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没頭型テーマパークとホテルで、“本気で熱中できる社会”をつくる——株式会社MAGMA

 

株式会社MAGMAは、2024年3月に創業したベンチャー企業です。山梨県南部にて没入型テーマパークホテル「MAGMA RESORT」を運営、今後さらに事業を拡大していく予定です。代表取締役の福永祐大さんに、創業の経緯や今後目指していきたいものについて伺いました。

 

——事業内容について教えてください。

 

体験型リゾートホテル「MAGMA RESORT」の運営を行っています。宿泊した方はオールインクルーシブで、チェックインからチェックアウトまでさまざまな体験を楽しんでいただけます。山梨県の下部ホテルさんの施設を利用させていただき、日本初の「ホテルinホテル」という形態で2025年に1軒目をオープンしました。

 

 

——福永さんは25歳の若さで起業されています。もともと学生時代から起業しようと考えていたのでしょうか。

 

私は鹿児島県出身で、両親は公務員ということもあって、起業や独立とはほど遠い環境でした。熊本大学に進学し、大学を出たら地元の企業に就職するのだろうな、と漠然と考えていました。しかし大学の授業もつまらなく、モヤモヤしたまま過ごしていました。

そんな中、「時給が良いから」というだけで選んだ割烹料理店『次郎』でのバイトで、僕の人生はガラリと変わりました。そこはカウンターだけの6席のお店。大将がいて、僕を2番手のような形でかわいがってくれました。

『次郎』にはメニューがなく、お客さん一人ひとりに合わせて毎日料理を変えて作っていました。お酒もその時の天気やお客さんの気分に合わせて提供していました。日本酒や料理のことなどまったくわからなかった自分に、大将は一から丁寧に教えてくれました。

また、お客様は経営者が多く、カウンター越しにお話をする機会が非常に多かったんです。そこでは皆さん、「こんなことがやりたいんだ」「もっとこうしていきたいんだ」と夢を語っていました。仕事を心から楽しむ大人たちに出会い、「こんなに働くことを楽しんでいる人がいるんだ」と毎日新鮮な気持ちでした。

 

 

大将も、お客様も、「熱中」して仕事に取り組んでいる人たちでした。彼らとの時間を過ごして、「自分にもなにかできるようになりたい」「大将との出会いで夢や希望を持てたように、次は自分が誰かにそう思わせる存在になりたい」と思うようになりました。

 

——大学卒業後は一度就職されています。その理由を教えてください。

 

卒業後の進路は迷いました。板前になり、『次郎』の2号店を出そうと考えたり、お酒が好きだからという理由で有名な日本酒の会社に話を聞きに行って、日本酒で起業しようと考えたりもしました。しかし、自分の“使命”が見つからず、だったら一度自分を鍛えようと、事業会社のベンチャー、サービス業、人と関われる仕事という観点で選んで、株式会社BUBに入社しました。

BUBはグランピング施設の運営会社で、入社してすぐは自分たちで施設を作るためにコテージにベッドを運び込んだり、机を組み立てたりと、泥臭く現場の仕事から始めました。入社した30人の同期の誰よりもやりきろう、早く社長になりたい、と思っていたので、朝6時から夜の22時まで、人一倍働きました。それを見てくれる人たちがいて、2年目でマネージャー、3年目では最年少で役員になることができました。

 

——やりがいを感じていた中で、それでも起業されたきっかけはなにかあったのでしょうか。

 

仕事が面白くなるにつれて、「ここでやりきろう」とも考えるようになっていきました。ただ3年目になって、「もっとできる」という思いが自分の中に生まれてきました。

BUBは施設の運営と、そこで何百種類ものアクティビティを体験できる、ということを売りにしていました。仕事を進めていく中で、僕は「この人に会いに行きたいからここに行く」という、もっと“人”を軸にした事業を展開したいと強く思うようになりました。

