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20以上の事業を展開するエアトリ経済圏。「ボールを持たない実行力」とは何か——株式会社エアトリ

総合旅行プラットフォーム「エアトリ」を中心に、全22の事業を展開するエアトリグループ。東証プライム上場企業、グループ内にも上場企業子会社が3社と、安定した基盤を持ちながら、毎年のように新規事業の立ち上げやM&Aを通じ、変化と成長を続ける独自のカルチャーを持っています。

その一方で、現場では若手社員が採用手法の構築や社内の仕組みづくりなど、ゼロからの挑戦を担う場面も多くあります。こうした環境の中で、どのようにスピード感ある意思決定と挑戦が生まれているのでしょうか。

また、コロナ禍においては、90億円の赤字からわずか1年でのV字回復を実現するなど、圧倒的なスピードで変化を乗り越えてきました。その背景にはどのような組織文化があるのでしょうか。今回は、2019年に新卒入社し、企業戦略部の部長として活躍する土屋孝幸さんにインタビューしました。

 

 

——貴社の事業内容とミッションについて教えてください。

 

当社は、総合旅行プラットフォーム「エアトリ」の運営を中心に、多角的な事業展開で全22事業を行い、ITの力を活用し、「エアトリ経済圏」を強化、終わりなき成長を目指しています。祖業となる、「エアトリ旅行事業」では、「エアトリ」が国民的サービスとなることを目標にまい進しており、常にユーザーファーストで笑顔で丁寧・安心・信頼を何よりも重視し、「毎日がファン作り」を標ぼうしています。

成長の基盤となっているのはITの開発力にあります。グループ全体約1,200名のうち、半数以上がベトナム拠点のエンジニアで構成されており、約800名規模の開発体制を強みとしています。この体制により、新規事業・施策をスピード感を持って形にすることが可能となっています。

事業領域も多岐にわたり、直近では、会員数800社を超える経営者団体、完全招待制の経営者コミュニティ「エアトリCXOサロン」を運営する「CXOコミュニティ事業」、国内最大級(加盟店約200店)小顔サロン「BUPURA」をFC展開する「美容FC事業」などが新規で立ち上がっております。ただし、単に事業領域を広げているのではなく、既存の顧客基盤と自社の開発力を組み合わせることで、各事業が相互に連携しながら成長する「エアトリ経済圏」として展開しています。ミッションとしては、日本発のオンライン旅行代理店として「和製OTA No.1(※)」を目指すとともに、「終わりなき成長」を実現していくことを掲げています。

※OTA:Online Travel Agent (オンライン旅行代理店)

 

——多角的な事業展開を進める中で、エアトリならではの「強み」や「特徴」は何でしょうか?

 

最大の強みは、「ベンチャーマインド」と「安定した働きやすさ」が両立している点です。当社は毎年のようにM&Aを通じて新たなグループ会社を迎え入れたり、新規事業を立ち上げたりと、継続的に事業領域を広げています。

こうした成長を支えているのが、M&Aに対する考え方です。当社では単なる企業統合ではなく、「仲間集め」と捉えており、事業だけでなく人材も含めてグループに迎え入れることで、組織全体としての多様性を高めています。

一方で、急速に拡大する組織だからこそ、働く環境の整備にも力を入れています。東証プライム上場企業として「エアトリグループの約束/行動指針」を定め、コンプライアンス順守をはじめとした働きやすい環境の実現を目指しています。

 

 

また、取締役会長・グループ創業者の大石が自ら「人的資本経営」の取り組みを推進しており、育成や挑戦の機会を提供すると同時に、ベースアップや賞与の引き上げ、退職金制度の導入、さらには福利厚生の充実など、利益を社員に還元する仕組みも整えています。

2025年9月期には過去最高益となる、営業利益46.6億円を達成しております。人を活かし、人を大切にする経営の継続が、低い離職率に繋がっており、好業績に直結していると考えております。

 

 

このように、成長のスピードと働く環境の安定性を両方している点が、当社ならではの特徴だと考えています。

 

——上場企業の安定感とベンチャーのスピード感を、どう両立させているのでしょうか?

 

その両立を可能にしているのは、精神論ではなく、徹底した「仕組み化」です。当社の行動規範の中に「ボールを持たないスピード」という言葉があり、仕事を滞留させず、即対応・即実行を全社で徹底しています。ただし、この考え方をスローガンで終わらせず、実際の業務運用にまで落とし込んでいます。

たとえば、「来客30分会議20分」の徹底等で業務の遅延・無駄を排除していることや、勤務時間管理対象の従業員に対しての勤務時間外での業務連絡を禁止としており、勤務時間内に業務を完結させる文化があります。これにより、限られた時間の中でいかに効率よく、集中して業務を進めるかという意識が自然と生まれます。こうしたルールがあることで、単に効率を上げるだけでなく、各自が自ら考えて動く必要が生まれます。その結果、若手であっても指示待ちをせず、業務改善や新規施策の提案が出やすくなる環境があります。

全員が共通のルールと方向性を持ち、その枠組みの中で最大限のスピードを発揮すること。これが、安定性とスピード感を両立できている理由だと考えています。

 

——そのような環境下で、若手の声が会社の仕組みを「ゼロから」変えた事例はありますか?

