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北陸代表の先にある一戦へ。未経験者の力を活かすラグビー部の戦い方——金沢大学ラグビー部

金沢大学ラグビー部は、北陸リーグでの戦いを経て、全国地区対抗大会への出場を目指して活動しています。選手・スタッフ合わせて約50名の規模で、選手の約7割が大学からラグビーを始めた未経験者です。火・水・木の夜と土曜日の週4回、金沢大学北部グラウンドで練習を重ねながら、過去数年勝利できていない東海代表との決定戦に向けて準備を進めています。経験者だけに頼るのではなく、異なる競技経験を持つ選手が意見を出し合い、チーム全体で強くなることを目指す同部について、主将の村松篤さんに話を聞きました。

 

——金沢大学ラグビー部の目標について教えてください。

 

私たちが今年目標にしているのは、全国地区対抗大会(以下、地区対抗)への出場です。

地区対抗に出場するためにはまず北陸の代表となり、東海地方の代表チームとの決定戦に勝つ必要があります。北陸リーグでは、私たちはほぼ毎年優勝できています。参加校には、富山大学、富山大学医学部、金沢工業大学、金沢医科大学などがあります。北陸リーグでは継続して結果を残してきましたが、その先の決定戦が大きな課題です。過去5年ほどはそこで負け続けており、今年こそは決定戦に勝利し地区対抗への出場につなげたいと考えています。

年間の流れとしては4月が新歓期間です。そこから7月に行われる新潟大学ラグビー部との定期戦に向けて準備を進め、8月から9月にかけての夏合宿では、実戦形式の練習や、強豪との試合を通じてチーム全体の力を高めます。そして、11月から12月にかけて開催される決定戦と地区対抗に向けて仕上げていきます。

 

——普段はどのような環境で活動していますか?

 

練習は週4回です。火・水・木は授業が終わった後の18時半から、土曜日は朝9時から活動しています。練習時間は1回あたりおよそ2時間です。練習場所は大学に隣接している金沢大学北部グラウンドです。

部員は、新入生約10名が入部してくれ、選手とスタッフ合わせて約50名になりました。選手の中では大学からラグビーを始めた未経験者が多く、割合としては約7割を占めています。

人数だけを見ると一定の規模はありますが、全員が同じように練習へ参加できるわけではありません。学業や研究室、アルバイトとの兼ね合いで、参加できる日が限られる選手もいます。全員で集まれる時間が限られるため、練習では目的を明確にし、短い時間でも質を高めることを大切にしています。

 

 

——チームの強みは何ですか?

 

チームの強みは、大学からラグビーを始めた選手が自分の武器を見つけてプレーに生かしているところです。

金沢大学ラグビー部には、サッカー、野球、バスケットボール、バレーボール、水泳、陸上競技など、さまざまな競技出身の選手がいます。ラグビーは、走力やキャッチング、ステップ、ジャンプ力など、他競技で培った力を生かしやすいスポーツです。そのため、未経験から始めた選手でも、それまでの競技経験を自分の強みに変えながら活躍できます。

たとえば、バスケットボール経験者は、相手との接触を避けながらかわす動きに長けています。ラグビー経験者とは違うタイミングでステップを踏むため、経験者が、未経験者ならではの発想に刺激を受ける場面もあります。

経験者が未経験者に一方的に教えるだけではなく、未経験者の発想や動きがチーム全体のプレーの幅を広げています。経験の有無に関係なく意見を出し合い、それぞれの武器をチームの力に変えられるところが、金沢大学ラグビー部の特徴だと思います。

 

——地区対抗に出場するために、今後強化したい課題は何ですか?

 

大きく2つあります。1つ目はフィジカル面です。

国立大学である以上、食事やトレーニングのすべてが管理されている私立の強豪校とは、環境が大きく異なります。食事も筋力トレーニングも、基本的には自分たちで管理しなければいけません。

実際に、毎年の決定戦を振り返ると、スクラムやラインアウトなどのセットプレーで押し込まれて負ける場面が多くありました。戦術で工夫することはもちろん大切ですが、最終的にはフィジカルで負けない体づくりが必要です。

2つ目は、チーム全体の主体性です。今年のチームスローガンは「ACTION」です。

昨年は、一部の部員のリーダーシップに頼ってしまう場面がありました。全員が発言し、自分から行動できていなかったのです。その課題を克服するために、今年は「ACTION」を掲げました。一人ひとりが自分から動き、チームに関わることを大切にしています。

 

 

——フィジカル面の課題に対して、どのような取り組みをしていますか?

