受け身の練習から、自分たちで考える組織へ。インカレ出場を目指す学生たちの挑戦——九州共立大学女子ソフトボール部
九州共立大学女子ソフトボール部は、明るい雰囲気と選手主体のチームづくりを大切にしながら、インカレ出場を目指して活動しています。2007年に設立され、九州共立大学のソフトボール場を拠点に、平日の早朝練習や週末の練習・試合に取り組んでいます。チームが大切にしているのは、感謝を忘れないこと、挑戦心を持つこと、そして応援される人・チームであることです。今回は、主将を務め、学生コーチとしてもチームを支える鈴木吉乃さんに、選手主体でのチーム運営、インカレ出場を目指す取り組みについて伺いました。

——九州共立大学女子ソフトボール部について概要を教えてください。
九州共立大学女子ソフトボール部は、インカレ出場を目標に活動しているチームです。
活動場所は九州共立大学のソフトボール場で、火曜・水曜・金曜は6時から8時30分まで、土日は8時から13時まで練習しています。土日は試合や練習試合が入ることもあります。
部員は、1年生が9名、2年生が5名、3年生が2名、4年生が8名です。
私たちは、競技力だけでなく、人として応援されるチームであることを大切にしています。挨拶をしっかりすること、落ちているゴミを拾うこと、支えてくださる方への感謝を忘れないことは、日々の活動の中で意識しています。

——チームとしての目標を教えてください。
一番の目標は、インカレに出場することです。
これまでインカレに出場できた回数が多くないため、まずは出場権をつかむことを目標にしています。7月に行われる九州予選ファイナルで上位に入ることで、インカレ出場権を得られます。
直近のインカレ予選では、準優勝という結果でした。ただ、その大会は7月のファイナルに向けたトーナメントを決める意味合いもあるため、まだインカレ出場が決まったわけではありません。ここからの結果次第で、出場できるかどうかが決まります。
出場できた後にどこを目指すかは、改めてチームで話し合いたいと思っています。まずは、インカレ出場を実現することに集中しています。
——インカレ出場に向けて、チームにはどのような課題がありましたか?
以前は、チーム全体の目標がはっきりそろっていない時期がありました。大学でソフトボールに取り組む理由は一人ひとり異なり、競技に全力で打ち込みたい人もいれば、教員免許の取得など学業と両立しながら続けたい人もいます。
その違いから、練習に対する姿勢にも差が生まれていました。厳しく意見を伝える人が周囲から孤立したり、楽しさを重視している人が雰囲気に戸惑ったりする場面もありました。
このままではチームとしての一体感が生まれず、インカレ出場にも近づけないと感じました。そこで、全員で「自分たちはどこを目指すのか」「どうすればソフトボールに集中できる環境をつくれるのか」を話し合い、何度もミーティングを重ねました。
今は、監督にやらされるのではなく、自分たちがどうなりたいかを考えて動くチームに変わってきています。

——チームの方向性をそろえるために、どのような話し合いをしたのですか?
私は、「楽しくやるためには、厳しさも必要だ」とチームに伝えました。ただ楽しいだけではなく、練習で厳しく取り組むからこそ、試合で勝てたときにソフトボールの楽しさを実感できると思ったからです。
その考えを全体ミーティングで共有し、「厳しさの先にある楽しさを目指していかないか」と提案しました。そこから、練習中の一球ごとに声をかけ合い、互いに高め合う雰囲気が、少しずつ生まれてきました。
伝え方も大切にしています。「こうしなさい」ではなく、「こうしていかないか」「こうしたらもっと良くなるのではないか」と問いかけるように伝えています。
部員にはそれぞれ意見があります。どちらかを否定するのではなく、違う意見を組み合わせることで、より良いチームにしていきたいと考えています。
——練習メニューはどのように決めていますか?
練習メニューは、私と副キャプテン、内野リーダー、外野リーダーの4人で話し合って決めています。決めた内容を、監督やコーチに提出する形です。
メニューを考えるときは、大会後のミーティングで出た課題や、前日の練習で見えた課題をもとにしています。例えば、外野に打球が飛んだときの中継に課題があれば、ケースノックを入れて、外野と内野の連携を確認します。
練習では、1日に多くの課題を詰め込みすぎないことも意識しています。守備と打撃を同じ日にすべて強化しようとしても、全員が集中しきれないからです。そのため、守備の日とバッティングの日を分け、その日は一つの課題に集中するようにしています。
打撃では、得点圏にランナーがいる場面で一本が出ないことが課題です。チームで話し合い、バットを振る本数を増やすことや、実戦に近い球を打つことが必要だという意見が出ました。
今は、マシンを使って速い球に対応する練習に加え、ピッチャー陣に変化球を投げてもらい、変化球への対応も少しずつ増やしています。上位大会に進むほど良いピッチャーが多くなり、球も速くなるため、実戦に近い形で打撃力を高めていきたいです。