 

私が入社した2019年当時、新卒採用は大手就活ナビ媒体に依存していました。しかし、この状態では採用の再現性が十分に担保できないという課題があり、若手社員の中から「自社コーポレートサイトを起点としたオーガニック採用に注力すべきではないか」という提案が上がりました。

そこからは、仕組みを一から構築する取り組みが始まりました。採用ページの設計からエントリーフォームの作成まで、すべて手探りで整備し、ゼロベースで採用導線を構築しました。その結果、採用単価の大幅な改善につながり、現在では多くの学生が自社サイト経由で選考に進んでおり、採用の仕組みの最適化を進めることができた事例です。

また、若手を中心に、産学連携の取り組みにも力を入れております。昨今、働き方の多様化が進む中で、学生が自らのキャリアを主体的に捉え、行動する「キャリアオーナーシップ」の重要性が高まっています。当社では、実社会のリアルな課題解決や現役社員との対話を通じ、次世代を担う人材の育成に貢献できればと考え、足元、教育機関様との連携をゼロベースで構築していっております。

このように、年次に関係なく現場からの提案が実際の仕組みに反映される点が、当社の特徴だと考えています。

 

 

——旅行業といえばコロナ禍の影響が特に大きかった分野ですが、当時の状況をどのように乗り越えたのでしょうか?

 

「意思決定の速さ」と、それをすぐに実行に移す「行動力」を原動力にして乗り越えました。

2020年、主力の旅行事業が大きな影響を受け、減損控除後で約90億円の過去最大の赤字を計上しました。そのような厳しい状況でも、ただ、既存事業の回復を待つのではなく、新たな収益源を早急に立ち上げるという判断が行われ、その一つとして新型コロナウイルス感染症のPCR検査事業を開始しました。

またGo To トラベルの開始の影響もあり、翌期には約40億円の利益を計上するまでに回復しています。

こうした迅速な意思決定と実行を可能にしている背景には、経営陣の判断の速さと、それを現場が即座に形にする組織文化があります。「ボールを持たないスピード」という行動規範のもと、方針が決まればすぐに動き、試行錯誤を重ねながら改善していくサイクルが徹底されていました。

この経験を通じて、「まず動くこと」と「スピードを止めないこと」が組織全体にさらに定着し、それが現在の「エアトリ経済圏」の拡大にもつながっていると考えています。

 

——若手から大きな裁量を持つことに対し、不安を感じる学生もいると思います。貴社では「失敗」をどう捉えているのでしょうか?

 

そもそも私たちは、失敗を単なる失敗として捉えてはいません。若手から既存のやり方と違うアイデアが出てきた場合でも、それを頭ごなしに否定するのではなく、「どうすれば良い結果につながるか」をチーム全体で考える文化があります。

ただし、若手が一人で判断して大きな問題につながるような環境にはしていません。経営陣から新卒社員まで組織はフラットとして考え、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」を徹底しており、日頃からしっかり情報共有を行うことで、ミスやリスクを早い段階で防いでいます。

そのうえで、私たちは個人プレーではなく、事業部単位でチームとして動く組織です。日々のコミュニケーションの中でリスクを管理しながら、若手の意見もきちんと受け止めて、チームとして形にしています。

この仕組みがあるからこそ、新卒でも過度に怖がることなく、入社直後から裁量を持って挑戦できる環境になっていると考えています。

 

 

——新卒社員に求める人物像について教えてください。

 

私たちが新卒社員に期待する要素を一つにまとめると、「素直さ」だと考えています。ただし、これは単に言われたことをそのまま受け入れるという意味ではありません。具体的には、3つの姿勢を指しています。

1つ目は、変化を前向きに受け入れる柔軟性です。当社では毎年のように新しい会社がグループに加わり、新規事業も次々と立ち上がります。こうした変化の多い環境に対して、構えすぎず素直に楽しんで飛び込める方は大きく成長します。

2つ目は、周囲を尊重しながら動くチームワークです。当社は個人プレーで成果を競うのではなく、事業部単位でチームとして成果を出す組織です。そのため、年齢や役割に関係なく、周囲をリスペクトしながら協力できる姿勢が欠かせません。

3つ目は、自ら考えて行動する自律性です。指示を待つのではなく、自分の仕事に責任を持ち、「どうすればより良くなるか」を考えながら改善を重ねていく力が求められます。

このように、「変化への適応力」「チームへのリスペクト」「自律した行動力」という3つを兼ね備えた素直さこそが、この環境で活躍するための重要な要素だと考えています。

 

——最後に、学生へのメッセージをお願いします。

 

エアトリは「和製OTA No.1」と「終わりなき成長」を掲げ、年次に関わらず裁量を持って挑戦できる環境です。上場企業としての安定基盤やワークライフバランスを保ちながらも、ベンチャーのようなスピード感と熱量の中で働きたい方にとって、大きな挑戦機会がある環境だと考えています。

学生の皆さんに今から意識してほしいことは2つあります。

1つ目は、日常の中で「ビジネスの仕組み」を考える習慣を持つことです。例えばコンビニや飲食店を利用する際に、「どうやって利益を出しているのか」「なぜこの価格なのか」を少し立ち止まって考えてみてください。その視点は、社会に出てから必ず役に立つと思います。

2つ目は、新しいテクノロジーに積極的に触れることです。特にAIのような技術は今後さらに重要性が増していきます。学生のうちから最新のサービスに触れ、使いこなす経験を積んでおくことが大切だと思います。

変化を前向きに楽しみ、自ら考えて行動できる皆さんと、エアトリの未来を一緒に創っていけることを楽しみにしています。

 

 

土屋 孝幸(つちや たかゆき)
企業戦略本部 企業戦略部 部長

2019年4月、新卒で株式会社エアトリに入社。投資事業(エアトリCVC)や広報、会長社長室などを担当し、入社2年目からは新卒採用担当を兼任して会社説明会から採用面接までを幅広く担う。2023年10月からは「エアトリ」の夜行・高速バス事業責任者を兼任。さらに2024年11月からは新規事業である完全招待制経営者コミュニティ「エアトリCXOサロン」の立ち上げに注力。