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何度でも立ち上がれる人を増やす。“習慣”で人生を変える——株式会社兆人

株式会社兆人は、習慣化を通じて“人が何度でも立ち上がれる環境”をつくる会社です。才能や意識の高さではなく、行動と継続に光を当てることで、多くの若者やビジネスパーソンの可能性を引き出してきました。

今回は、代表取締役の齊木佑輔さんに、自身の人生を大きく変えた習慣化の原体験から、兆人という組織に込めた思い、そしてこれから社会に出る学生へのメッセージを伺いました。

 

 

——貴社の事業概要について教えてください。

 

株式会社兆人はBtoCとBtoBの2軸で事業を展開しており、主に4つのサービスがあります。

まずBtoC領域のサービスは、「エグゼクティブコーチング」と「習慣化コミュニティ『兆人』」の運営です。エグゼクティブコーチングでは、社長や経営層の方を対象に、習慣化を軸としたコーチングやメンタリングを提供しています。私自身が一般財団法人 日本コミュニケーショントレーナー協会認定のメンタルトレーナー資格を持っていることもあり、経営者が抱えやすい孤独や不安に寄り添いながら、意思決定や行動の質を高めるサポートを大切にしています。もう一つが、習慣化コミュニティ『兆人』です。早起きや運動、学習など、個人が掲げた目標に対して、仲間と一緒に取り組む仕組みをつくっています。チーム制度や数値管理を取り入れることで継続を支援し、単なる自己管理にとどまらない「頑張る人が正当に報われるサードプレイス」を目指しています。

こうしたBtoC事業で培ってきた強みが、そのままBtoB向けの事業にもつながっています。BtoB領域の一つ目のプロダクトが「兆人履歴書」と呼んでいる人材データベースです。学歴や職歴だけでなく、習慣化の達成率や継続力、チーム内での振る舞いなどを数値化し、その人が「これからどれだけやり抜けるか」を可視化しています。このデータを活用し、インターンや第二新卒を中心とした採用コンサルティングを行います。二つ目が「兆人メソッド」です。オンラインかつ大人数でも高い成果を出せる習慣化の仕組みで、実際に日記の継続率は約9割、目標達成率も8割を超えています。この方法論を企業向けの習慣化トレーニングとして提供し、経営層やチームの生産性向上、組織づくりに役立てていただいています。個人の行動変容から組織全体の変化までを一貫して支援できる点が、当社の事業の特徴です。

 

——起業に至った背景や、事業に込めた思いを教えてください。

 

大きく分けて、起業に至った背景と、私個人の原体験という2つの観点があります。

まず背景についてですが、「兆人」という取り組みに対して、社会から想像以上の注目や期待をいただくようになったことが大きなきっかけです。立ち上げから約3ヶ月(取材当時)の新しいコミュニティですが、短期間で参加者が増え、取材や人材面での問い合わせも多くいただいています。(取材当時)この流れを一過性で終わらせず、兆人の運営を通じて得た知見や価値を、関わる人たちにきちんと還元していきたいと考え、法人化を決意しました。

もう一つが、私の原体験です。20代の頃、大きな病気とうつ病を同時に経験し、命の危機に直面しました。回復後もPTSD(心的外傷後ストレス障害)の影響で社会復帰が難しい時期が続きましたが、そんな中で自分を立て直してくれたのが「習慣化」でした。食事や運動、人と会う頻度など、小さな行動を積み重ねた結果、約1年で日常生活を取り戻せる感覚が戻ってきました。この経験から、どんな状況にあっても、“正しい習慣と環境さえあれば人は変われる”と実感しました。その思いを自分だけのものにせず、多くの人に届けたいと考えて立ち上げたのが兆人です。兆人では、「兆人通りの可能性をすべての人に届ける」ことをミッションに、「頑張る人が正当に報われるサードプレイス」をつくることを目指しています。自身がどん底を経験したからこそ、挑戦し続けられる環境の大切さを誰よりも信じています。

 

 

——頑張る人が報われる組織とはどういう状態ですか?

 

頑張る人が報われる組織とは、「結果が出た人だけが評価される場所」ではなく、“プロセスや継続そのものがきちんと見える状態”だと考えます。兆人では、才能や要領の良さよりも、「ちゃんと向き合い続けたか」「何度転んでも立ち上がったか」を大切にしています。完璧にやり切れなくても、挑戦したこと、続けようとしたこと自体が評価される空気があると、人は安心して前に進めます。また、頑張りが数字や言葉、リアクションとして周囲から即座に返ってくることも重要です。誰かが見てくれている、応援してくれていると実感できるからこそ、「もう一日だけやってみよう」と思え、その積み重ねが自信や成長につながっていきます。

つまり、兆人が目指しているのは「一部の強い人だけが輝く組織」ではなく、頑張ろうとする人全員が、何度でも立ち上がれる組織です。その状態こそが、「頑張る人が正当に報われる組織」だと考えています。

 

——兆人メソッドの具体的な内容について教えてください。

 

