習以外の時間にも関係を深めています。練習中は互いに厳しく求め合う一方で、オフの時間には上級生が積極的に下級生と交流しています。
競技に本気で向き合う時間と、仲間とリラックスする時間のメリハリが、意見を伝え合いやすい関係性につながっています。そうした雰囲気があるからこそ、部員一人ひとりが同じ目標に向かって前向きに取り組めています。
——新入生が多数入部したとのことですが、新歓活動ではどのような工夫をしましたか?
今年は部全体で新歓活動に力を入れ、学年を問わず全員が「新入生を迎え入れる」という意識を持って取り組みました。特に力を入れたのは、SNSを活用した情報発信です。InstagramやXを通じて、毎日欠かさず情報を発信しました。
発信内容は、ラクロスの競技紹介にとどまりません。一人暮らしをしている部員へのインタビューや、大学周辺の飲食店紹介など、新入生が大学生活を具体的にイメージしやすい内容も発信しました。部員がどのような学生生活を送っているのかを伝えることで、部の雰囲気を知ってもらい、安心して入部を考えられるよう工夫しました。
その結果、今年は約30名の新入生が入部しました。新入生が増えたことで、練習中の声かけや競争も活発になり、チーム全体に新しい活気が生まれています。SNSでの継続的な発信も、多くの新入生に部の魅力を伝えるきっかけになったと考えています。

——現在、チームが抱えている課題は何ですか?
今年は1年生が多く加入した一方で、上級生の人数が比較的少なく、選手層の厚さに課題があります。主力選手が怪我などで離脱した場合、チーム力を維持できるかどうかが課題です。
レギュラー陣とベンチメンバーの実力差をどう埋めるかも、重要な課題です。練習に取り組む姿勢や基準を、チーム全体で高めていく必要があると感じています。
先日、昨年の全国優勝校である早稲田大学との練習試合に敗れました。技術や戦術の差だけでなく、相手の雰囲気に圧倒され、気持ちの面で後手に回ってしまったことも大きな敗因でした。
自分たちが作り上げてきたチームが通用しなかった悔しさと危機感がある一方で、この経験は「もう二度と負けたくない」という強い原動力にもなりました。この敗戦をきっかけに、どのような相手にも圧倒されず、練習してきたプレーを試合で出し切る精神的な強さが必要だと感じています。
——その課題を乗り越えるために、どのような取り組みを行っていますか?
選手層を厚くするために、日々の練習内容を工夫しています。たとえば、6対6の実戦形式の練習ではメンバーを固定せず、多くの選手を起用しています。実戦に近い環境でプレーする機会を増やすことで、下級生やベンチメンバーの戦術理解度と対応力を高めています。
未経験からラクロスを始める1年生を育成するため、専任の「フレッシュマンコーチ」制度も導入しました。昨年まで現役でプレーしていた卒業生3名にコーチを依頼し、基礎技術から戦術の考え方まで、継続的に指導してもらっています。
卒業生が指導に入ることで教える内容が統一され、新入生も基礎を身につけやすくなっています。さらに、1部昇格という大きな目標に向けて、練習ごとの小さな目標も明確にしています。部員一人ひとりが達成感を積み重ねられるよう、日頃の声かけや対話も大切にしています。

——スタッフの役割や、運営面でのやりがいについて教えてください。
武蔵大学男子ラクロス部のスタッフは、チームの勝利に向けて主体的に関わる重要な存在です。
練習や運営に関わる場面が多く、選手に必要な意見を伝える役割も担っています。夏の暑い日に練習の集中力が落ちていれば、スタッフが声をかけ、場を引き締めることもあります。
一方で、スタッフの人数が多いからこそ、自分の役割や存在意義について悩むこともあります。そうした不安に向き合うため、スタッフ間で定期的にアンケートを行い、ユニットのリーダーを中心に個別に話を聞く時間を設けています。食事に誘って悩みを聞くなど、一人ひとりの気持ちに寄り添うことも大切にしています。
与えられた仕事をこなすだけでなく、自分の立場からチームにどう貢献できるかを考え、行動に移せることがスタッフのやりがいです。選手と同じ目標を目指しながらチームを支える経験を通じて、周囲の状況を見て動く力や、組織を支える力が磨かれています。

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。
私たちは2026年、関東2部リーグから1部への昇格を最大の目標に掲げています。ただ、そこで満足するつもりはありません。将来的には、まだ達成できていない日本一を目指しています。
今の1年生から3年生が中心となる数年後を見据え、1部昇格とその先の日本一に向けた土台を築く重要な一年だと考えています。練習の質を高めることはもちろん、組織運営の面でも、より強いチームになるための土台を整えていきます。
この目標は、選手だけでなくスタッフも共有しています。スタッフは単なる裏方ではなく、共に戦う仲間です。全員で1部昇格を目指し、その先にある日本一へ近づけるよう取り組んでいます。
日頃から支えてくださっている皆様には、心から感謝しています。まだ目標への道の途中ではありますが、試合で結果を残し、成長した姿をお見せできるよう、日々の活動に取り組んでいきます。引き続き、応援をよろしくお願いいたします。