「教わる」から「自分の言葉で伝える」へ。学びを日々の練習に落とし込む組織づくりの裏側——京都教育大学アメリカンフットボール部
京都教育大学アメリカンフットボール部「GRAMPUS」は、部員全員が大学から競技を始めた未経験者で構成されるチームです。現在は関西学生アメリカンフットボールリーグ4部に所属し、2026年は「4部全勝・3部昇格」を目標に掲げています。
部員数や資金面の課題を抱えながらも、教育大学ならではの「教え合う文化」を生かし、一人ひとりが専門性を高めながらチームづくりに取り組んでいます。
今回は、主将としてチームを引っ張る渕上永遠さんに話を聞きました。

——京都教育大学アメフト部GRAMPUSは、どのようなチームですか?
京都教育大学アメリカンフットボール部「GRAMPUS」は、関西学生アメリカンフットボールリーグ4部に所属しています。2026年は、4部で全勝し、3部へ昇格することを目標に活動しています。
チームは選手12名、スタッフ4名の計16名です。学年別では、1年生7名、2年生4名、3年生2名、4年生3名が在籍しています。部員は全員、大学からアメリカンフットボールを始めました。
2025年は4部で全勝優勝を果たしましたが、3部との入れ替え戦で岡山大学に1点差で敗れました。2024年も、あとキック1本の差で入れ替え戦に届くという悔しい結果に終わりました。
あと一歩で昇格に届かない悔しい結果が続いているからこそ、2026年こそ3部昇格を実現したいという思いで、日々の練習に取り組んでいます。

——現在のチームには、どのような特徴や文化がありますか?
大きな特徴は、教育大学らしく「教え合うこと」を大切にしている点です。上級生が下級生に教えるだけでなく、1年生にも学んだことを積極的にアウトプットしてもらっています。
アメリカンフットボールは、プレーの意図や役割を理解することがとても重要な競技です。教わるだけでは知識が定着しにくいため、自分の言葉で他の人に説明する機会をつくり、競技への理解を深めています。
私自身も、2年生でディフェンスの副リーダーを務め、3年生では副将を経験しました。早い時期から自分の考えを言葉にし、周囲に伝える機会が多くありました。教える側に立つことで、自分自身の理解や競技力も高まっていくと感じています。
当たり前だと思っているプレーでも、細かく教え合ってみると、メンバー同士で認識がずれていることがあります。そうしたときは、「自分の言葉で説明してみて」と声をかけ、対話を重ねながら認識をそろえています。
このように、教え合うことを通じて一人ひとりの理解をそろえ、チーム全体の連携を高めています。
——競技未経験者が多い中での工夫を教えてください。
外部との関わりを積極的に持ち、チーム内だけでは得られない知識や技術を吸収することを大切にしています。連盟主催の勉強会に参加したり、社会人チームと合同練習を行ったりしながら、大学の外でも学ぶ機会をつくっています。現在は、社会人のXリーグで活躍するOBにコーチをお願いし、専門的な指導も受けています。
そのうえで、チームに今何が必要なのか、個々の選手にはどのような課題があるのかを話し合い、その内容をもとに日々の練習メニューを考えています。外部で得た知識をそのまま取り入れるのではなく、自分たちのチームに合う形に落とし込むことを意識しています。
一人ひとりがプレーの意図を言葉にして共有し、未経験からでも着実に実力を高めています。

——チームとして直面している課題は何ですか?
最大の課題は、部員数の少なさです。アメリカンフットボールはフィールドに11人が立つスポーツですが、2026年の選手は12名にとどまっています。
上位リーグのチームであれば、オフェンスとディフェンスで役割を分け、キック専門の選手も含めて、一人ひとりが専門性を高めることができます。しかし、私たちのチームでは、1人が複数のポジションを兼任する必要があります。その分、覚えることや練習量が増え、体力的にも時間的にも大きな負担になります。
資金面の課題もあります。アメリカンフットボールは、防具一式をそろえるだけでも約15万円かかります。遠征費や試合出場にかかる費用も重なり、活動資金が厳しくなる場面もありました。特に、新入生に対して十分な支援を行えないことは、チームにとって大きな課題です。
——人数不足や資金面の課題に対して、どのような工夫をしていますか?
人数不足に対しては、4年生が負担の大きいポジションを率先して担いながら、下級生を育てる体制をつくっています。特に、体の強さや戦術理解が求められるオフェンスラインやディフェンスラインには、経験のある上級生が入るようにしています。
一方で、1年生には複数のポジションを経験してもらい、チーム状況に応じて柔軟に動ける選手を育てています。少人数だからこそ、一人ひとりができる役割を広げることを大切にしています。
資金面では、OBからの寄付や地元企業からの協賛金を募り、活動費を確保しています。他大学のアメリカンフットボール部の事例も参考にしながら、自分たちに合った資金集めの方法を学んでいます。
新入部員の獲得にも力を入れています。過去の新歓イベントの参加状況を分析し、どのような企画や声かけが入部につながりやすいのかを考えています。効果的な集客方法を工夫しながら、入部率の向上を目指しています。

——これまでで印象に残っている出来事や、チームとして乗り越えてきたことはありますか?
2年連続で昇格を逃した直後の時期は、チームにとって大きな挫折でした。あと一歩のところで勝利に届く試合を落とし、モチベーションを保つことが難しくなりました。その結果、チームを離れるメンバーもいました。新歓活動が始まる前に仲間が減ってしまったことは、本当に苦しい経験でした。
チームとして状況を立て直すために、下級生との対話の機会を意識的に増やしました。ネガティブな気持ちが大きくなる前に、一人ひとりが何を感じているのかを共有するようにしています。
また、1年生が試合に出られない春リーグの期間には、6月に新入生向けの試合を組みました。実際に競技を体感してもらうことで、秋のリーグ戦に向けた目標を持てるように工夫しています。
——部活動での経験は、渕上さんの成長にどうつながっていますか?
教員を目指すうえで必要な「伝える力」は、大きく成長したと感じています。練習中は、相手の理解度や状況に合わせて、自分の言葉で説明する場面が毎日のようにあります。
私はもともと話すこと自体が得意ではありませんでしたが、毎日の練習を通して、相手に伝わる形で説明することができるようになりました。日常的に教え合い、仲間と意見を交わしながら課題を解決していく経験は、将来教員として人に教えるうえでも役立つと感じています。

——いつも応援してくださっている方々へ、メッセージをお願いします。
日頃から温かいご支援をいただき、本当にありがとうございます。私たちが活動できているのは、地域の方々やOBの皆様をはじめ、多くの方がチームを支えてくださっているおかげです。部員数の確保や資金不足など解決すべき課題は山積みです。それでも私たちの取り組みを応援してくださる皆様には、心から感謝しています。共にチームをつくってきた同期や、厳しい環境の中でも一緒に戦ってくれる後輩たちにも感謝しています。
2026年は、必ず4部で全勝し、3部昇格という結果を出します。支えてくださる方々に結果で応えられるよう、これからも全力で取り組んでいきます。引き続き、京都教育大学アメリカンフットボール部GRAMPUSへの応援をよろしくお願いいたします。