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“自主性”と”言語化”が、個をチームに変える——中央大学ボクシング部

 

1930年に設立された中央大学ボクシング部は、” 自主性”と”言語化”を理念に掲げています。

自分で考え、言葉にすることを大切にしながら、技術だけでなく人間力を鍛えてきた彼らは、「ボクシングの強さは個の力ではなく、チームの力にある」と語ります。

今回は、主将の山川空蒼さんにお話を伺い、活動内容や大切にしている価値観、そして今後の目標についてお伝えします。

 

——休む間も惜しんで練習に励む

 

中央大学ボクシング部は、中央大学第2体育館を拠点に活動しています。練習は平日17時30分〜20時、土曜10時〜13時の週6日です。メンバーは1年生〜4年生の合計26名、文理比率は文系が約9割、理系が約1割です。

部の目標は、チームとしてリーグ戦で優勝すること、そして個人戦でより多くの選手が結果を残すことです。年3回の主要大会(関東リーグ戦、国民スポーツ大会、全日本選手権)に向けて、日々練習に励んでいます。

 

——“自主性”と“言語化”が導くチームの成長

 

 

中央大学ボクシング部の理念は『自主性と言語化』です。

すべての活動において「まず自分たちで考える」ことを大切にしており、練習メニューも部員同士が意見を交わしながら組み立てています。意見交換をより深めるために意識しているのが、“言語化”です。話し合いの内容をホワイトボードに書き出して可視化する方法や、人体模型を用いて身体の構造を視覚的に解説する方法は、深く思考し、理解するために役立っています。

さらに、動作の説明も「シュッシュ」などといった擬音ではなく、「どの筋肉をどの方向へ動かすか」といった言葉で表現できるようになり、メンバー全員の理解力と技術の精度が向上しています。

実際に監督やコーチの指導にも、人体模型の「この部分を意識しよう」と視覚的に分かりやすく具体的な指示を取り入れるようになり、チーム全体の理解度が変わりました。

「以前は2部リーグでしたが、今では1部リーグの上位(4位)に食い込めるまでになりました。これは“自主性と言語化”を徹底してきた成果です」と山川さんは語ります。

 

——厳しい練習を支えるチームの絆

 

 

ボクシングの練習は、実践的なスパーリングから基礎づくりまで非常に厳しい内容です。「特に基礎トレーニングは過酷で、前日の夜から憂うつになることもあります」と山川さんは語ります。

それでも練習を乗り越えられるのは、チーム全体の雰囲気の良さがあるからです。

一人では耐えられない苦しさも、仲間と一緒に挑むことで力が湧いてくる。そうした経験が、肉体面だけでなく精神面での成長にもつながっています。

「どんな困難な状況に直面しても、あの頃の練習に比べたら大したことないと思えるんです」と語る山川さん。その穏やかな笑顔には、数々の試練を仲間と乗り越えてきた自信がにじんでいました。

 

——モチベーションを支える“言語化”

 

主将としてチーム全体のモチベーションを維持することも、山川さんの重要な役割です。

メンバーの中には、レギュラー争いに敗れて大会出場まで期間が空くこともあり、気持ちが落ち込んでしまう選手も少なくありません。実際に山川さんも過去に似た経験をしているからこそ、どんな声かけが必要かを“言語化”して考えます

自身も同じ経験をしたからこそ、どのような声かけが必要なのかを“言語化”して考えるようにしています。「仲間を応援すること」「次の機会に備えて自分の状態を整えること」──

その大切さを繰り返し伝えることで、チーム全体の前向きな雰囲気を保っています。

 

——“個”から“チーム”へ──ボクシングの捉え方が変わった瞬間

 

 

印象に残っている試合のひとつに、優勝候補の大学に逆転勝利したリーグ戦があります。誰もが「負ける」と思っていた相手に勝った瞬間は、思わず叫んで喜んだといいます。チーム全員で勝ち取ったその勝利は、彼の意識を大きく変えました。

“みんなで”勝利をつかむという意識が芽生えてからは、ボクシングをより楽しみ、自身の成長にもつなげられるようになりました。「これまで、ボクシングは個人スポーツだと思っていましたが、大学ではチームスポーツだと感じるようになったんです」と、山川さんは語ります。

 

——最後に、中央大学ボクシング部からメッセージ

 

 

応援してくださるみなさまへ

いつも温かいご支援をいただき、誠にありがとうございます。私たちがこうして日々ボクシングに打ち込めるのは、支えてくださる皆さまの存在があるからこそです。

これからも一戦一戦に全力で挑み、“自主性”と“言語化”を大切にしながら、さらなる高みを目指してまいります。そして、ボクシングを通して成長した姿をお見せできるよう努力を続けますので、今後とも変わらぬご声援をよろしくお願いいたします。

 

入部を検討している学生さんへ

中央大学ボクシング部では、ボクシング技術だけでなく、仲間と協力し、自ら考え、言葉で伝える力を磨くことができます。

“やらされる練習”ではなく、“自分たちで作り上げる練習”──その過程で、チームワークや言語化能力、人間力が大きく育ちます。何よりも、やる気のある皆さんの入部を心からお待ちしています!

 

 

 中央大学ボクシング部が、ボクシングを通して学んだ経験は、これからの確かな財産となります。練習を通して培った考える力”と“言葉にする力”は、単に試合に勝つためだけの技術ではありません。自分の弱さをどう受け止め、次にどう活かすか──その姿勢は、社会で求められる「課題発見力」や「主体的な行動力」に直結します。ボクシングを通して鍛えた思考と精神力が、彼らの未来を支える大きな力となっていくことでしょう。

 

執筆:青木千奈(株式会社Koti)