任せるから育つ。“化学反応”が生まれる組織マネジメント——株式会社オレヤル
株式会社オレヤルは、大阪・東京・北海道とというまったく異なる市場で、多様なコンセプトで飲食に関わる事業を展開する企業です。業態や客層の異なる店舗運営に加え、ケータリング事業やブライダル領域への挑戦など、独自の視点で事業を広げています。
今回のインタビューでは、代表取締役の本澤杏祐さんに、事業の立ち上げ背景や、3つのエリアで異なる業態を選んだ理由、組織を支えるバリューや学生・若い世代へ向けたメッセージについて伺いました。

——貴社の事業内容について教えてください。
当社は、店舗型の飲食事業とケータリング事業の二軸で事業を展開しています。
飲食事業は大阪・東京・北海道の3拠点で運営しており、エリアごとの特徴は以下のとおりです。
・大阪:ORAN(カジュアルイタリアン):自分が生まれ育った地で、「日常的に通えるレストラン」をテーマに立ち上げた店舗
・東京:INAI(会員制和食):社会人時代を過ごした街で、全席完全個室でコース料理のみを提供する和食レストランを展開
・北海道:RUSUCHU(中華火鍋):インバウンド需要が日本で最も盛り上がるエリアの一つ。大学時代の友人から声をかけられたことをきっかけに挑戦
エリアごとに特徴が異なる理由は、エリア毎の需要とその店を任せる人間の能力や個性を元に決定しているため。同じ“飲食店”でも業態を固定せず、地域や人に合わせて柔軟に設計しています。

——ケータリング事業についても教えてください。
ケータリング事業は、店舗運営で培った“料理・サービス・場づくり”のノウハウを活かし、2025年6月に本格始動しました。2025年現在は主に大阪と東京を中心に展開しており、企業から依頼を受ける経営者同士のパーティや社内イベントでのビュッフェ料理の提供、ブライダル領域として結婚式・二次会、東京の神社での披露宴でのコース提供などの案件が増えています。
他にも、花火大会での料理提供のご依頼を受けることもあり、今後はより幅を拡げて野外の音楽フェスやファッションイベントなど異なる分野で料理を切り口に参加できたら嬉しいなと思っています。
ケータリング事業は店舗とは違い、「場所に合わせて最適な料理と体験を届ける」ことを重視する点におもしろさがあります。幅広い形で“場づくり”に関わっていく事業として特に2026年から事業として注力していく予定です。
まずは大阪や東京の都市部で幅広く実績を作りながら、ただの飲食ではなくエンタメの要素を持つコンテンツに昇華することでニセコ・ルスツのようなインバウンド需要があるエリアで楽しめるものとして展開していけると考えています。
——前職は会社員と伺いましたが、なぜ起業に踏み切ったのでしょうか?
新卒で就職をしたときから「自分はいつか起業する」と決めていました。ただ良くも悪くもサラリーマンが楽しいと思えるほどに前職では多大な裁量を持ちながら働かせてもらえたり、コロナ禍に入ったタイミングで子供が生まれたりと、自分自身のキャリア選択において重視するものが日に日に増え、そのバランスを取ることに注力している自分を自覚したときに「このままじゃダメな気がする」そう思って前職を退職、独立することを決意しました。
元は人材やITと呼ばれる領域で飲食とは全く異なる業種でしたが、学生時代に一度飲食業界での起業を経験していたときの記憶や経験をふと思い返したときに、美味しい料理、心地よい空間、気持ちの良い接客——そうした目に見える“体験の積み重ね”が、そのままお客様の喜びにつながる点に改めて魅力を感じ、もう一度飲食業界で再挑戦してみようと思いました。

