企画から事業開発へ。サッカー部副キャプテンが歩んだキャリアの軌跡——髙橋 勇紀氏
大学で体育会に所属した経験は、社会に出た後のキャリアにどのような影響を与えるのでしょうか。今回お話を伺ったのは、成蹊大学体育会サッカー部出身で、株式会社ADDIXにて事業開発やマーケティング支援に携わる髙橋勇紀さんです。大学ではサッカー部の副キャプテンを務め、卒業後は映像制作会社・広告会社を経て、現在はクライアントの事業開発まで踏み込んだ支援を行っています。広告業界の第一線で経験を重ねながらキャリアを広げてきた髙橋さんに、学生時代の経験とこれまでのキャリア、そして現役学生へのメッセージを伺いました。
——「サッカーをやるなら本気で」体育会サッカー部で過ごした大学時代
髙橋さんは成蹊大学経済学部に指定校推薦で入学し、入学当初から体育会サッカー部に所属しました。幼い頃からサッカーを続けてきたため、大学でも競技を続けることは自然な選択だったといいます。「サッカーをやるなら中途半端ではなく、本気で取り組みたいという性格だったので、サークルではなく体育会を選びました。」
大学では副キャプテンを務め、チームをまとめる役割も担いました。実は高校時代もキャプテンを務めており、自然とリーダーシップを求められる立場に立つことが多かったと振り返ります。現在も社会人チームでサッカーを続けており、大学時代から続く競技との関わりは20年以上で、最近は40代から参加できるシニアリーグにも出場しているそうです。

——広告業界への興味から始まった就職活動
就職活動では、まずは幅広く企業を見ることを重視し、多くのOB訪問を重ねたといいます。「とにかくいろいろな会社を見てみたいと思って、OB訪問に時間をかけました。」その中で興味を持ったのが広告業界でした。父親も広告関連の仕事に携わっていたことや、サッカー部の先輩にも同業界で働く人がいたことから、自然と関心が高まっていったそうです。最終的に新卒で入社したのは、映像制作会社の株式会社AOI Pro。広告映像制作の現場で、プロダクションマネージャーとしてキャリアをスタートさせました。
——制作現場で学んだ「広告のリアル」
AOI Proでは、CM制作に関わるあらゆる業務を担当しました。リサーチ、スケジュール管理、スタッフ手配、予算管理、撮影現場での進行管理など、映像制作の裏側を支える仕事です。いわば広告制作の現場を支える「縁の下の力持ち」のような役割でした。その中でも特に印象的だったのが、1年目の終わりに担当したCM制作でした。担当したのは、アサヒ飲料「ワンダ」のプロモーション映像。著名なタレントが出演する大規模な案件でした。

——企画を生み出す側へ。電通デジタルでの挑戦
制作会社で経験を積む中で、髙橋さんの中にはある思いが芽生えます。それは「企画を生み出す側に回りたい」という気持ちでした。制作会社は、広告会社が考えた企画を形にする役割が中心です。一方で、自らアイデアを生み出しプロモーションを設計する仕事にも挑戦したいと考えるようになりました。そこで転職したのが、現在の電通デジタルの前身である電通イーマーケティングワンです。ここではブランドプロモーションやデジタルマーケティングの企画を担当しました。特に印象に残っているのが、Audiのデジタルプロモーション案件でした。20代半ばで大規模なプロモーション企画を自ら立案し、実行まで担当できた経験は、キャリアの中でも大きな転機になったといいます。
——より自由な挑戦を求め、博報堂グループへ
その後、博報堂グループのスパイスボックスへ転職します。その背景にあったのは、より自由な環境で新規案件に挑戦したいという思いでした。電通グループはプロジェクト規模が大きい分、担当するクライアントの業界が決まっていることが多く、別の業界へのアプローチや新規提案の機会は限られていました。そこで、より幅広い企業へ積極的にアプローチしていきたいという思いから、転職を決意。スパイスボックスでは新規営業を積極的に担当し、企業への提案活動を数多く経験しました。中でも印象的だったのが、NHKの朝のニュース番組「おはよう日本」のプロモーション企画です。当時、NHKは若年層への認知拡大を模索しているタイミングでした。SNSを活用した企画を提案し、大きな反響を生んだといいます。
——事業開発まで踏み込む仕事へ
現在は株式会社ADDIXにて、マーケティング支援だけでなく、クライアントの事業開発まで関わる仕事をしています。転職のきっかけは、電通時代の転職エージェントだった人物との縁でした。広告だけではなく、事業開発や新規事業なども手掛けている会社で、非常に面白い取り組みをしている会社だと感じたとのことです。ADDIXでは30代に入り、マネジメントの役割も担うようになりました。チームをゼロから立ち上げ、組織を成長させていく経験は、これまでのキャリアの中でも大きな挑戦だったと語ります。人を動かすことの難しさは、マネジメントをして初めて実感しました。ただ、メンバーが成長して活躍する姿を見るのは本当に嬉しいと語ります。

——体育会での経験がキャリアに与えた影響
髙橋さんは、体育会サッカー部での経験が社会人生活に大きく活きていると話します。特に感じているのは「チームマネジメントの素養」です。「スポーツもビジネスも、本質は大きく変わらないと思っています。サッカーは勝利、ビジネスは売上という違いはありますが、チームで目標に向かうという構造は同じです。」
また、体育会の大きな価値として挙げたのが、OB・OGとの強いつながりです。20代の頃はあまり実感しないかもしれませんが、30代以降になるとその価値が本当に大きいと感じているとのことです。
——現役学生へのメッセージ
最後に、体育会で活動する現役学生へのメッセージを伺いました。「まずは部活動を全力でやりきってほしいですね。その過程で仲間を作ることがとても大事だと思います。」そしてもう一つ大切にしてほしいのが、OBとのつながりだといいます。「OB訪問を遠慮する学生もいるようですが、むしろ社会人側は嬉しいものです。若い人たちが何を考えているのか知ることは、私たちにとっても大きな刺激になります。」
体育会で築かれる縦のつながりは、社会に出てからも長く続く大きな資産です。そうした関係性を大切にしながら挑戦を続けてほしいと語ってくれました。
広告制作の現場から始まり、企画、マーケティング、事業開発へとキャリアを広げてきた髙橋勇紀氏。その歩みからは、体育会で培ったチームワークと挑戦心が、ビジネスの世界でも確かな力として生きていることが伝わってきます。
髙橋 勇紀(たかはし ゆうき)
成蹊大学経済学部卒。大学では体育会サッカー部に所属し、副キャプテンを務める。卒業後、映像制作会社AOI Proに入社しCM制作に従事。その後、電通イーマーケティングワン(現・電通デジタル)にてデジタルプロモーションを担当。博報堂グループのスパイスボックスを経て、現在は株式会社ADDIXにてマーケティング支援および事業開発に携わる。