キャディ業務で培う「支える視点」と社会性。自由な環境下で「礼儀」を徹底する理由——北翔大学ゴルフ部
北海道を拠点に活動する北翔大学ゴルフ部は、部員の半数以上が大学からゴルフを始めた初心者でありながら、北海道学生ゴルフ選手権の優勝者を輩出するなど、競技面でも着実に実績を重ねています。一方で、彼らが大切にしているのは技術の向上だけではありません。顧問の川森先生の指導のもと、学生たちはゴルフを通じて「礼儀」や「社会性」を学んでいます。今回は主将の田邊武士さんに、部の成り立ちや、自由な環境における組織作りの難しさ、そして目指すチームの姿についてお話を伺いました。

——貴団体について概要を教えてください。
現在は計7名で活動しています。北海道という土地柄、季節によって活動環境が大きく変わるため、夏と冬で活動内容を切り替える工夫をしています。
夏のオンシーズンは、平日に90分ほど打ちっぱなしに行き、プロの今村勇貴さんや杉下コーチから直接指導を受けています。土日は恵庭カントリー倶楽部でキャディのアルバイトに入り、業務が終わってからコースをお借りして練習させていただく流れです。
冬のオフシーズンは室内練習に加えて、新たに週1回のトレーニングも始め、年間を通じて、技術の向上と体づくりに取り組んでいます。

——どのような経緯でゴルフ部が設立されたのですか?
顧問の川森先生と、先生と親交のある北海道のプロゴルファー、そして杉下コーチの3人が中心となって設立されました
背景には「北海道のゴルフをもっと盛り上げたい」という思いがあります。近年、高校までゴルフをしていても、大学進学のタイミングで本州へ行ってしまう人が多く、北海道の若いゴルファーが定着しにくいという課題があったそうです。
また、ゴルフはどうしても「お金がかかる」というイメージがあります。そこが入部の障壁にならないよう、川森先生の繋がりでキャディバッグやクラブ一式を譲り受け、部員に貸し出せる体制を整えていただきました。道具の心配なく始められる環境があるのは、非常に恵まれた環境だと感じています。
——未経験者が多い中で、練習において大切にしている方針はありますか?
部員の半分以上は大学からゴルフを始めた初心者です。最初はスコアが160を超えていた部員が、半年で110までスコアを縮めるなど、目に見えて成長できることがみんなのモチベーションにつながっています。
練習で大切にしているのは、できるだけ早くコースに出て、実際のゴルフの楽しさを知ってもらうことです。チーム内で対抗戦をして楽しんだり、スコアがよかった時の喜びをみんなで共有する時間を大事にしています。
一方で、私自身は小学2年生から競技を続けていて、北海道学生ゴルフ選手権での優勝経験もあります。大会で上位成績を残すための真剣な姿勢と、初心者が純粋に楽しむ気持ちの両方を大切にしています。

——自由な環境だからこそ直面している課題はありますか?
現在の活動は、練習もキャディのアルバイトも強制はしておらず、「自由」をベースにしています。ただ、この点が主将としての悩みでもあります。参加を強制してしまうと「気軽にゴルフを始めてもらう」という最初の目的からずれてしまいますが、自由すぎると部活としての前向きな雰囲気を保つのが難しくなる場面があるためです。
そのため、ルールとして「礼儀」の部分だけは厳しくしています。挨拶はもちろん、敬語の使い方なども含まれます。どれだけ仲が良くても、最低限の礼儀を欠かさないように気をつけています。
「強制されないからこそ、自分から楽しく参加する。そして、やるからには礼儀正しく取り組む」。この環境をどうやって作っていくか、いまも試行錯誤しているところです。
——「人間力を高める」という目標に対し、具体的にどのような学びがありますか?
川森先生がいつも仰る「人間力の向上」が、部の大事なテーマになっています。
例えば土日のキャディ業務も、プレイヤーを「支える側」の視点でゴルフを見ることで、たくさんの気づきがあります。複数のお客様に対して、どう動けばスムーズにプレーできるか、気持ちよく過ごしてもらえるかを考えることは、社会に出たときのための重要な学びにつながると考えています。
また、私自身も主将になって、連盟への手続きやスケジュール管理など、裏方の仕事がたくさんあることに驚きました。こういった経験を通じて周りへの感謝や責任感が生まれました。社会に出る前の準備として、ゴルフを通じて、技術以上に大きな学びを得ています。

——今後、北翔大学ゴルフ部をどのような組織にしていきたいですか?
一言で言えば「北翔大学ゴルフ部の学生は、みんな礼儀正しくて気持ちがいいよね」と言ってもらえるようなチームにしたいです。
ゴルフが上手いのはもとより、それ以上に、試合会場で誰に対してもきちんと挨拶など礼儀を重んじる姿勢が大事だと考えています。これは、周囲の方々からさらに応援していただける存在になるためです。
楽しさと厳しさのバランスを取りながら、技術面でも人間性の面でも、北海道の学生ゴルフに良い影響を与えられるような存在になれたらと思っています。
——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。

私たちの活動は、本当にたくさんの方の支えで成り立っています。
特に金銭面でのサポートは大きく、全国大会への遠征費や初心者が道具を揃える時の支援には、心から感謝しています。川森先生をはじめ、練習環境を貸してくださる恵庭カントリー倶楽部様、熱心に指導してくださるプロやコーチの方々のおかげで、ゴルフに打ち込めています。
いつも温かく見守っていただき、心より感謝申し上げます。恩返しとして、試合で結果を出すことはもちろんですが、社会に出てからも「北翔大学ゴルフ部で良かった」と胸を張れるような人間になれるよう、これからも誠実に取り組んでいきます。