「親孝行」が、キャリアの軸になる——信和興業株式会社
信和興業株式会社は、防犯・防災設備を通じて、人々の暮らしと命を守る仕事に取り組む会社です。マンションのインターホン設備や防犯カメラ、自動火災報知設備、病院向けのナースコール設備など、社会インフラに欠かせない分野を支え続けています。
今回は、代表の大渕さん、経営企画 取締役として人事・組織づくりを担う宗近さん、現場で活躍する長沼さんの3名にお話を伺い、信和興業の事業や大切にしている価値観、そして学生に伝えたい想いを深掘りしました。

——貴社の事業内容を教えてください。
大渕さん:
私たちは、人々の「安心・安全・快適」をトータルで支える、防犯・防災設備の工事を行う会社です。具体的には、インターホンや監視カメラ(防犯)、防災設備やナースコール(安全)、電話・テレビ設備(快適)を対象に、機器の仕入れから提案、施工管理までを一貫して行っています。
当社の強みは、マンションのインターホン設備のリニューアル事業です。管理会社などのBtoBでの取引や、管理組合様や個人オーナー様から、ホームページを通じて直接お問い合わせをいただき、BtoCで取引しています。高まる防犯意識や災害対策のニーズに応える、社会にとって必要不可欠なインフラ整備を当社が担っています。

——BtoCの取引には、どのような強みがあるのでしょうか。
大渕さん:
業界的には、管理会社を挟むBtoB取引が多いですが、BtoBではどうしても中間コストが発生します。私たちは管理組合様やオーナー様と直接やり取りすることで、余計なコストを省き、価格面、品質面で双方にとってメリットのある提案ができることが強みです。
また、インターホンメーカーも特定の1社に偏らず、主要メーカーであるアイホンとパナソニックの両方の魅力をフラットな視点で比較し、最適なメーカーをお客様目線で提案できる点も評価されています。2025年度は、アイホン、パナソニック共に、仕入れ額が全国3位になっております。
——大渕さんが代表に就任された当初、大変なご経験があったと伺いました。詳しく教えてください。
大渕さん:
私が代表に就任したのは32歳のときでした。父が突然倒れ、余命3か月と宣告されたことがきっかけです。この業界は年功序列の色が強く、30代前半で社長になること自体が珍しい世界です。経営者としての準備も、心の整理もつかないまま、「私がやらなければ会社が続かない」という状況で代表に就きました。
就任直後は、想像以上に厳しい現実がありました。実際、私が社長になると知って、取引先を引き抜こうとし、退職する社員もいました。その社員が根も歯もない悪い噂話をしていたため、挨拶に行っても無視された会社もありました。
それでも、「会社対会社として正面から向き合うしかない」と腹をくくりました。退職した社員と同じ条件で見積もりを出し、価格だけでなく、品質や対応力も含めて徹底的にやり切る。そうした姿勢を積み重ねることで、時間はかかりましたが、最終的にはすべての取引先を取り戻すことができました。
当時は本当に必死でしたが、今振り返ると、あの経験があったからこそ経営者としての覚悟が固まり、会社をここまで成長させる原動力になったと感じています。

——会社や事業を大きくする中で、大渕さんならではの工夫した点はありますか?
大渕さん:
父の代では売上が約3億円でしたが、そこから「ここで終わりたくない」「負けたくない」という思いで、とにかくがむしゃらに事業に向き合ってきました。4年で売上を約4倍の12億円規模まで伸ばせたのは、やれることはすべてやり、可能性があることには積極的に挑戦してきた結果だと思っています。
その中で意識していたのは、“人とのつながりを最大限に生かす”ことです。若い頃からの縁で、不動産ディベロッパーの方々との関係があり、そこからゼネコンへ「インターホンは信和興業を使ってほしい」と推薦していただく機会が増えていきました。業界のトップ層からの信頼が次の仕事につながり、結果として取引先が一気に広がっていきました。
仕事の質で信頼に応え続けることと、人とのご縁を大切にすること。その積み重ねが、会社の成長につながってきたと感じています。
——2025年現在は13期連続で増収増益を達成されています。その理由はどこにあると考えていますか。
大渕さん:
大きく分けて、理由は3つあると考えています。
1つ目は、事業構造のバランスです。当社は新築工事とリニューアル工事の両方を手がけていますが、この二軸を意識的に並行して育ててきました。たとえばコロナ禍では、入居者の部屋に入る必要があるリニューアル工事が一時的に止まりましたが、新築工事は比較的影響が少なく、稼働を維持できました。どちらか一方に偏らず、リスクを分散していたことが、安定した成長につながったと思います。
2つ目は、コスト管理です。特にコロナ禍では、移動や対面の制限によって交通費や諸経費が抑えられ、結果として利益率が改善しました。売上だけでなく、「どう利益を残すか」を常に意識してきた点も大きいですね。
そして3つ目は、少し精神論になりますが「運」だと思っています。ただし、運は偶然ではなく管理できるものだと考えています。私たちはこれを“ラックマネジメント”と呼び、感謝の心を持ち、まず“相手に与えること”を徹底しています。信頼や信用といった見えない資産を積み重ねることで、結果として仕事や利益という形で返ってくる。この考え方を会社全体で大切にしてきたことが、13期連続の増収増益につながっていると感じています。
——組織づくりで、特に大切にしている考え方は何ですか。
大渕さん:
組織づくりで最も大切にしているのは、「社員とその家族が幸せであること」を本気で実現すること、そして感謝の心を行動にする文化を根付かせることです。
私たちが目指しているのは「日本一、社員とその家族が幸せな会社」です。この幸せは一時的なものではなく、心(精神)・体(健康)・財(経済)の3つがバランスよく満たされ、少しずつ向上し続ける状態だと定義しています。
心の面では、親孝行や家族とのつながりを大切にしています。リゾート施設の無料提供や親孝行旅行の支援、両親や祖父母へ感謝の手紙を書く機会を設けるなど、社員が「感謝を行動にする」きっかけを会社としてつくっています。また、経営状況や決算内容を全社員に開示し、会社の状態を“自分ごと”として共有することも、安心感と信頼につながっていると感じています。
体の面では、健康を最優先に考えています。通常の健康診断に加え、MRIや内視鏡検査などの精密検査を会社負担で受けられる仕組みや、社内トレーニングルーム、酸素ボックス、マッサージ機などを整備し、長く元気に働ける環境をつくっています。