 

週2〜3回、持久力とフィジカル強化を目的としたフィットネスメニューを練習に取り入れています。

負荷の高いメニューですが、決定戦で勝つためには必要な取り組みだと考えています。特に夜の練習では、実践形式の練習やコンタクト練習の後にフィットネスを行うこともあり、疲労がある状態でも最後まで走り切る力を鍛えています。

メニューは全員同じではありません。体重100kgを超える選手と70kgほどの選手が同じメニューを行っても、負荷のかかり方は違います。選手ごとに適切な負荷をかけ、それぞれが限界まで追い込めるようにしています。

食事面では、カロリー計算ができるアプリを使い、自分の摂取量を管理する選手もいます。減量したい選手は1日の摂取量を抑え、増量したい選手は必要な量を食べるようにしています。

食事内容や摂取量の記録を共有するグループもあります。摂取量や食事内容を見える形にすることで、増量や減量に取り組む選手同士が互いに刺激を受けられます。

 

——普段の練習はどのような雰囲気ですか?

 

メリハリのある雰囲気です。

基礎的なメニューや遊びの要素を入れたメニューでは、笑い合いながら取り組むこともあります。ただ、コンタクト系の練習や、その日のテーマに関わる練習になると練習全体の緊張感が一気に高まります。コーチ陣が常に練習に立ち会っているわけではないため、日々のメニューは学生自身で考えています。

練習中には、給水のタイミングなどでハドルを組み、全員で話し合う時間を設けています。私が主将になってからは、特に下級生や未経験者の意見も聞くようにしています。

メニューを作った選手が狙いを説明し、実際に取り組む中で感じたことを共有することで、学年や経験に関係なく練習づくりに関われる雰囲気が生まれています。競技経験に差があるからこそ、全員で考えながら成長していくことを大切にしています。 

 

 

——国立大学ならではの難しさはありますか?

 

学業やアルバイトと両立しながら競技に向き合う難しさはあります。

チームには、研究室が忙しく、土曜日しか練習に来られない選手もいます。大学院生として研究を続けながら、ラグビーも続けている選手もいます。授業や研究に加えて、遠征費などを自分でまかなうためにアルバイトもしなければならない選手も多いです。

資金面の負担も大きいです。北陸リーグだけでなく、東海地方や関西のチームと試合をしなければ、自分たちの現在地を知ることはできません。しかし、こうした遠征には費用がかかります。バスの手配や宿泊費を含めると、1回の遠征で1人あたり2万円ほどかかることもあります。

その負担を少しでも減らすために、寄付を募る「ギビングキャンペーン」にも参加しました。部の活動を発信し、多くの方に知ってもらいながら支援を集める取り組みです。こうした機会も活用しながら、遠征や日々の活動を続けるための資金を集めています。

 

——大学ラグビーを通して、最も学んだことは何ですか?

 

最も学んだのは、仲間の大切さです。

以前は、自分が良いプレーをすればいいと思っていた時期もありました。高校時代には、自分の力が通用しなくなり、ラグビーをやめたいと思ったこともあります。大学に入ってからも本当はラグビーを続けるつもりはありませんでした。

それでも、大学のラグビー部の雰囲気や先輩方の姿を見て、もう一度ラグビーをしたいと思い入部しました。

入部後は、先輩やトレーナー、マネージャーに支えてもらい、後輩からも多くのことを学びました。

怪我でプレーできない時期には、声かけや助言でもチームに関われると感じました。その経験を通して、自分は一人でラグビーをしているのではなく、チームの一員として役割を果たすことが大切だと考えるようになりました。

 

 

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。

 

日頃から金沢大学ラグビー部を応援してくださっている皆さま、本当にありがとうございます。

私たちは、学業やアルバイトと両立しながら、地区対抗出場という目標に向けて活動しています。国立大学の部活動として、練習環境や遠征費などの課題もありますが、応援してくださる方々の存在が、チームにとって大きな支えになっています。
今年は「ACTION」というスローガンのもと、一人ひとりが自分から動き、チームを強くしようと取り組んでいます。これからも金沢大学ラグビー部らしく、未経験者も経験者も関係なく、全員で地区対抗出場を目指していきます。引き続き、温かいご声援をよろしくお願いいたします。