創部初の女性キャプテンがつくる、「個」を支えるチーム力——法政大学レスリング部
創部以来初めて女性キャプテンが誕生し、学生主体のチームづくりを進めている法政大学レスリング部。部員全員がスポーツ推薦で入部しており、高い競技力を持つ選手が集まっています。その一方で、先輩・後輩や男女の垣根を越えた関係性、部員自らが練習メニューを考える主体性も大きな特徴です。
団体でのリーグ戦一部昇格と、個人での日本一を目標に日々練習に取り組んでいます。個人競技でありながら、部員同士が支え合い、競技力向上を目指すうえで、どのようなチーム運営に取り組んでいるのでしょうか。今回は主将の小原春佳さんに、チームの特徴や組織づくりの工夫について伺いました。

——法政大学レスリング部について、概要を教えてください。
私たちは、男子団体戦での一部昇格、そして男女ともにインカレや全日本選手権(天皇杯)などの全国大会で優勝し、日本一となることを大きな目標に掲げて活動しています。
部員数は26名で、全員がスポーツ推薦で入部しています。男子選手だけでなく女子選手も所属しており、それぞれが全国大会での優勝や入賞を目指して活動しています。普段は週6日、市ヶ谷総合体育館で15時30分から17時30分まで練習しています。
男子は2部リーグに所属しており、前回大会では2部リーグで3位という結果でした。昇格のために、まずは2位以内に入り、1部リーグとの入れ替え戦に進むことが直近の目標です。一方、女子は団体リーグに参加しておらず、個人戦での全国制覇を目標にしています。私自身も全日本選手権での優勝を目指して練習に取り組んでいます。
直近の大会では、U23世界選手権男子グレコローマンスタイルに1名、U23世界選手権女子フリースタイルに1名、U20女子アジア選手権女子フリースタイルに1名の出場が決定しました。
——チームの強みは何ですか?
一番の強みは、部員同士の関係性の良さとチーム力です。
全員がスポーツ推薦で入部しているため、競技レベルの高い選手が集まっています。レスリングは幼少期から続けている選手が多く、現在の部員も小学生の頃から競技に取り組んできた経験者がほとんどです。そのため、外部からは部内競争が激しいチームだと思われることもあります。
しかし実際には、温厚な部員が多く、互いに声を掛け合いやすい雰囲気があります。先輩・後輩や男女の垣根を感じることも少なく、お互いを尊重しながら活動しています。
個人競技の側面もありますが、「ライバルであり、仲間でもある」という意識を大切にしています。そのため、同じ階級の選手同士でも、日々競い合うだけでなく、試合では相手選手の情報を共有したり、一緒にアップをしたりしながら、チーム全員で勝利を目指しています。

——創部初の女性キャプテンに就任して、チームにはどのような変化がありましたか?
最も大きな変化は、チームがより学生主体になったことです。
私は監督から推薦を受け、創部以来初めての女性キャプテンに就任しました。これまでキャプテンを務めた経験がなかったため、最初は戸惑いもありました。
以前は、キャプテンが方針を示し、他の部員がそれに沿って動くことが多かったです。しかし、私自身が試行錯誤しながら運営していることもあり、周囲の部員も積極的に意見を出してくれるようになりました。
実際に、「こういう練習メニューにしたい」といった後輩からの提案も増えています。その結果、キャプテン一人に任せるのではなく、一人ひとりがチームのために考え、行動する組織へと変化してきています。
——競技力を高めるためにどのような工夫をしていますか?
部員同士で課題を共有しながら、自分たちで練習メニューを考えるようにしています。
監督やコーチからの指示を待つのではなく、学生主体で練習を進めています。基本的な練習内容は私が考えていますが、その際も後輩を含めて部員と相談しながら決めています。
部員同士で「今は何が必要か」を話し合い、自分たちで課題を整理したうえで練習内容に反映しています。長期休み中の二部練習では、午後のウエイトトレーニングやランニングのメニューを男子の先輩が担当することもあります。
このように、それぞれが得意な分野を担当することで、チーム全体で練習の質を高めています。また、自分たちで考えて実践する機会が増えるため、競技力だけでなく、課題解決力も身についていると感じています。

