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家でも学校でもない「第3の場所」をつくる。自主性を重んじる学生たちのチームづくり——山口県立大学陸上競技部

「走ることを楽しむ」を大切にし、学年や性別の壁なく活動する山口県立大学陸上競技部。部活動という名前ではあるものの、強制ではなく一人ひとりの自主性を重んじる柔軟な運営が特徴です。一方で、巌流島リレーマラソンでは部門優勝を果たすなど、大会では確かな競技力も発揮しています。家でも学校でもない「第3の場所」として居心地のよさを大切にしながら、結果も追いかけるチームです。週2回の限られた練習をどう活かし、自由な雰囲気と規律をどう両立させているのでしょうか。今回は、部長を務める首藤淳志さんに、チームづくりや印象に残る大会について伺いました。

 

——山口県立大学陸上競技部について概要を教えてください。

 

陸上競技部という名前ですが、活動は自主性を重んじた柔軟なスタイルでチームを運営しています。チーム全体で年度ごとに細かな目標を定めているわけではありません。

ただ、部長としては2つの目標を大切にしています。1つは競技面で、駅伝やリレーマラソンで入賞や優勝を狙うことです。個人種目にはあまり出ないので、チームで戦う大会で結果を出したいと考えています。

もう1つは、部員が1年間楽しく活動できる雰囲気をつくることです。走ることを楽しんでほしいという気持ちが、いつも根幹にあります。

 

 

 

——どんな大会に出場しているのですか?

 

軸になるのは3つの大会です。巌流島リレーマラソン、バーベキューリレーマラソン、山口市駅伝です。

バーベキューリレーマラソンは、3時間ずっとチームでリレーを続ける大会です。山口市駅伝は、これまで出場してきたリレーマラソンよりレベルが高く、シーズンを締めくくる大会です。

このほか、下関海響マラソンのように、走りたい部員がいれば希望制で出場する大会もあります。種目は長距離がメインです。短距離はトラック競技が中心で、出場できる大会が限られるため、希望者がいるときに取り組んでいます。

 

——練習の進め方と部の雰囲気を教えてください。

 

練習は、月曜と木曜の18時30分から20時までの週2回です。強制はしておらず、意欲のある人が主体的に取り組む方針です。

運動不足を解消したい人や、友達がほしくて来る人がいても構わないと思っています。

雰囲気は、学年や学科、性別に関係なく仲がいいのが特徴です。先輩に敬語を使うといった最低限の礼儀はありますが、大きな壁はつくりません。後輩が先輩に気軽に冗談を言うこともあります。

大学祭の前にはInstagramで告知動画をつくるのですが、流行りの音源で目立つ役を、後輩から「先輩やってくださいよ」と振られて引き受けたこともありました。私は初対面では落ち着いた印象を持たれることが多いのですが、本当は話すのが好きで、部内ではよくいじられることもあります。

 

 

——部の強みはどこにありますか?

 

例年に比べてプレイヤーとして入部した新入生が8名と多いことが強みです。例年はマネージャー志望の部員もいますが、直近は選手として走りたいという新入生が多く集まりました。

人数が増えただけでなく、走り方やタイムを見ても、走れるメンバーがそろっていると感じています。リレーマラソンや駅伝はチームで走る大会なので、選手層が厚くなることは大きな力になります。

上級生にも力のある部員が多いので、今の自主性を大切にするスタンスは変えずに、大会では上位の記録を狙っていきたいです。競技経験や学年に関係なく、走りたいという気持ちを持った部員が増えていることが、今のチーム全体の勢いにつながっていると感じています。

 

——チームの課題と、その向き合い方を教えてください。

 

課題は練習環境です。活動場所は大学のグラウンドだけで、直線で100mを取るのが難しい広さです。月曜は野球部と一緒に使うため、お互いに配慮しながら練習しています。

短距離が最も練習の影響を受けるので、近くの坂までダッシュをしに行ったり、長距離は外の道に出て走ったりと、できる範囲で工夫しています。

 

 

——これまでで印象に残っている大会はありますか?

 

巌流島リレーマラソンで部門優勝したことです。大学生活の中で最も大きな出来事でした。

この大会には部として数年前から出場していて、それまでは部門2位が続いていました。前回大会では優勝を狙って2秒差で負けたため、その悔しさから次こそは何としても勝ちたいという気持ちが強くなりました。合計42kmをチームで走る大会なので、2秒差なら十分に逆転できると考えていました。

しかし、優勝を目指す中で当日までに大きな課題も生まれました。大会前から、主力選手が参加できないという連絡が相次ぎ、そのたびに戦力を維持するためメンバーを組み直す必要がありました。さらに当日も怪我で走れない選手が出たため、急きょ走る予定のなかった部員に依頼したり、陸上部ではないものの足の速い後輩に参加してもらったりしました。その結果、自分たちの出番直前に交代を決めなければならない場面もありました。

それでも走れるメンバーで入れ替えながらつなぎ、最後はぎりぎりで勝ち切れました。優勝や表彰台はなかなか経験できないので、勝てたことは個人的にも大きかったです。

 

——部長として大切にしていることは何ですか?

 

言葉だけでなく、行動で示すことを大切にしています。私たちの部は、練習への参加を強制しているわけではありません。だからこそ、部長が口で「時間を守ろう」と言うだけではなく、自分の行動で基準を示すことが大事だと考えています。

人によっては、集合時間にルーズになりがちな面もあります。練習開始時刻になったら、5分は猶予をとって待ち、そこからは誰が来ていても活動を始めると決めました。遅れてくる人を責めるというより、時間になったら自然に練習が始まる状態をつくりたいと思っています。

あわせて、自分が一番早く練習場に行くことを心がけています。開始の少し前に着いて、準備をします。引っ張る立場の人間が遅刻していては説得力がないので、まずは自分が動く。その姿を見て、ほかの部員も少し早く来ようと思ってくれればと考えています。

自由な雰囲気は大切にしたいですが、何でも曖昧にしてしまうと、練習の質も下がってしまいます。強制ではなく、自分たちで気持ちよく活動できるように、最低限のルールや空気をつくることを意識しています。

 

 

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。

 

応援してくださる皆さま、ありがとうございます。私たちは、強制ではなく、自主的に走ることを楽しむことを大切にしているチームです。そのため、一人ひとりが前向きに活動でき、結果として大会でも力を発揮できていると感じています。

これから入部を考えている人にも伝えたいのは、競技経験は問わないということです。さまざまな目的を持った人が集まることで、部の雰囲気がより良くなり、活動も活発になります。記録をしっかり狙いたい人も、運動不足を解消したい人も、友達をつくりたい人も歓迎します。

こうした多様なメンバーがいるからこそ、学年や性別の壁がなく、いるだけで楽しいと思える場所になっています。少しでも気になったら、気軽に練習を見学してみてください。