——「オレヤル」という社名の由来について教えてください。
「オレヤル」という社名は元々はそのまま“俺がやる”という意味でつけました。しかしこれが今となってはただの言葉遊びではなく、会社の価値観そのものを表しています。今は自分ひとりの「俺がやる」ではなく、個性や能力を持つ仲間たち全員“俺がやる”という想いや行動の集合体として成り立っています。
会社のバリューには、“3つのオレヤル”というものを定めています。一人ひとりが「自分がやる(主体性)」「自分ならできる(個性)」「自分がやらなきゃいけない(責任感)」という価値観で動くことを重視しています。
——会社のバリュー“3つのオレヤル”はどのように生まれたのですか?
飲食業は、結局のところ「人」が主役の仕事です。料理やサービス、運営管理などそれぞれの役割毎に分かれてはいますが、現場に立つ一人ひとりが“自分らしさやスキル”を出し切れるかどうかで、店全体の空気感が変わり、それがお客様が感じる食体験としての価値に直結すると考えています。
だからこそ、採用や配置においても一般的な調理技術や接客経験以上に“個性”を重視します。そこからも常に“自分の個性を武器に働きながら、徹底的に伸ばす”ことを求めています。それだけ自分自身の個性を認識していることは自分の自信にも繋がり、同様に大切にしている“責任感”にも繋がります。そのうえで店舗運営でも役割に応じて裁量を渡す“権限移譲”を徹底しています。本人達が望むのであれば目標設定や運営方針も、基本的には現場のメンバーが自分たち自身で決めてもらいます。取り組んだ成果はきちんと定量的に評価し、報酬として還元する仕組みも整えています。

自分で考え、自分で動き、その結果に責任を持つ。この3つのバリューは働く本人達にとっての「働いていて楽しい」という想いにつながる最も大切な要素だと思っています。またそれぞれの個性が奇跡的に重なることで生み出される高いパフォーマンスや数字上の成果はまさに化学反応と呼ぶもので、自分はそんな化学反応を見たときに仕事自体がとても楽しく、そのきっかけを作れたことに自分自身の“個性”が活かされていると強く感じることができます。
——組織のマネジメントはどのように考えていますか?
「なるようになれ精神」を大切にしており、基本は「任せる」スタイルです。
任せる範囲は、段階を踏んで少しずつ任せるというよりは、失敗する可能性が十分にあると思うところまで。ただ自分自身やお客さん目線で考えた時に絶対やったらいいのに、と考えたことは100%任せます。成功しても失敗しても本人の学びになりますし、任せるからこそ自走する力が育つと考えています。
また、あえて最初から組織を固めすぎないように、役割や配置の中で余白も多く作ることで生まれる“化学反応”を楽しむという感覚を大切にしています。自分が現場にいない時に何が起きるか、新しい人間が入るとどう変わるか、その未知の部分も含めて個人もチームも成長していくことは組織づくりにおいて大事だと思っています。
——学生のうちにやっておいた方がいいことはありますか?
私が学生に一つ薦めるとしたら、先程のマネジメントでお伝えした「失敗する可能性が十分にある」ような“本気の挑戦”です。
その中でも分かりやすく言うならば、起業は非常に良い経験になります。皆さんにとってハードルが高いように感じるかもしれませんが、それは大人でも同様で、むしろ大人達の方が難しいと感じているかもしれません。それは年齢や年月とともに失うことの恐さや責任の重さが大きくなってしまっているからだと思いますが、逆に今の皆さんにとって何か失うものってありますか?
実際、私の学生時代の起業経験は誰が見てもはっきりと「失敗だった」と言える結果でした。ただそこから失ったものはほとんどなく、むしろ得られたものがその何倍もあります。ビジネスにおいて学生だから許される、ということは無いかもしれません。しかし学生だからこそ失敗してもまた前に進める。その後の行動次第でどうにでもなることは山程あります。だからこそ、大きなチャレンジをしてほしいと思っています。

——最後に、貴社に向いている人材を教えてください。
オレヤルで働く価値は以下の2つです。
1.身近な人たちに日々幸せを届けられること
2.飲食業界のセオリーを無視したスピード感のある事業展開
専門性を極めたい人、スピード感を持って成長したい人、こんな人は大歓迎です。当社は飲食業界のセオリーと言われるような、“段階を踏む”という考え方がありません。今まで全く経験のない人間が料理人になることも、逆に料理人から事業を作る側になることも日常的にあります。とにかく、今の自分の個性で勝負したい人には、きっと面白い環境ですし、まだまだ自分たちが知らない知識や経験がある人や、変わった個性を持った人がこれからどんどん集まってくれると会社自体がもっと楽しくなるんだろうなとワクワクしています。
本澤 杏祐
代表取締役
2017年に新卒としてレバレジーズに入社し、若年層領域の人材事業の立ち上げにアサイン。4年目から事業責任者として150名を超える組織を統括。2023年に同社を退職後、株式会社オレヤルを設立。2024年1月に大阪福島にイタリアンレストランORAN、2025年3月に東京恵比寿に会員制の和食レストランINAI、2025年12月に北海道に中華レストラン「RUSUCHU」をオープン。