相手の勢いに飲まれず、自分たちらしく戦う。ユーモアを武器に6年ぶりの1部へ——東洋大学川越軟式野球部
東洋大学川越体育会軟式野球部は、東洋大学川越キャンパスを拠点に活動しています。東都学生軟式野球リーグに所属し、2025年秋季2部リーグで優勝しました。その後の入れ替え戦にも勝利し、6年ぶりに1部リーグ昇格を果たしました。2026年は1部リーグに挑みながら、東日本大会出場と1部リーグ優勝を目標にしています。
チームの特徴は、学生主体で課題を話し合い、声かけや雰囲気づくりといった基本から組織を変えてきたことです。今回は、1部リーグ昇格までの歩み、チームづくりへの考え、今後の目標について、副主将・広報担当の原田晃成さんに話を伺いました。

——東洋大学川越体育会軟式野球部について、概要を教えてください。
東洋大学川越キャンパスのグラウンドで活動しています。練習日は基本的に土曜日で、時間は13時から16時までです。
年間では、2月から3月に練習とオープン戦を行い、4月から6月に春季リーグ戦に臨みます。7月から8月は練習やオープン戦、9月から11月は秋季リーグ戦です。12月と1月はオフ期間にしています。
東都学生軟式野球リーグに所属しています。2025年秋季2部リーグで優勝し、入れ替え戦にも勝利して1部に昇格しました。2026年は東日本大会出場と1部リーグ優勝を目指しています。

——学業との両立について教えてください。
理系の学生が多く、実験や授業で忙しい部員も多いです。そのため、学業との両立を特に重視しています。期末試験の1か月前からはすべての練習を休止し、勉強に集中できるようにしています。
部活動は週1回の練習が基本なので、限られた時間をどう使うかが重要です。練習日が限られるうえ、部員数も増えています。そのため、一部の主力選手だけでなく、全員が成長できるように練習時間を配分することが課題です。
特に1年生は意欲をもって参加してくれています。上級生だけでなく、下級生にも練習の機会を増やしていきたいです。
——チームの強みと弱みは何ですか?
強みは、投手陣の層の厚さだと考えています。強豪校出身の選手ばかりではありませんが、それぞれに持ち味があります。球速はそれほど速くなくても、複数の変化球を投げ分け、コントロールで勝負できる投手がいます。135キロ前後の速球をコーナーに投げ分け、スライダーで空振りを取れる投手もいます。タイプの異なる投手がそろっているので、1部リーグでも十分に戦える手応えがあります。
弱みは得点力不足です。打撃力の向上にも取り組んでいますが、すぐに成果を出すのは難しい部分もあります。そのため、走塁や細かな作戦に力を入れています。エンドラン、バント、バスターエンドランなどを増やし、長打が出なくても得点につなげられる場面を増やしていきたいです。

——雰囲気づくりで大切にしていることは何ですか?
私たちは「ユーモア」を大切にしています。これは試合中にただ明るく振る舞うという意味ではなく、相手の雰囲気にのまれず、自分たちのペースを保つための工夫です。
1部リーグのチームには強豪校出身の選手も多く、ベンチからの声がけにも勢いがあります。そこに真正面から対抗しても、私たちらしさは出ません。相手ベンチから勢いのある声が飛んできたときも、受け流して笑いに変えることがあります。相手に好プレーが出たときは、こちらのベンチからも本気で称えます。そうすることで試合全体の雰囲気を良くしながら、自分たちのペースを保てます。
ただし、練習では厳しさも大切にしています。試合では明るく見えるかもしれませんが、練習中はエラーや集中力を欠いたプレーに対して、部員同士でしっかり声をかけます。穏やかな部員が多いからこそ、勝つために必要な厳しさも持とうとしています。
——1部昇格までのチームの変化を教えてください。
私が1年生で入部した頃は、部活動としての規律や意識が十分に浸透していませんでした。欠席や遅刻の連絡が徹底されていない時期もあり、2部でも下位争いをしていました。
このままでは勝てるチームになれないという危機感がありました。そこで、まずはチームの雰囲気を変えようと話し合いました。声を出すこと、互いに意見を言うこと、課題を共有すること。そうした基本的な部分から少しずつ変えていきました。
2025年は、4年生と一緒に1部リーグ昇格を果たしたいという思いがありました。春季リーグでは昇格に届きませんでしたが、秋季リーグで優勝し、入れ替え戦にも勝利して1部リーグへの昇格を決めました。昇格が決まった瞬間は、キャプテンと抱き合って涙を流しました。高校野球を含めても、私の野球人生の中で最も印象に残っている出来事です。

——チーム運営で課題に感じていることは何ですか?
運営面での課題は、部員それぞれの意識や取り組み方に差があることです。もともと自由な雰囲気が強かったので、急に厳しい運営へ切り替えると、負担に感じる部員も出てしまいます。そのため、ルールを一つずつ増やしている段階です。
たとえば、活動への参加意識を高めるために、出欠管理や連絡体制を見直しました。欠席や遅刻をする場合は、理由にかかわらず事前に連絡するようにしています。休む前に一度連絡する習慣をつくることで、安易な欠席を防げると考えているからです。小さな取り組みですが、チームを部活動として整えていくうえで必要なことだと思っています。
資金面の課題もあります。年間で多額の部費を集めているわけではなく、大学からの助成金も使いながら活動しています。ヘルメットを新調するといった比較的小さな出費でも、活動に使える予算は限られています。合宿のような大きな活動も簡単にはできません。だからこそ、限られた環境の中で何を優先するかを考えながら運営しています。
——大学軟式野球を通じて学んだことは何ですか?
課題を自分たちで見つけ、話し合いながら改善していく大切さです。高校野球では、最終的に指導者が意思決定する場面が多かったと思います。しかし、大学軟式野球は監督がいないチームも多く、私たちも選手主体で考える場面が多いです。
試合で出た課題を部員同士で洗い出し、次の練習で何に取り組むかを決めます。練習試合の日程調整、連盟とのやり取り、ユニフォームや登録の管理、会計、広報なども学生が分担しています。
私は副主将としてチームに関わりながら、Instagramでの発信や、ゲームキャプテンとして、試合中の戦術面も担当しています。すべてを一人で抱え込むのではなく、得意な人が得意な役割を担うことが大事だと感じました。こうした役割分担があることで、チームが成り立っています。

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。
いつも応援してくださっている方々には、本当に感謝しています。OBの方が飲み物や食べ物を差し入れてくださることもありますし、Instagramを通じて他大学の保護者の方や、軟式野球に関わる方から声をかけていただくこともあります。そうした応援が、私たちの活動を支える大きな力になっています。
入部を考えている学生には、実力に自信があるかどうかだけで決めずに、まずは見に来てほしいです。私たちは強豪校出身の選手ばかりではありません。それでも、部員同士で課題と向き合いながら組織をつくり上げ、1部リーグに昇格することができました。
これからも、結果だけでなく「応援してよかった」と思っていただけるチームを目指します。