兆人メソッドの本質は、「頑張らなくても自然と続く環境」をつくることです。気合や根性に頼るのではなく、サボりにくく、動かざるを得ない状態を設計しています。例えるなら、弱火でじわじわ温め続けるように、小さな行動を毎日積み上げる設計です。具体的にはチーム制を採用し、毎朝の起床報告、日中の行動実践、夜の日記記入までを一連の流れとして運用しています。チーム全員が取り組む中で、マネージャーが行動した人をしっかり称賛することで、「自分もやろう」という空気が生まれます。さらに行動はすべて数値化し、個人やチームの達成度を可視化しています。ランキングやMVP制度なども設けていますが、目的は競争ではなく「できた人を思いきり褒めること」です。適度なプレッシャーとエンタメ要素を組み合わせ、成功体験を積み重ねることで、習慣になっていく──それが兆人メソッドの強みです。

 

——兆人メソッドがきっかけで変化したという具体例はありますか‎?

 

よく「もともと意識が高い人たちなんですよね?」と聞かれるのですが、結論から言うと全くそんなことはありません。実際、兆人に参加しているメンバーの約75%は、以前は11時や12時に起きるのが当たり前で、三日坊主を繰り返してきたタイプの人たちです。私自身、参加者の多くと直接話す中で、そう実感しています。具体的な例を挙げると、もともと朝が本当に弱く、昼前に起きる生活をしていた学生がいました。その彼が兆人に参加してから、毎朝6時半に起きる習慣が身につき、ジムにも通うようになりました。生活リズムが整ったことで使える時間が増え、自信もついていったんです。結果として、現在は複数企業の経営企画やSNS営業を担当するなど、学生のうちから実務で評価され、複数企業の業務を任されるようになり、いくつもの仕事を掛け持つ存在になっています。兆人メソッドによって行動が変わり、その積み重ねがキャリアや自己評価まで大きく変えた、非常に象徴的な事例だと思います。

 

——組織やコミュニティで大切にしている文化は何ですか?

 

当社で大切にしているのは、「透明性」と「ポジティブなリアクション」です。

まず透明性については、運営と参加者(兆人では“町民”と呼んでいます)の上下関係を極力なくし、方針や考えていることをできるだけオープンに共有しています。事業の方向性や取り組みは定期的に発信し、運営側も町民と同じように日記を書いています。そうすることで、「どんな人たちが、何を考えて運営しているのか」が見える組織でありたいと思っています。得体の知れない組織ではなく、共感できて応援したくなる存在であることを大切にしています。

もう一つが、ポジティブなリアクションの文化です。誰かの発言や行動に対して、スタンプやコメントでしっかり反応する。早起きできた、サボりたい気持ちに勝てた、そんな小さな行動にもリアルタイムで反応することで、毎日「成功体験」を感じられるようにしています。応援されると、次は誰かを応援したくなる。その循環が生まれることで、途中で離れても戻りやすく、また挑戦し続けられる。そんな温かく前向きな文化を大切にしています。

 

 

——会社の雰囲気やメンバーの特徴を教えてください。

 

兆人のメンバーを一言で表すなら、「ポッピングシャワー」みたいな組織ですね。見た目も中身もカラフルで、個性が混ざり合って面白い化学反応が起きる。エンジニア、元ゲーマー、国体出場経験者、普通の社会人まで、本当にバックグラウンドはさまざまです。共通しているのは、応援するのも、されるのも好きな人が多いという点。自分だけで頑張るより、誰かを応援し、応援されながら前に進みたい人が集まっています。

社員も少人数ですが、スタンスは同じです。お人好しで温かい一方、数字や期限には本気で向き合っています。張り詰めすぎず、励まし合いながら目標に向かう──そんな雰囲気が私たちの特徴だと思います。

 

 

——最後に、学生に向けてメッセージをお願いします。

 

学生の皆さんに伝えたいのは、「とにかく挑戦して、転んで、学んでほしい」ということです。やりたいと少しでも思ったことがあれば、深く考えすぎずにまず手を出してみる。うまくいくかどうかより、「行動して、失敗する」経験そのものが大切だと思っています。学生という立場は、多少の失敗も前向きに受け取ってもらえる特別な期間です。これは今しか使えない大きなチャンスで、挑戦して転んだ経験は後から必ず自分の財産になります。

 

実際、魅力的な人は「かっこいい夢」を語る人より、「一度やって失敗した話」を持っている人です。行動した分だけ、経験も人としての厚みも増えていきます。だからこそ今は、思いきって挑戦し、失敗を経験してみてください。もし挑戦のきっかけや環境を探しているなら、兆人はその一歩を踏み出す場になれると思います。

 

齊木佑輔
代表取締役

難病と重度のうつ病を経験し、日々の行動を習慣化することで人生を取り戻した原体験を持つ。その学びを多くの人へ届ける習慣化コミュニティ「兆人」を創設。外資系企業で、日本人メンバー初の「アジア優秀セールス」を3期連続で受賞。コーチとして、複数企業のCEOを支援。個人の成長と組織の力を同時に引き出す仕組みづくりを通じて、「やり抜く力」が循環する社会の実現を目指している。

 

 

執筆:青木千奈(株式会社Koti)