——キャプテンとして、どのようなことを意識していますか?
厳しさを保つために、仲間同士で積極的に声を掛け合うことを意識しています。
仲が良いことは私たちの強みです。一方で、勝負の場面で相手に気を遣ってしまったり、一人の気の緩みがチーム全体に広がったりすることがあります。個人競技でありながらチームで活動する難しさは、そのような点にあると思います。
レスリングでは、自分をどこまで追い込めるかが結果を左右します。そのため、練習中に気が緩みそうなときは、先輩・後輩に関係なく声を掛け合っています。互いに刺激し合うことで、練習の質を維持しています。
言葉だけで人を動かすことはできないと考えています。だからこそ、自分が誰よりも行動し、その姿勢を見せることで、チームを引っ張るよう心がけています。
——練習以外での交流について教えてください。
春にはお花見、夏にはバーベキューを行い、学年を問わず交流しています。こうした機会があることで普段からコミュニケーションが取りやすくなり、練習中も遠慮なく意見を言い合える関係につながっています。
直近では、初めて鹿島学園高校で合宿を行いました。合宿では技術向上だけでなく、寝食を共にすることでチームとしての結束も深まりました。
さらに、高校の校長先生が食事の場を設けてくださったことで、外部の方々と交流する貴重な機会にもなりました。

——レスリングを通して学んだことを教えてください。
プレッシャーのかかる場面で、平常心を保つことの大切さです。
そのことを強く実感したのが、過去に3連敗していた相手との試合です。全日本選手権という大舞台で、その相手に勝たなければ表彰台に上がれない状況でした。普段以上に大きなプレッシャーを感じていましたが、その試合でようやく勝利し、表彰台に立つことができました。この経験を通して、結果を出すためには技術だけでなく、プレッシャーの中でも平常心を保つことが重要だと学びました。
一方で、「絶対に勝たなければいけない」と考えすぎた結果、プレッシャーから本来であれば勝てたはずの相手に、逆転負けをした経験もあります。
そうした経験から、試合前はあえて音楽を聴かずに周囲の環境音に耳を傾けたり、「負けてはいけない」ではなく「勝ちたい」と考えるようになりました。考え方や行動を工夫することで、必要以上に緊張しない状態をつくるよう意識しています。
——大学での部活動を通して得たものはありますか?
仲間とのかけがえのない時間です。
高校時代はレスリング中心の生活だったため、友人と遊んだり食事に行ったりする機会はあまりありませんでした。しかし、大学に入学してからは、競技に打ち込みながら仲間との時間も大切にできています。
練習後に食事へ行ったり、何気ない話で盛り上がったり、悩みを相談し合ったりする時間は、かけがえのない思い出です。
そうした時間を共に過ごしたことで、卒業後も関わり続けたいと思える仲間に出会えました。競技力の向上だけでなく、人との深いつながりを得られたことで、この部に入って良かったと心から感じています。

——いつも応援してくださっている方々へ、メッセージをお願いします。
日頃より法政大学レスリング部を応援してくださり、本当にありがとうございます。皆様への最大の恩返しは、競技で結果を残すことだと考えています。リーグ戦での一部昇格や個人での目標達成に向けて、これからも部員一同、全力で取り組んでまいります。
入部を考えている学生の皆さんには、競技に全力で取り組む中で育まれる、部員同士の深いつながりを感じてもらえたら嬉しいです。日々の練習に真剣に向き合えるのはもちろん、練習後に食事へ行ったり、悩みを打ち明けたりできる仲間にも出会えます。
法政大学レスリング部は、一生の仲間と出会える場所です。ぜひ私たちと一緒に高め合っていきましょう。