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学生自身が舵を取る、2部昇格への挑戦――愛知教育大学硬式野球部

グラウンドで戦術やプレーについて声を掛け合う中心にいるのは、学生たちです。練習メニューの考案からスターティングラインナップの検討、試合中のサイン出しまで、戦術面の多くを部員自身が担っています。1949年に創部された愛知教育大学硬式野球部は、そんな「学生主体運営」を特徴に、愛知大学野球連盟3部リーグから2部リーグへの昇格を目指しています。約50名の部員が意見を交わしながら、一つの方向性をつくっていく姿は、組織の中で自ら考え、周囲と調整しながら動く経験にもつながっています。今回は、部員の加藤稜汰さんと、マネージャーの林小百合さんに組織運営や、今後の目標について話を伺いました。

 

 

――愛知教育大学硬式野球部はどんな部活ですか?

1949年に創部され、長い歴史を持つ部活動です。活動拠点は学内の愛知教育大学野球場で、火曜と金曜の16時45分から19時、水曜の13時から15時、土曜の13時から17時を中心に練習しています。土曜日はオープン戦や練習試合に充てることが多くなっています。マネージャーを含む部員数は約50名で、各学年の人数はおおむね均等ですが、2026年度は、例年より多くの新入生を迎えています。4年生は秋季リーグを一区切りとして引退します。

年間を通じたスケジュールは、4月から5月にかけて愛知大学野球連盟の春季リーグ、6月に新人戦、7月に東海地区国立大学体育大会が行われます。東海地区国立大学体育大会は、愛知教育大学を含む東海地方の国立大学8校が持ち回りで開催する総合体育大会の一種目で、野球部門は2日間のトーナメント形式で争われます。9月から10月にかけては秋季リーグが行われ、1冬季には一定期間のオフを設け、体づくりや新チームの始動に充てています。

 

――「学生が主体的に運営している」とのことですが、具体的にどのように進めているのですか。

指導そのものはOBが監督やコーチとして担当していますが、練習メニューの考案やスターティングラインナップの決定、試合中のサイン出しといった戦術構築の大部分は、部員自身が主体となって行っています。監督やコーチは必要に応じて指導や助言を行いながら、学生自身が考え、意思決定に関わりながらチームを動かしていくことが、この部の大きな特徴になっています。

 

 

――部員それぞれの考え方が違えば、意見がぶつかることもあるのではないでしょうか。

その通りで、選手一人ひとりが持つ野球観や戦術への考え方は異なるため、意見が食い違う場面も少なくありません。そうしたときは、複数の案を実際に試し、どちらがよりチームに合っているかを検証したり、チーム内で信頼されている作戦担当者の判断を仰いだりすることで、最終的にチームとしての方向性をすり合わせています。学年による上下関係を厳しくしすぎず、1年生であっても新しい意見を積極的に取り入れる風通しの良さが、この調整を後押ししています。

 

――チームの組織体制について教えてください。

運営はキャプテンを中心に、戦術担当や副キャプテン、各学年・各ポジションのリーダーが連携しながら進めています。マネージャー組織も同様に役割分担を徹底しており、リーグ運営、財務管理、施設予約といった業務をそれぞれの担当者が受け持っています。誰か一人に負担が集中しない仕組みをつくることで、約50名の組織でも一つひとつの業務を効率的に回せる体制を築いています。役割ごとに責任を持ちながら、必要な場面では全体で判断する体制を取っています。こうした役割分担の経験は、部活動の枠を越えて、学生たちにとって組織づくりや合意形成を学ぶ財産になってます。

 

 

――目標に掲げる2部昇格に向けて、どのような取り組みをしていますか。

愛知大学野球連盟は1部から3部までの階層でリーグ戦を行っており、成績に応じて昇格・降格が決まります。愛知教育大学硬式野球部は5年前に降格して以降3部リーグに留まっており、再び上位リーグで戦うことを目標にしています。現在、3部リーグでは、南山大学を意識する相手の一つとして挙げています。打撃力を強みとする南山大学との試合も、昇格を目指す上で重要だと考えています。そのために、以前の攻撃を重視したスタイルから、守備の丁寧さや細かいプレーを徹底するスタイルへと戦略を転換しました。新入生の投手も加わり、投手陣の選択肢が増えたことで、それぞれの役割を明確にしながら戦う体制を整えているところです。

 

――チームの雰囲気や、大切にしていることを教えてください。

学年による上下関係が厳しすぎず、風通しの良い環境を大切にしています。選手それぞれの個性を理解し合い、練習内外で学年を越えて交流する機会も多いのも特徴です。野球の技術だけでなく、挨拶や礼儀など、競技以外の部分も大切にしており、

選手同士で学び合う姿勢が根付いています。他の部活動との直接的な交流は多くありませんが、準硬式野球部とはグラウンドを共同管理し、ソフトボール部とは活動場所が近いという関係にあります。

 

 

――今後、どんな学生に来てほしいですか。

安定して活動を続けられる体制づくりを進めながら、競技経験の有無や性別を問わず、幅広く部員を受け入れています。高校野球で区切りをつけず、大学でも新たな景色を見たいと考える学生を広く歓迎しており、InstagramなどのSNSを通じて日々の活動の様子を発信し、部の活動をより多くの学生に知ってもらいたいと考えています。競技経験の有無にかかわらず、自分たちで考えて動くことを楽しめる学生であれば、入部後すぐにチームの一員として役割を持てる環境があります。

 

 

――最後に、応援してくださる方々へメッセージをお願いします。

 

日頃から支えてくださっている保護者やOB・OG、地域の皆さまには本当に感謝しています。厳しい練習や困難な時期を乗り越えられたのは、いつもグラウンドの外から見守り、声をかけてくださった方々のおかげです。学生主体で試行錯誤を重ねてきたこのチームは、これからも自分たちの力で3部優勝、そして2部昇格をつかみ取ろうとしています。今後のリーグ戦も、ぜひ球場やSNSで選手たちの姿を見守っていただけたら嬉しいです。変わらぬ応援を、これからもよろしくお願いします。

 

練習メニューから試合中のサイン、部の運営まで、学生自身が考えながらチームを動かす愛知教育大学硬式野球部。意見が食い違ったときも、実際に試し、話し合いながら一つの方向性をつくっていきます。2部昇格という目標に向けた挑戦の中で培われるのは、野球の技術だけではありません。自分の考えを伝え、異なる意見を取り入れながらチームとして答えを出していく経験も、この部だからこそ得られる学びの一つです。