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六大学リーグ優勝へ。「パッション」を体現する学生主体のチームづくり——早稲田大学軟式野球部

練習メニューの作成から対外試合の交渉まで、学生が主体となってチームを運営している早稲田大学軟式野球部。東京六大学軟式野球連盟に所属し、体育会への昇格と六大学リーグ優勝を目標に活動しています。

チームのスローガンは「パッション」。わずかな休憩時間を使ってでも全員で素振りを行うなど、野球に対する熱量の高さが大きな強みです。その姿勢は、チーム最大の武器である打撃力にもつながっています。

資金不足という課題に対して、学生自ら渉外局を立ち上げ、解決に向けて動き始めています。目標達成に向けて自分たちで考え、行動する組織づくりの裏側について、キャプテンの松本優太さんに話を聞きました。

 

 

——早稲田大学軟式野球部について概要を教えてください。

 

早稲田大学軟式野球部は、東京六大学軟式野球連盟に所属しており、六大学リーグ優勝と全国大会での勝利を目標に掲げています。現在は大学の公認サークルですが、体育会への昇格を目指して活動しています。

同じ連盟には、すでに体育会へ昇格している大学が4校あります。私たちも、練習強度や競技への向き合い方において体育会に引けを取らない組織づくりを進めています。

チームには、社会人の監督やコーチといった外部指導者がいません。そのため、学生監督とキャプテンを中心に、練習日程の調整や場所の確保なども自分たちで担っています。練習試合の交渉や合宿の手配まで行うので労力はかかりますが、その分、部員一人ひとりがチーム運営に深く関われる環境です。

 

——チームとして掲げているスローガンについて教えてください。

 

チームがスローガンとして掲げている言葉は「パッション」です。これは2代前の先輩たちから引き継がれたもので、野球に対する熱量を大切にしようという思いが込められています。

試合に出る選手だけでなく、マネージャーも含めて、それぞれが自分の役割に責任を持って活動しています。学生主体でチームを運営しているからこそ、一人ひとりが「参加する側」ではなく、「チームをつくる側」として考え、行動することが求められます。

その姿勢は日々の練習にも表れています。以前はリーグ戦で勝てない時期があり、得点力を高めるために、バットを振る量を徹底的に増やす取り組みを始めました。打撃練習の待ち時間にはプラスチック製のボールを使って各自で打ち込み、キャッチボールとノックの間にある5分の休憩時間にも、グラウンド全体を使って全員で素振りを行っています。

限られた練習時間の中でバットを振る量を増やしたことで、スイングの強さが増し、得点力向上につながっていると感じています。

 

 

——学生主体でチームを運営する難しさと面白さはどこにありますか?

 

競技に取り組む立場と、チームをまとめる立場の両方を担うことが難しいと感じます。

学生監督も選手としてプレーしているため、自分の調子が良くない時期に周囲へ指示を出すことにためらいを感じることがあります。それでも、チームを前に進めるためには、必要なことを伝えなければなりません。

私自身もキャプテンとして、言葉で伝えるだけでなく、まずは自分の行動や結果で示すことを意識しています。また、練習や試合以外にも、グラウンドの手配や他大学とのやり取りなどを学生が担っているため、チーム運営には多くの労力がかかります。

一方で、自分たちで考えたことをすぐに練習へ反映できる点は、学生主体のチームならではの面白さです。。試合で出た課題を分析し、強い打球への対応が必要だと判断すれば、翌日の練習から実践的なメニューを取り入れることができます。

高校時代は、指導者の指示に従って練習する場面が多くありました。しかし大学では、目的を自分たちで考え、練習内容も自分たちで組み立てています。自分たちで考えた取り組みが試合での勝利につながったときには、学生主体でチームを運営しているからこその手応えを感じます。

 

——現在抱えている課題と、解決に向けた取り組みを教えてください。

 

現在は、資金不足が大きな課題です。練習用のバットが傷んでいても十分に買い替えられなかったり、合宿費の高騰によって参加を断念せざるを得ない部員が出たりと、日々の活動に影響が出ています。

この課題を解決するため、チーム内に渉外局を新設し、企業協賛の獲得に向けた活動を始めました。また、SNSで日々の活動やチームの取り組みを発信するなど、広報活動にも力を入れています。今後は、支援を募るプラットフォームの活用も進めていく予定です。

資金面だけでなく、組織面では新チームの団結力を高めることも課題です。当部は3年生の秋に引退を迎えるため、現在は3年生が最上級生の若いチームです。新チーム発足からまだ日が浅く、チームとしての一体感をこれからさらに高めていく段階です。

夏の練習や合宿を通じて、全員で目標や役割を共有し、試合や練習の中で一体感を持って動けるチームにしていきたいです。

 

 

——チームの熱量や仲の良さを象徴するエピソードはありますか?

