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選手兼任監督に聞く、六大学リーグ優勝へのチームづくり——早稲田大学軟式野球部

早稲田大学軟式野球部は、専任の指導者を置かず、グラウンドの予約から日々の練習メニューの作成まで、学生主体でチームを運営しています。現在は約40名の部員が在籍し、六大学リーグ優勝と全国大会での勝利を目標に掲げています。2026年のチームの特徴は、選手一人ひとりが勝利への強い熱量を持ち、自ら考えて行動できる主体性にあります。今回は、プレイヤーとしてグラウンドに立ちながら、学生監督としてチームを率いる藤野巧真さんに話を聞きました。

 

 

——早稲田大学軟式野球部について概要を教えてください。

 

私たちは、専任の指導者を置かず、学生主体で活動しています。現在の部員数は約40名です。

現在のチームが掲げている目標は、六大学リーグでの優勝と、全国大会で勝利を重ねることです。昨年は夏と秋の全国大会に出場しましたが、いずれも初戦敗退という悔しい結果に終わりました。その悔しさを踏まえ、まずは全国の舞台で勝ち切れるチームを作ることを目指し、新チームを始動しました。

ただ、最終的な目標は全国大会での勝利やリーグ優勝ですが、私がチームに繰り返し伝えているのは、「目の前の1点にこだわり、目の前の1試合を確実に勝ち切る」ということです。先の試合を意識しすぎると、目の前のプレーに隙や驕りが生まれてしまいます。1戦1戦、着実に勝利を重ねていくことが、結果的に良い成績につながると考えています。

 

 

——藤野さんが選手兼任で学生監督を務める理由を教えてください。

 

一番の理由は、将来的に野球を教える立場になりたいという思いがあったからです。両親が教員であることもあり、以前から教員として部活動の指導に携わりたいと考えていました。

また、高校時代に指導してくださった先生の影響も大きいです。先生が本当に楽しそうに指導されている姿を見て、私も野球を楽しく教えたいと強く感じました。そこで、大学生のうちに監督という役割を経験したいと思い、昨年の幹部決めの際に自ら立候補しました。

現在は監督としてメンバー選出や練習メニュー作成を行いながら、一人のプレイヤーとしてもグラウンドに立っています。そのため、練習中は外から指示を出すだけでなく、選手と一緒にノックを受けながら、同じ目線で声をかけることを意識しています。

卒業後は一般企業に就職する予定ですが、将来的には母校のコーチや少年野球の指導など、何らかの形で野球に携わり続けたいと考えています。

 

——選手と監督の両立で苦労していることは何ですか?

 

試合にプレイヤーとして出場しながら、監督としても常に考え続けなければならない点です。マウンドに立っている間は、自分のプレーや目の前の1球に集中する必要があります。しかし同時に、試合展開を頭の中で整理し、数イニング先を見据えた戦術も考えなければなりません。

次の回で代打を出すべきか、どこで守備固めに入るべきかなど、常に頭を働かせているため、試合が終わる頃には、身体以上に頭の疲労を感じます。幸い、自分で考えて動ける選手が多く、私が交代を告げる前にすでに準備を終えてくれていることも多いです。

また、私は中学・高校と硬式野球に取り組んできたため、軟式野球ならではの戦術も日々学んでいます。たとえば、軟式球は高く跳ねるため、ワンアウト三塁の場面であえて高いバウンドの打球を打たせ、ランナーを還すといった特有の作戦があります。レベルの高い草野球チームの動画などをSNSで見て研究し、参考になる情報をチーム全体に共有しています。

 

 

——チームにはどのような強みや特徴がありますか?

 

どんな状況でも前向きにプレーできる選手が多いことです。前年のチームは、相手に先制されたり点差を広げられたりすると、全体の雰囲気が沈んでしまう傾向がありました。しかし2026年は、ミスが起きても「次はこうしてみよう」と選手同士で声をかけ合い、前向きな雰囲気を作ることができています。

監督である私が指示を出す前に、自ら考えて行動できる選手が増えたことも大きな強みです。これまでは言われてから準備をする選手が多かったのですが、今はイニングの合間に自主的にダッシュを取り入れたり、ベンチ裏で素振りをしたりと、勝利に近づくために何ができるかを一人ひとりが考え、行動しています。

全員が勝利に向かって全力で取り組み、そのために必要な行動を自分たちで考え、実行できること。それが2026年度のチームの最大の特徴です。

 

——選手起用やメンバーとのコミュニケーションで意識していることは何ですか?