財の面では、利益の20%を決算賞与として社員に還元し、年次や役職に関係なく「その期の活躍」で評価しています。また、無駄なコストは徹底的に削減し、その分を賞与や環境改善に回すことも意識しています。
こうした取り組みの根底にあるのが、「感謝の心を行動にする」という考え方です。社員が満たされているからこそ、お客様や取引先にも自然と感謝を行動で示すことができ、その結果、信頼が生まれ、仕事が循環していきます。実際に、10期連続で離職者ゼロ、13期連続の増収増益につながっています。
社員が幸せだからこそ、良い仕事ができ、会社も成長し、その成長をまた社員に還元する。そんな循環をつくることが、私たちの組織づくりの軸です。
——人事の視点から、どんな学生に来てほしいと考えていますか。
宗近さん:
私たちが一番大切にしているのは、「素直さ」と「親孝行をしたいという気持ち」を持っているかどうかです。
新卒の学生さんに、最初から完璧さや高いスキルは求めておらず、まず大切なのは、教わったことを一度受け止めて行動に移せる素直さがあるかどうか。実際に、面接で話した内容を次の選考までにやってきてくれる学生は、それだけで「この人は伸びる」と感じます。
もう一つが「親孝行」。学生の時点でうまくできていなくても構いません。「やり方は分からないけれど、親に感謝を伝えたい」「いつかちゃんと親孝行したい」──その気持ちがあるかどうかを見ています。私たちは会社として、その“最初の一歩”を一緒に考え、行動に変える環境を用意しています。
逆に、最初からお金や肩書きだけを目的にしている人や、他人のせいにしがちな人は、正直合わないかもしれません。ここは、人としての成長を本気で大切にする会社です。
・素直に学び、感謝を行動にできる人
・そして、人として大きく成長したいと思っている人
そんな学生さんと、ぜひ一緒に働きたいと考えています。
——現場で働く立場から見て、信和興業の魅力はどんな点ですか。
長沼さん:
現場で働く立場から見た信和興業の一番の魅力は、「自分が関わった仕事を、最初から最後まで見届けられること」だと思います。
私の場合、営業だけ、施工管理だけ、という分業ではなく、自分が受注に関わった案件を、自分の目で現場まで確認し、最後まで責任を持って完了させます。お客様と話して終わりではなく、「この工事は自分がやった」と胸を張れる経験が積めるのは、大きなやりがいです。
また、信和興業は現場の声を尊重してくれる会社です。若手でも意見を聞いてもらえますし、「まずやってみよう」というスタンスがある。失敗しても頭ごなしに否定されることはなく、次にどう活かすかを一緒に考えてくれます。人を本当に大切にしている会社だということを日々実感しています。福利厚生や制度が充実しているのはもちろんですが、それ以上に、社長や上司が言っていることと、実際にやっていることが一致している。そこにギャップがありません。
前職も含めていくつかの会社を経験しましたが、「ここまで社員の人生や家族のことまで考えてくれる会社は初めてだな」と正直感じています。

——最後に、学生へのメッセージをお願いします。
大渕さん:
正直に言うと、最初から「防犯・防災設備の仕事がやりたい」と思って入ってくる学生は、ほとんどいません。しかし、それでいいと思っています。大切なのは業界ではなく、どんな人間になりたいか。信和興業の仕事は、人の命や暮らしを守る仕事です。日々の仕事そのものが、社会貢献になり、徳を積むことにつながります。
感謝の心を行動にできる人、地に足をつけて信頼される人になりたい人、そういう想いがあるなら、必ず成長できる環境です。人として幸せになることを、本気で目指したい学生に来てほしいです。
大渕 能愛
代表取締役
不動産・飲食コンサル業界を経て信和興業に入社。32歳で代表取締役に就任し、厳しい経営環境を乗り越え事業を再建。「感謝の心を行動にする経営」を軸に、13期連続増収増益を実現している。
宗近 翼
取締役
慶應在学中に学生起業。大手経営コンサル、起業を経て、信和興業へ参画。人事・組織づくりを中心に、採用やカルチャー形成を担う。人間力を重視した育成と、長期的に成長できる組織づくりを推進している。
長沼 智貴
現場責任者
学生時代はラグビーに打ち込む。IT・広告業界を経て弱電工事業界へ。信和興業では営業と施工管理を兼任し、現場を一貫して担当。仕事そのものが社会貢献につながる点にやりがいを感じ、最前線で信頼を積み重ねている。