 

チームの熱量を象徴しているのは、練習がない日でも部員が部室に自然と集まってくることです。

私たちは、主に火曜日と金曜日の午後、水曜日の午前に練習しています。ただ、練習がない日でも部室に行けば誰かがいることが多く、仲間と話すために部室へ集まる部員も少なくありません。

特に、私たちの1学年下には約20名の部員がいますが、学年全体のまとまりが強く、とても仲が良いです。練習時間外にも、夜に公園へ集まって自主的に素振りをしている部員がいます。近くに住んでいる選手同士で声を掛け合い、素振りをしたあとに一緒にラーメンを食べて帰ることもあります。

こうした関係が学年を越えて生まれているのは、リーグ優勝と全国大会出場という目標を全員で共有しているからだと思います。それぞれが本気で勝ちたいと考え、野球に真剣に向き合っているからこそ、自然とチーム全体のつながりも強くなっているのだと感じています。

 

——部員のモチベーションを保つために、どのようなコミュニケーションを取っていますか?

 

意識しているのは、試合に出ている選手だけでなく、控えの選手や休部中の部員とも継続的にコミュニケーションを取ることです。

前任の先輩方は、試合に出ている選手だけでなく、控えの選手一人ひとりとも丁寧にコミュニケーションを取っていました。その積み重ねがあったからこそ、試合に出る選手も控えの選手も、前向きにチームへ関われる雰囲気が作られていたのだと思います。

私たちもその姿勢を引き継ぎ、私と学生監督を中心に、選手と話す機会を増やすようにしています。資金面や人間関係の悩みから、モチベーションが下がってしまう部員もいます。現在休部している部員もいますが、定期的に連絡を取り、関係が途切れないようにしています。

役職決めの話し合いに参加できなかった部員にも、「いつでも戻ってきてほしい」と伝えています。休部中の部員にもチームの状況を共有し、戻りたいと思った時に戻りやすい関係を保つことを大切にしています。

新入生には、入部前の段階で「私たちは本気で勝利を目指すチームだ」ということを明確に伝えています。入部後に目指す方向の違いが生まれないよう、最初にチームの姿勢を共有するようにしています。

 

 

——最も印象に残っている試合は何ですか?

 

最も印象に残っているのは、2025年の全国大会初戦で日本体育大学と対戦した試合です。

日体大は、全国でも常に優勝候補に挙がる強豪校です。私たちはその前年の全国大会で日体大と対戦し、コールド負けを経験していました。

その試合では、その悔しさを胸にチーム全員で挑みました。最後まで緊張感のある接戦となりましたが、結果は1対2で惜しくも敗れました。あと一歩届かず、その試合を最後に当時の先輩方は引退しました。

試合後、宿泊先のホテルで先輩方が涙を流していた姿は、今でも強く印象に残っています。その悔しさと先輩方の姿があるからこそ、私たちは「次こそは全国の舞台で日体大に勝ちたい」という思いを持って練習に取り組んでいます。

 

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。

 

日頃から当部を応援し、支えてくださっている皆さまに、心より感謝申し上げます。

私たちは試合で勝つことはもちろん、日々の取り組みやチームの姿勢を発信することで、「応援してよかった」と思っていただけるチームでありたいと考えています。

今後はSNSや広報活動にも力を入れていきます。活動内容やチームの考えを分かりやすく伝え、応援してくださる方々とつながる機会を増やしていきたいです。

企業の皆さまとも、資金面でご支援いただくだけの関係ではなく、応援する意味や価値を感じていただける関係を築いていきたいと考えています。

学生主体で考え、行動し、全力で野球に向き合う私たちの挑戦はこれからも続きます。リーグ優勝と全国大会での勝利を目指して努力してまいりますので、引き続き温かいご声援とご支援をよろしくお願いいたします。