“負けず嫌い”をチーム力に変える工夫——小樽商科大学サッカー部の挑戦

小樽商科大学サッカー部は、1965年に設立された部活で、2025年に60周年を迎えました。「勝利」と「仲間」をテーマに掲げ、自ら考え、主体的に行動することを大切にして、日々練習に励んでいます。
学生主体で練習を組み立て、目標を設定し、行動に移す。その過程の中で彼らが得た学びとは何か。
今回は、主将の古川廉さんにお話を伺い、チームの特徴や大切にしている価値観、そして今後の目標についてお伝えします。
——勝利に向けて、着実に一歩ずつ

小樽商科大学サッカー部は、大学グラウンドや札幌市内のサッカー場など、曜日や季節によって異なる場所で活動しています。練習は水・金・土曜日の週3回で、水曜は15:00〜17:00、金・土曜は9:30〜11:30に実施、土日には不定期で試合があり、3月には毎年東京遠征を行っています。
メンバーは1年生16名、2年生8名、3年生16名、4年生18名の計58名。文理比は「10:0」で、文系学部の学生で構成されています。
年間を通して、リーグ戦やトーナメント方式の総理大臣杯、1〜2年生のみで行われる新人戦などの試合に参加します。部の目標はリーグ戦での勝利です。2025年には3部リーグから2部リーグへの昇格を果たし、来季は1部リーグ昇格を目指しています。
——勝利にこだわるメンバーの“負けず嫌い”を刺激する

「練習中の“なんとなく”を減らしたい」という想いから、練習試合で負けたチームには走り込みを課すルールを導入しました。
指導者がいない分、自分たちで練習を組み立てる主体性が強みである一方、強度の低下や集中力の維持が課題です。
試合の強度を上げるために、最も重要なのは“走力”です。実際にこれまでの試合では試合の後半に体力が尽き、逆転された経験もあります。
ただ単に“走るメニュー”を増やすのではなく、負けたくない気持ちを活かす仕組みを作ることで、自然と強度の高いトレーニングにつながりました。
「うちの部の特徴を一言で言えば“負けず嫌い”。だからこそ、勝ちたい気持ちをうまく刺激する練習法が機能しています。」と古川さんは語ります。“負けたら走る”という仕組みが、チームの競争意識と連帯感を高めました。
——オンとオフの切り替えを大切に──遊ぶ時はとことん遊ぶ
部の雰囲気は明るく真面目で、オンとオフの切り替えが上手いのが特徴です。
部活全体で行うイベントは、新歓や打ち上げ、内定祝いや追いコンなど、年間4回開催します。練習中は時に緊張感が走ることもありますが、イベントでは、学年関係なく仲良く交流できるメンバーばかりです。
「オンとオフの切り替えができるからこそ、楽しむときは思い切り楽しみ、サッカーには真面目に向き合える姿勢は、我が部ならではの魅力です」といいます。
——“縦のつながり”が次世代への架け橋に
小樽商科大学サッカー部の魅力は、“縦のつながりの強さ”です。
高校から大学、大学から社会人へと続く関係性が、部員一人ひとりの支えになっています。
たとえば毎年の新歓の時期は、新入部員の獲得先として先輩がいる高校からの入部が多数あります。OB会とのつながりも深く、就職活動ではOBから企業情報を聞いたり、相談に乗ってもらうことも多いです。」
「OBの方々には本当に感謝しています。先輩方が築いてきたつながりが、今の自分たちの活動を支えてくれています」と古川さん。世代を超えて受け継がれる絆が、チームの原動力になっています。
——最後に、小樽商科大学サッカー部からのメッセージ

いつも小樽商科大学サッカー部を応援してくださり、誠にありがとうございます。
私たちは、厳しい練習環境の中でも自分たちにできることを考えながら、日々本気でサッカーに取り組んでいます。
今後の目標は1部リーグに昇格し、強豪大学と渡り合えるチームになることです。今後も勝利を目指して日々精進してまいります。引き続きご声援のほどよろしくお願いいたします。
勝利にこだわり、仲間と共に切磋琢磨する小樽商科大学サッカー部。練習メニューの構築からメンバーのサポート、OB会との関係づくりまで、すべてを自ら考え行動する姿勢は、社会に出てからも「主体性」や「企画力」として彼らの力になることでしょう。
執筆:青木千奈(株式会社Koti)