フィットネス・福祉・経営の常識を、”お尻”で変える——株式会社OSHIRI
『ココロもお尻も上向きに。』というユニークな言葉を軸に、株式会社OSHIRIはフィットネス・福祉・経営支援という3つの領域で、人と組織の“前向きな変化”を生み出してきました。
運動初心者向けジム「OSHIRI Factory」の誕生から、介護施設で広がる“おしり体操!”まで。
今回は、代表の杉浦巌さんにお話を伺い、OSHIRIの事業のルーツと広がり、そしてこれからのビジョンについてお伝えしていきます。

——貴社の事業内容について教えてください。
当社は『ココロもお尻も上向きに』というテーマを掲げ、「フィットネス」「福祉」「経営支援」の3領域で事業を展開しています。
1つ目は、運動初心者向けのフィットネスジム「OSHIRI Factory」です。人間の筋肉の60〜70%が下半身に集中しているという身体特性に着目し、“お尻を鍛えること”に特化したトレーニングを提供しています。成果が分かりやすく、30〜50代の運動習慣がない方でも続けやすいのが特徴です。
2つ目は、介護・福祉領域での健康支援です。高齢者の転倒事故が増える中で、下半身の筋力アップは予防につながります。そこで、介護施設に伺い「おしり体操!」というエンタメ性のある運動プログラムを提供。利用者の方々の表情が明るくなる、コミュニケーションが増えるなどの効果が現れています。
3つ目は、企業向けの経営支援です。経営会議に同席・進行し、問題の棚卸しからチャレンジングな目標設定、実行計画までをサポートする伴走型サービスで、大企業から地方の中小企業まで幅広い企業に導入されています。

——会社設立のきっかけを教えてください。
きっかけは、私自身が保険会社で働いていた頃に抱いた“違和感”でした。
病気やケガになったときのために保険料を払い続けることは、もちろん必要な仕組みではありますが、「そもそも病気にならないための体づくりに投資できたら、もっと多くの人が前向きに生きられるのでは?」と感じるようになりました。その想いが、病気の“事後補填”ではなく、心身を前向きにする“予防の文化”を広めたいという思いからフィットネスジムの立ち上げにつながります。
さらに、筋肉の60〜70%が下半身に集中しているということから、「下半身=お尻を鍛えること」が健康づくりに最も効果的だと気づきました。実際に、トレーニング自体にもマインドフルネス効果があり、運動をすることでストレスを発散しポジティブな気持ちになる人が増えていったんです。
ただ身体を鍛える場所ではなく、トレーニングを通じて人生全体が上向くきっかけを届けたい。それが、「ココロもお尻も上向きに」というテーマへとつながりました。
——「OSHIRI Factory」という名前はどのように生まれたのですか?
創業当初は「SQUAT Labo(スクワットラボ)」という名前でジムを始めました。しかし、名前が「スクワット=きつい」という“ハードな印象”が強く、運動初心者にはハードルが高いという課題がありました。より楽しく、親しみやすく伝わる名前はないかと模索していた時、思わぬきっかけが訪れました。
それは、コロナ禍で流行していた音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」で、お尻を専門に撮影するカメラマンの友人と話していたときのこと。彼が冗談で「早くお尻を納品してくださいよ」と言い、私が「うちに一度納品してからじゃないと出荷できないよ」と返したら、その話がものすごく盛り上がったんです。そこから「お尻を育てて製品化し、出荷する工場長」というユーモア溢れる世界観が生まれました。
SNSでも“おしり工場長”と名乗ったところ評判が良く、店名を「OSHIRI Factory」に変え、内装もつなぎも“工場風”に統一しました。
ただのジムではなく、「成果物=美しいおしり」をつくる工場というコンセプトが、お客様にとっても分かりやすく、親しみやすさにつながっていると感じています。

