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監督がいないからこそ育つ主体性。「楽しく、本気で」を貫く——静岡大学男子ソフトボール部

東海リーグ1部への昇格を目標に、団結力と明るい雰囲気でチーム強化を進める静岡大学男子ソフトボール部。顧問や監督がいない環境で、部員たちが自分たちの手で運営を担っています。経験者が少ないという課題を抱えながらも、ポジティブな声出しや具体的な戦術の共有で、ビハインドを覆す逆転勝ちも経験してきました。メリハリを大切にし、練習には真剣に取り組み、合間には和気あいあいとした雰囲気があります。今回は、部長を務める柳沼泰地さんに、チームの強みや課題への向き合い方、部活を通して学んだことについて話を伺いました。

 

 

 

——静岡大学男子ソフトボール部について概要を教えてください。

 

私たちは、東海リーグの2部に所属していて、1部への昇格を目標にしています。前年度は2部で3位でした。あと一歩のところまで来ているので、ここからチーム力を高めて昇格を目指します。

部員は1年生が5人、2年生が8人、3年生が8人です。3年生の秋に引退します。理系の学生が多く、特に農学部が多いのが特徴です。

練習は週3回で、1回あたり3時間です。月曜日は16時半から19時半まで、木曜日は13時から16時まで、土曜日は9時から12時まで活動しています。拠点は静岡大学のサッカーグラウンドで、いくつかの部活と共用しながら使っています。

 

 

——チームの強みはどんなところですか?

 

私たちの強みは雰囲気の良さです。普段の練習から先輩後輩関係なく声を出して、明るく取り組んでいます。劣勢の状況でも雰囲気が暗くならないように、ポジティブな声出しを心がけています。明るいムードメーカーの部員が中心になって、チーム全体を盛り上げてくれます。

声出しには、チームを盛り上げるだけではなく、プレーを支える役割もあります。打席に立つ選手はどうしても周りが見えにくくなったり硬くなったりするので、ベンチから具体的な指示も出します。高めや低めの見極め、狙いどころなど、選手がやるべきことを整理しやすいように声をかけています。

今シーズンの春リーグでは、初戦をビハインドの状況から逆転勝ちできました。雰囲気で押し切れた試合だったと思います。

この雰囲気の良さは、新入生が入部を決める理由にもなっています。今の2年生たちも、入部の決め手として雰囲気の良さを口を揃えて挙げてくれました。練習には本気で取り組みますが、プレーの合間には和む時間もあって、アットホームな雰囲気があります。月曜日の練習後に決まったラーメン屋へ行くのが、同期内の恒例になっていた時期もありました。

 

——1部昇格に向けて、どんな課題がありますか?

 

一番の課題は打力の強化です。ソフトボールはピッチャーが重要だと言われますが、ピッチャー任せになってはいけないので、どんなピッチャーが来ても打ち崩せる力をつけたいと考えています。練習では試合形式のバッティングに加えて、左右への打ち分けやロングティーに取り組んでいます。まずは飛距離を伸ばすところから強化しています。

チーム全体の競技力向上も課題です。1つ上の代は高校までソフトボールや野球を本格的にやっていた選手が多い代でした。今年の3年生の代は、高校で野球をやっていた人が1人しかいません。1つ下や2つ下の代には野球経験者が多いので、その力も借りながら、チーム全体で底上げしようとしています。

守備については、今シーズンの春の大会でも致命的なミスは少なかったので、打力に比べると整ってきていると感じています。

 

 

——チーム運営ではどんな課題に向き合っていますか?

 

今年の3年生の代にはマネージャーがいないため、現在は、部長の私と会計担当の部員で運営の仕事を分担しています。マネージャーが担える仕事もあるため、今は一部の部員に負担が偏りやすい状況です。

一方で、マネージャーに入ってもらうためには、練習中の役割を明確にする必要があるとも感じています。これまでは「チームを支えたい」という本人の自主性に委ねていた部分が大きかったのだと、自分たちの代になって強く感じました。だからこそ今後は、マネージャーが練習に参加しやすいポジションをつくり、任せられる仕事を少しずつ増やしていきたいです。役割や成長実感が得られれば、新入生も入りやすくなると考えています。

資金面では、OB会の方々から手厚い支援をいただいており、本当に感謝しています。ただ、それだけでは足りない部分もあるため、部費を1人あたり1000円ほど追加し、新しいバットや消耗品の購入に充てています。他の私立大学と比べると余裕があるわけではないので、安定して活動を続けるためにも、スポンサーのような外部からの支援にも関心を持つようになりました。

 

——チームで大切にしている価値観を教えてください。

 

「楽しくやる時は楽しく、本気でやる時は本気で」というメリハリを大切にしています。雰囲気の良さに惹かれて入ってくれた部員が多いので、楽しく笑いながらできる空気は大事にしたいです。その上で、練習の合間はふざけても、練習が始まったら真剣な気持ちに切り替えます。

メリハリをつけるために、役割を分担しています。私はチーム全体をまとめるキャプテンを務めており、試合中はゲームキャプテンが中心となってプレー面を統率しています。その部員はチームで唯一公式ソフトボールの経験があり、野球やソフトボールの知識が一番豊富です。たるんだプレーがあれば、ゲームキャプテンが中心になって雰囲気を引き締めます。私もチームキャプテンとして、集合をかける時や切り替えの場面では淡々と説明するように意識しています。ムードメーカーの部員が和ませてくれるので、固くなりすぎないバランスのよいチームをつくりたいと思っています。

 

 

——部長として、どんなことを学びましたか?

 

自分の行動が周りにどう伝わるかを考えてから動くようになりました。チームを良くしたいと思っても、意図がうまく伝わらなかったり、思った通りに動いてもらえなかったりすることがあります。「動いてくれるだろう」と期待するのではなく、自分の行動次第で相手の反応が変わると考えるようになりました。

以前は思いつきで発言することも多かったのですが、部長になってからは目的や順序を整理したうえで行動・発言をするようになりました。

高校までは顧問や監督がいましたが、今は自分たちで手探りしながら運営しています。先輩に相談することも多いです。それでも、新しいことに挑戦して無事にやり遂げると達成感があります。今シーズンの春リーグも、部長として進めるのは初めてだったので、終えられて良かったと感じました。

 

 

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。

 

OBの方々には、いつもご支援いただき本当にありがとうございます。皆さんの支えがあって活動を続けられています。

入部を考えている新入生にも伝えたいことがあります。大学生活では居場所をつくれずに悩む人もいると聞きます。部活に入れば集まって活動する時間が確約されていて、その中で仲間ができます。私たちの部はプライベートでも一緒に過ごすことが多く、ソフトボールに熱中できる居場所になっています。部活動を最後までやり切った経験は、就職活動を含め、その後の人生でも活きると考えています。

私自身にとっても、ソフトボール部はソフトボールに熱中できる楽しい場所でした。部長になってからは、この居場所を絶やさず次につなげていきたいと思うようになりました。少しでも興味があれば、まずは体験に来て雰囲気を感じてもらえたら嬉しいです。