 

部員一人ひとりと丁寧にコミュニケーションを取ることを最も意識しています。約40名の部員全員と日常的に会話し、それぞれが何を考え、どのような目標を持っているのかを把握するよう努めています。そのうえで、選手の個性や強みをどうチームに生かせるかを常に考えています。

選手起用では、技術や日々の調子を見極めるのはもちろんですが、「この選手を出してミスが起きたとしても、自分が納得できるか」という基準を大切にしています。練習に取り組む姿勢やチームへの向き合い方も含めて総合的に判断し、後悔のない選択をするようにしています。

試合のメンバーから外れた選手へのフォローも重要です。なぜ今回は選ばれなかったのか、どのような技術を身につければ試合に出られるのかを、できるだけ具体的に伝えています。

モチベーションが下がっている選手に対しては、良いところを伝えながら、監督としてきちんと見ていることを示すようにしています。それによって、前向きな気持ちで練習に取り組めるよう働きかけています。同世代だからこその難しさもありますが、対話を重ねながら信頼関係を築くことを心がけています。

 

 

——これまでの活動で特に印象に残っている試合はありますか?

 

悔しい経験として印象に残っているのは、2026年春季リーグの明治大学戦と法政大学戦です。どちらの試合も、8回に逆転されて敗れました。

特に4月中旬の法政大学戦は、互いに3勝1敗で迎えた重要な一戦でした。勝てば1敗を守り、負ければ2敗に後退する状況のなか、終盤に逆転を許しました。この試合では、投手交代のタイミングなど、自分の采配が本当に正しかったのかと強く責任を感じました。自分の決断一つでチームの勝敗や成績が大きく変わるという、監督としての重圧を身をもって知った試合でした。

また、昨年の秋季全国大会で日本体育大学に2対1で敗れた試合も忘れられません。先輩たちにとって最後の試合であり、あと一歩で勝てる相手だっただけに、全員が大きな悔しさを感じました。この敗戦が、チームにとって「全国で勝つ」「日本体育大学のような強豪にも勝ち切る」という明確な目標を立てる原動力になっています。

 

——監督として感じるチームの課題と、その乗り越え方を教えてください。

 

現在の課題は、大きく二つあります。

一つ目は、試合展開の中で勝利が見えてきた時に、チーム全体に気の緩みが生まれることです。春季リーグでの逆転負けも、そうした隙が原因の一つだったと考えています。これを防ぐために、「ここからさらに引き締めていこう」と私から積極的に声をかけ、最後まで集中力を切らさないよう意識づけています。

二つ目は、一部の選手に、当事者意識がまだ十分に浸透していないことです。例えば、事務的なアンケートへの回答が遅れるといった細かな部分に、組織としての甘さが表れることがあります。一人ひとりが自分ごととしてチームに関わらなければ、強い組織は作れません。

こうした組織運営の難しさに直面し、春休みの負荷の高い練習期間には、「自分の言葉が響いていないのではないか」「自分が監督でよかったのか」と自信を失いかけたこともありました。その時に私を支えてくれたのが、キャプテンの松本です。彼は私の話をよく聞いたうえで、「こういう声かけをすれば、みんな前を向いてくれるのではないか」と的確なアドバイスをくれます。一人で抱え込まず、キャプテンと協力しながらチームの改善を進めています。

 

 

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。

 

日ごろから応援していただき、ありがとうございます。

早稲田大学軟式野球部は、専任の指導者を置かず、学生主体で活動しているチームです。私たちの代は選手が7人と少なく、チーム運営で苦労する場面もあります。しかしその分、部員一人ひとりが複数の役割を担い、全員で力を合わせながらチームを作っています。

学生が主体となり、六大学リーグ優勝や全国大会での勝利という高い目標に挑んでいることは、このチームの大きな魅力だと感じています。日々試行錯誤を重ねながら、自分たちで組織を動かしていく経験は大変ですが、非常に充実しています。

応援してくださる皆様には、学生主体のチームが勝利に向かって全力で戦う姿を、ぜひ見守っていただきたいです。

これから入部を考えている学生の皆さんには、自分たちの手でチームを動かし、目標を達成する喜びを、私たちと一緒に味わってほしいと思っています。これからも早稲田大学軟式野球部へのあたたかい応援をよろしくお願いいたします。