“好き”を事業に変える挑戦——学生の情熱が地方の未来を彩る Regional Lab
「この魅力的な場所は、永続的に続くのだろうか」ーー代表の木寺さんが幼い頃から訪れている新潟県南魚沼市で抱いたふとした疑問。その純粋な思いが、2024年10月、地方創生の実践集団「Regional Lab」の設立に繋がりました。単なる学生団体に留まらず、将来的な法人化を見据え、地方への情熱とビジネスの手法を両輪として、彼らは本気で地方の課題に挑んでいます。今回は代表の木寺さんへのインタビューを通して、彼らがどのように仲間を集め、組織を活性化し、地方創生を進めながら未来を描いているのか、その魅力に迫ります。
――原点は「原風景を守りたい」という強い思い

活動の原点は、木寺さんが毎年訪れていた新潟県南魚沼市の変化でした。行きつけの飲食店が閉店し、スキー場のリフトが古びていく光景を目の当たりにし、「自分に何かできることはないか」と考えたことが始まりです。この個人的で強い原体験が、お金儲けを第一としない、純粋に「日本が好き、地方が好き」という仲間を引きつける引力となっています。設立当初は2名の組織でしたが徐々に仲間が広がり、現在は5名で運営しています。
——「コミュニティ」と「イベント」地方創生の課題に挑むための二本柱

Regional Labの強みは、情熱を具体的なアクションに変えるための、戦略的な事業構造にあります。1つ目は、メンバーを育成する「コミュニティ」。組織内には3つの部署があり、メンバーが段階的に成長できる仕組みが整っています。
・地域創生部:まずは「地方が好き」という興味から参加できる入口。農業や旅行に関心のある学生が集まり、地方創生の基礎を学びます。
・ビジネス研究部:地方の課題解決策が理想論で終わらないよう、経営者との交流イベントなどを通してビジネス知識を高めます。
・イベント事業部:最終的に、自ら企画を立ててアウトプットする場。ここでビジネスコンテストなどの実践経験を積んでいきます。
この育成プロセスを通して、学生は「地方が好き」という気持ちを、課題発見力や企画立案・実行能力といった社会で通用するスキルへと昇華させています。
2つ目は実践とネットワーク構築の場となる「イベント」です。東北や北陸で開催するビジネスコンテストは、彼らの活動の集大成とも言えます。仙台の秋保温泉で実施したイベントでは、学生60名に加え、協賛企業やメンターとして30名の社会人が参加する100名規模のイベントを成功させました。企画運営も全て自らこなし、様々な企業と協賛プランを元に対話し、繋がりを活かして協力を取り付けるなど、学生たちは高度なプロジェクトマネジメント能力や交渉力を発揮しています。東日本エリアを中心に活動する彼らには、東北各地の宿泊施設から、イベント開催の依頼が多数寄せられています。単にイベントを行うだけではなく、地域の本質的な課題に向き合いながら地域貢献をしており、こうした姿勢がさらなる信頼と協力の輪を広げています。
——学生団体にとどまらず、継続的な社会的インパクトを目指す『法人化』というビジョン

Regional Labを他の団体と一線を画すものにしているのが、「法人化」という明確な目標です。これは、創設メンバーが卒業しても活動を継続し、長期的に地方へ貢献し続けるという強い意志があります。学生の熱量を一過性のものにせず、持続可能な事業として社会に根付かせようとする視点は、まさに地方創生の本質に向き合っていると言えるでしょう。彼らは常に全力で楽しみながら、本気で地方創生を進めることを目的としています。
——最後に

Regional Lab ビジョン
「南魚沼を支えられる、地方の未来を彩り続けられる存在へ」
「僕自身、将来的に南魚沼へ移住することも考えていますが、同じような課題は他の地域にもあります。今後は縁のある場所を西日本にも広げ、日本を代表するような影響力を持つ組織になりたい。共感してくださる企業の皆さまがいらっしゃれば、ぜひ一緒に新しい挑戦に取り組みたいです。 」
個人の純粋な問題意識から始まり、仲間を巻き込み、ビジネスの力で社会課題に挑むRegional Lab。彼らの活動は、これからの社会で求められる「自ら考え、行動し、価値を創造する力」そのものです。「好き」を原動力に事業を創造する彼らは、まさしく企業が未来を託したいと願う次世代のリーダーとなっていくでしょう。
執筆:ツナカレメディア編集部