その事業を進めて、世界中に広めるためには強固なチームが必要です。チームを作るには、ゼロから始めたほうが早いのではないかと考えました。社会人3年目だった2024年の元旦に決意し、会社に伝えました。並行して拠点となる場所も探し、プロポーザルに参加して廃校の利用権を2月に獲得し、2月末には退職。そして4月に株式会社MAGMAを立ち上げました。

 

 

——体験型リゾートホテルをつくるにあたり、「ホテルinホテル」という業態になった理由を教えてください。

 

起業したものの、お金もなく人脈もないため、プロポーザルで獲得した廃校でまずは体験を提供して始めていこうと考えていました。しかし引き渡しが遅れ、開始できず。キャンプ場の一角や宿泊施設の一室でもよいから始められないかと模索していたところ、銀行とつながることができ、「宴会場を使っていないホテルがある」と下部ホテルさんを紹介していただきました。

実際に訪問したら、自然豊かな場所にあり、温泉も豊富で、ありえないほどいい場所だと感じました。企画を提案したら受け入れていただき、現在は下部ホテルさんの別館を「MAGMA RESORT」として運営しています。ターゲットは富裕層のファミリーです。

現在、用意しているアクティビティは400種類ほどあり、来場前に「お子さんにどういう体験をさせたいか」「どういう子供に育てていきたいか」「好きなこと」などをアンケートフォームに入力していただいています。それをもとにこちらからやることを提案し、完全にオーダーメイドで一組ずつ対応しています。

 

——御社の社風や文化、働く上で大切にしていることはなんですか。

 

「熱中」「情熱」です。今ある目の前のことに熱中し、ワクワクして、情熱を持って仕事に取り組んでほしいと思っています。これは僕が大学時代に大将から教わったことでもあります。

 

 

——今後の展望を教えてください。

 

2028年には日本国内に4拠点ほど、その後2030年には海外に1〜2拠点進出したいと計画しています。2035年までに10カ国・30拠点への展開を目標としています。

特に海外だと、アメリカへの進出は絶対成し遂げたいです。アメリカで成功できたら、世界中で成功できる。それぐらいのブランド力があると考えています。将来的にはアフリカや南アメリカなどにも進出したいですね。治安があまり良くない地域でも「MAGMA RESORTがあればそこで遊べる、安心できる」というディスティネーションになっていきたいと考えています。

 

——拡大し続けていくにあたり、採用にも力を入れていくと思いますが、どのような方を求めていますか。

 

2025年時点では社員は自分を含め4人、その他スタッフはインターンや業務委託です。今後事業を拡大していく上で、社員、特に新卒採用を強化していく計画です。

MAGMAの強みは「人」です。当社にとっての“優秀さ”は、人の心がわかる人、寄り添える人です。人付き合いが得意でなくても構いません。真剣に人と向き合おうと思っている人にぜひ来てほしいです。

また、何かに必死になって、夢中になって頑張った経験がある人は強いと思います。「MAGMA RESORTを世界に広げる」というビジョンに向かってしっかりとチームとしてまとまっていきたいので、仲間と一つの目標に向かって挑戦したい、仲間を大切にしたいと思っている人は大歓迎です。

当社のサービスには“正解”がありません。仮説を立てて挑戦し、何度でも壁にぶち当たりながら、ともに成長していければと考えています。まだまだ成長途上の会社のため、新入社員でも入社半年で拠点の支配人を任されるなど、圧倒的な速さでチャレンジできる環境です。「情熱」を持って目の前のことに「熱中」したい方、ぜひお待ちしています。

 

 

代表
福永祐大

1998年鹿児島生まれ。 2021年に熊本大学卒業後、株式会社BUBへ新卒入社、2023年、支配人を経て執行役員へ就任。2024年、株式会社MAGMAを創業。2025年3月、山梨にMAGMA RESORTをオープン。

 

取材・執筆:藤井みさ(株式会社スリーレター)