学びを届け、日本とカンボジアをつなぐ——国際交流団体IROHA

国際交流団体IROHAは2009年に設立された、カンボジアへの教育支援を行う団体です。
食料や物資の支援にとどまらず、子どもたちの未来につながる”教育を届ける”──異なる国や文化の中で行う支援活動には、想定外のトラブルや、普段の生活では知り得ない現地の“当たり前”が次々と訪れます。約250名、12の部署・プロジェクトが、年2回のカンボジア派遣をはじめとした活動を通して、さまざまな角度での支援を考え、無事に届けるため日々試行錯誤しています。
今回は、代表の高橋彩音さんにお話を伺い、活動内容ややりがい、これからの展望についてお伝えします。
——250名以上が、本気で“支援”に向き合う

国際交流団体IROHAの活動拠点は、立命館大学の衣笠キャンパス・BKC(びわこ・くさつキャンパス)・OIC(大阪いばらきキャンパス)の3カ所です。基本的な活動は毎週水・木曜日の18時半から20時で、必要に応じて22時以降にオンライン打ち合わせを行うこともあります。普段の活動はキャンパスごとに実施しますが、月1回は全キャンパスのメンバーが集合します。
1年生約140名、2年生約70名、3年生約50名の250名以上のメンバーが在籍しており、文理比は「文系:理系=7:3」で、文系の割合が多い傾向にあります。
団体の象徴であるカンボジア派遣は春と夏の年2回実施されています。派遣のない時期は、メンバー同士の交流を深める運動会や夏合宿、団体の活動を発信するチャリティーフットサル大会など、国内イベントが豊富です。
——ただの旅行ではない“居場所づくり”
メンバーの入団きっかけは、「一人旅や友人との旅行より、団体でカンボジアに行ってみたい」という好奇心が多いといいます。学生主体で旅費やスケジュール確保まで管理・運営している点は、海外旅行の経験が少ない1年生にとって、「安心して知らない世界をのぞくことができる場」として映るのかもしれません。
当初はカンボジアへの派遣に関心がなかった学生も、活動を通して結果的に現地へ渡航するケースが多くあります。最初からカンボジア支援に対する熱意を持っていなくても、時間をかけてより深く活動に向き合える点が魅力です。
——“支援の形”はひとつではない

250名以上のメンバーがいる強みは、できることの幅が広いこと。メンバーは12の部署・プロジェクトに分かれ、教育・食・スポーツ・衛生管理・募金など、多角的に支援活動を行っています。
例えば授業プロジェクトでは、『授業や動画を通して子どもたちの可能性を広げる』を理念に、週1回の教材作成やカンボジアの学校に対して月1回のオンライン授業を開催しています。
また団体の活動は、カンボジアに支援を届けることだけではありません。国際交流団体IROHAの活動内容や想いを、日本国内に広げるために、チャリティーイベントの開催や、高校・大学での国際協力の授業など、支援の輪を広げる活動も行っています。
支援の形は人それぞれです。どのような支援・活動に携わりたいかを考え、自らプロジェクトを選び、実現に向けて行動できることが、メンバーのやりがいにつながっています。
——“途中離脱”はもったいない──全員でカンボジアへ

「カンボジアに行かずに辞めてしまうメンバーを減らしたい」──この想いがきっかけで、高橋さんは代表になりました。
250名もいれば、メンバーのやる気や意欲も違います。いつも来る・まったく来ないなど参加率が二極化する点も、団体の課題のひとつ。だからこそ、「全員がカンボジアに行ってほしい」。高橋さん自身も1年生の頃は消極的でしたが、2年生で現地を訪れた際に、自らの活動成果を実感し、それがその後の大きなやりがいにつながったといいます。
具体的な施策は、新入生歓迎会で派遣の様子を積極的に紹介することです。これまでは日々の活動内容のみの紹介でしたが、カンボジア派遣の良さや魅力を伝えることを意識しました。その結果、夏の派遣では1年生の参加希望者が例年と比べて大幅に増加しました。「活動に意欲的なメンバーを、最初から取り込むことができた」と高橋さんは語ります。
——大人数をまとめ、動かすリーダーシップ
250名ものメンバーをまとめるのは、12名の幹部です。12の部署とプロジェクトの活動を把握・管理するために意識したのは、細かなコミュニケーションと月1回のリーダーミーティングです。例えば、予算管理の公平性を保つため、イベントの予算申請を全体の場で共有し、透明性を確保しています。スケジュール管理は、部署とプロジェクトリーダー専用のグループLINEにてイベント情報を共有・報告しており、抜け漏れを防ぐ仕組みを整えています。
仕組みを構築したことで、部署・プロジェクト間の連絡がより円滑になり、全体の活動状況を把握しやすくなったといいます。
——最後に、国際交流団体IROHAからメッセージ

私たち国際交流団体IROHAは、カンボジアへの教育支援を行う団体です。250名ものメンバーが、部署・プロジェクトに分かれて活動を行っており、届けられる支援の幅も日々広がっています。毎年多数のメンバーがカンボジアに渡航するため、物品支援や教育支援など、どんなことでもカンボジアの子どもたちへつなげていきます!
どのような形でのご支援も、私達の大きな励みになります。今後とも変わらぬご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
大学生活の中で国際協力や支援に向き合い、カンボジア派遣を通して“つながりの輪”を広げること──その経験は、社会に出てからも社会貢献や課題解決の場で必ず力となるでしょう。彼らが国際交流団体IROHAで学び、行動することで育んだ芽がどのように花開いていくか、今から楽しみです。
執筆:青木千奈(株式会社Koti)