——チームの強みはどこにありますか?
私たちの強みは、雰囲気の明るさと、応援されるチームであろうとする姿勢です。
全員が強豪校出身というわけではありません。高校時代に強いチームでプレーしていた人もいれば、なかなか成績を残せなかったチームから来た人もいます。技術だけで勝負するのではなく、人として応援されるチームでありたいと思っています。
また、挨拶をしっかりすること、試合会場でゴミが落ちていたら拾うこと、明るく声を出してプレーすること。そうした姿勢を、他チームの方から声をかけていただくこともあります。
チームの雰囲気を一言で表すなら、「本気と笑顔」です。厳しく練習しながらも、明るさを失わないことを大切にしています。
——その強みが発揮された試合はありますか?
直近のインカレ予選で、私たちらしさが出た試合がありました。
試合終盤までリードを許す苦しい展開でした。今までの私たちは、点を取られると雰囲気が沈んでしまうことが課題でした。ただ、その試合前に「自分たちの良さは明るさだ」と全員で確認していました。
最終回の2アウトの場面でも、自分たちの雰囲気で戦おうと声をかけ合いました。最後まで下を向かずに戦った結果、ヒットが出て、サヨナラで勝つことができました。
あの試合は、技術だけでなく、チームの雰囲気が結果につながることを実感できた試合でした。ここまでいろいろなことがありましたが、厳しいことも乗り越えてきたからこそ出せた結果だと思っています。

——けがをして選手を離れてから、どのようにチームと向き合ってきましたか?
私は下級生の頃に肩をけがして、選手としての活動を終えました。
プレーできない自分が、なぜキャプテンとして苦しい役割を担っているのかと思ったこともあります。チーム内で問題が起きたときには、プレーできない自分が、なぜキャプテンとして苦しいことを抱えているのかと思ったこともあります。
それでも続けられたのは、同じ学年の仲間が支えてくれたからです。「苦しかった思いは、自分たちがプレーで返す」と言ってくれる仲間がいました。その言葉を聞いて、私は残っている理由を考え直しました。
プレーはできなくても、頑張っている仲間を全力で支えたい。そう思うようになりました。そこからはミーティングを重ね、選手同士でぶつかりながらも、チームとして前に進んできました。
——大学での部活動を通して、どのようなことを学びましたか?
ソフトボールができることは、当たり前ではないと実感しました。
高校のときは、全員がソフトボールをするために集まっていました。だから、競技に対する向き合い方が大きく違うことは少なかったと思います。
大学では、一人ひとりが違う理由で入部しています。ソフトボールだけを考えられるわけではなく、学業や将来のこと、アルバイトなど、それぞれがいろいろな事情を抱えています。その中でソフトボールを続ける難しさも感じました。
その経験を通して、人と向き合って話すことの大切さを学びました。相手が何を考えているのかを、想像だけで決めつけてはいけないと思っています。面と向かって話すことで初めて分かる気持ちがあります。
今、部員の表情を見たり、モチベーションが下がっている部員に声をかけたりできるのは、その経験があるからだと思います。

——運営面での課題は何ですか?
金銭面で課題を感じる場面があります。
私たちはまだ大学の強化指定部ではないため、学校からの支援が限られています。そのため、遠征費は自分たちで集めながら活動しており、遠征が重なる時期には負担が大きくなってしまいます。
部員の中には学業や部活動を優先しながらアルバイトと両立している学生もいます。また、保護者の負担を少しでも減らすために、アルバイトで得た収入で生活費や活動費の一部を賄っている学生もいます。
スポンサーについてもチームとして関心があります。活動を応援してくださる企業の方がいればありがたいです。競技力と人としての成長を通して、結果と姿勢で恩返ししていきたいと考えています。

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。
いつも九州共立大学女子ソフトボール部を応援してくださり、ありがとうございます。
私たちは、多くの方々の支えがあるからこそ競技に打ち込めています。保護者の方、大学関係者の方、OB・OGの方、地域の方々への感謝を忘れず、結果で恩返しできるように日々努力していきます。
競技力を高めるだけでなく、人として成長し、多くの方に応援されるチームを目指します。挨拶や礼儀、日々の姿勢を大切にしながら、インカレ出場という目標に向かって取り組んでいきます。
入部を考えている学生には、ソフトボールを通して本気で挑戦できる環境があると伝えたいです。私たちは、やらされる練習ではなく、自分たちで考えて練習をつくるチームです。厳しさもありますが、その先に試合で勝つ楽しさや、仲間と同じ目標に向かう経験があります。
明るく元気に活動したい人、考えながらソフトボールに取り組みたい人、チームのために行動できる人には、ぜひ来てほしいです。今後とも温かいご声援をよろしくお願いいたします。