——フィットネスから福祉業界、経営支援へと事業を展開した理由と内容を教えてください。
最初はフィットネスジムとして「お尻を鍛えて健康をつくる」ことに集中していましたが、活動を続ける中で、「お尻=下半身」の筋力強化には、もっと大きな社会的価値があることに気づいたんです。下半身の筋力低下は、高齢者の転倒や要介護のリスクにつながります。東京都内だけでも年間約5万件の転倒搬送が発生しており、日常のわずかな段差が原因となるケースも少なくありません。「お尻を鍛えることで、この社会課題にアプローチできるのでは?」と考え、介護施設で“おしり体操!”の提供を始めました。
音楽に合わせて身体を動かすプログラムは「楽しい」「また来てほしい」と好評で、継続した施設では「階段が楽になった」「小走りができるようになった」といった変化も生まれています。
一方で経営支援として展開している事業は、“ココロもお尻も上向きに”のテーマを、企業の組織づくりや意思決定プロセスにまで広げた取り組みです。
健康経営の観点からセミナーや運動指導を行うこともありますが、それだけではありません。企業の中には「こうあるべき」「これが当たり前」といった固定概念が根強く残っていることが多く、そこに私たちが客観的に入り込むことで、経営チームの思考やコミュニケーションが一気に変化することがあります。経営会議では、まず問題を棚卸しし、共通認識としての目標を設定します。さらに「誰が・いつまでに・何をやるのか」を具体化し、実行までサポートします。身体の変化と同じく、組織の思考や体制が前向きに変化していく瞬間に立ち会えるのが、この事業の醍醐味です。
身体も、生活も、組織も。誰もが変化し続ける状態をつくることが、すべての事業に通じています。
——会社として大切にしている文化はありますか?
私たちが大切にしているのは、“変化を恐れず挑戦を歓迎する”文化です。指示待ちではなく、自ら手を挙げる姿勢を称え、挑戦を支え合うチームでありたいと考えています。
働くメンバーとの関係づくりで重視していることは、コミュニケーションの量を意図的に増やすことです。過去に、対話が減ったことで組織が停滞した経験があります。その反省から、オンラインでも対面でも、意識的に声を交わす時間をつくるようにしています。
その積み重ねによって、メンバー同士の距離が近くなり、日々の気づきや挑戦を自然とシェアし合う“風通しの良いチーム”ができていきます。

——この会社で働く「価値」や「おもしろさ」はどこにありますか?
「過去の延長線上にない未来をつくる」ことができるのが当社の魅力です。お客様の身体の変化や組織の成長といった“人の変化”を間近で感じられる仕事であり、自分自身も挑戦を通じて進化し続けられます。
——会社の将来ビジョンについて教えてください。
中長期の目標として、2030年12月31日までに売上10億規模の企業へ成長させるビジョンを掲げています。そこに至るまでの道のりを細かく固定はしておらず、むしろ変化の中で柔軟にチャンスをつかみ、事業を育てていきたいと考えています。
特に注力していきたいと思っていることは、「おしり体操!」を中心にした介護・福祉領域の事業拡大と、企業の組織変革を支援する事業の強化です。
全国のすべての施設が「おしり体操!」を知っている状態にしたいです。「あー。あれね!」と当たり前のように世の中に普及している状態を、遅くとも5年後には実現させたいと考えています。
——一緒に働く仲間として、どんな人を求めていますか?
考えながらも、まず動くことができる人です。
これまでの経験や得意・不得意は人それぞれですが、完成度よりもまず一歩を踏み出し、行動を通して学べる人、提案ベースで動ける人と一緒に働きたいと考えています。OSHIRI Factoryは、個性的で、普通のジムとは異なる部分が多い事業です。だからこそ、面白さを楽しめる人、変化を楽しめる人はとても向いています。

——一緒に伴走してくれる企業に求めることは何ですか?
私たちが求めているのは、「見たことのない景色を一緒につくることを楽しめる企業」です。
高齢者施設へのおしり体操!の普及も、お尻から始まる経営者支援も、前例のない挑戦ばかりです。そこで必要なのは、形式的な支援ではなく、共にワクワクしながら推進してくれる姿勢。前例がない挑戦にも「どうすれば実現できるか」を前向きに考え、共に壁を越えていく姿勢を重視しています。
「人と組織の未来を上向きにする」という同じ想いを持ち、新しい価値を一緒に社会に広げていける企業の方々、お待ちしています。
杉浦巌
代表取締役
保険会社での営業・コンサル経験を経て、「予防の価値を広げる」ことを志し独立。運動初心者向けジム「OSHIRI Factory」を立ち上げ、フィットネス・福祉・経営支援の3領域へ事業を拡大。現在は「ココロもお尻も上向きに」を掲げ、人と組織の成長を後押しする事業を推進している。