お問い合わせ

社員の8割がエンジニア。現場のこだわりを「実装」に繋げるトリプルアイズの技術力と組織力——株式会社トリプルアイズ

社員の8割以上がエンジニアで構成される株式会社トリプルアイズは、独自開発の画像認識プラットフォーム「AIZE(アイズ)」を展開する企業です。同社の技術の源泉は、かつての「囲碁AI」の研究にありました。2025年に代表取締役に就任した片渕博哉さんは、25歳・未経験で入社し、現場の最前線から約10年でトップに就任した経歴を持ちます。大手メーカーがひしめく市場で、なぜ後発の自社プロダクトが選ばれ続けているのか。独自の技術的優位性、失敗を歓迎するフラットな社風、そして今の学生に求める「発信力」の重要性まで、片渕さんにお話を伺いました。

 

 

——貴社の事業内容とミッションについて教えてください。

 

私たちは、AIソリューション、システムインテグレーション、GPUサーバーの3つの事業を展開しています。中でも注力しているのが、独自の画像認識プラットフォーム「AIZE(アイズ)」です。これは、カメラとAIを掛け合わせ、顔認証による勤怠管理や決済、さらにはアルコール検知やなりすまし防止などを行うサービスです。私たちのミッションは、最先端の技術を単なる研究で終わらせず、社会の具体的な課題を解決する「実装」までつなげることです。創業者がエンジニア出身であることから、「テクノロジーに想像力を載せる」という理念を掲げています。現場で本当に役立つサービスを自分たちの手で創り出すことを大切にしているのです。

 

 

 

——囲碁AIの研究が、なぜ顔認証システムの開発に繋がったのですか?

 

「AIZE」の技術的な土台は、かつて取り組んでいた囲碁AIの研究にあります。囲碁の盤面(19×19の交点)の状態を見て、どちらが勝っているかを判断する「局勢判断」というプロセスは、画像認識にも通じるロジックです。盤上の石の配置から特徴を抽出する技術を、人間の顔のパーツ(目・鼻・口など)を識別する技術に応用したのが始まりです。一見、盤面と顔は別物に見えますが、背後にあるAIの処理構造には共通点があります。この研究で培ったディープラーニングの知見があったからこそ、外部のAPIに頼ることなく、自社でゼロから精度の高い画像認識エンジンを構築することができました。

 

——大手メーカーと比較して、AIZEにはどのような独自の強みがありますか?

 

最大の強みは、自社開発だからこそ可能な「フルカスタマイズ」と「運用の柔軟性」です。私たちはあえて検索対象を「1,000人〜5万人規模」に絞っています。不特定多数を対象とする大手に対し、特定の企業や店舗という限定された環境では、私たちのシステムが最も高い精度と応答速度を発揮します。また、営業やカスタマーサクセスも自社で行っているため、現場のニーズを即座に開発へ反映できます。例えば、法改正によるルール変更にも迅速に対応可能です。この「顧客の声をすぐに製品に反映できる」体制により、解約率が極めて低く抑えられており、長期的な信頼を得られているのが私たちの特徴です。

 

 

——「エンジニア出身の社長」として、現場の声をどう経営に活かしていますか?

 

私自身、25歳で未経験から入社し、10年間エンジニアとして現場で経験を積んできました。だからこそ、経営判断においても、現場の解像度を高く保つことを意識しています。社員の8割がエンジニアである組織において、トップが技術を理解していることは、意思決定のスピードに直結します。新しいツールの導入や資格取得の支援など、現場が必要性が上がったものに対して「なぜ必要なのか」を技術的観点から即座に理解し、迅速に予算判断を下すことができます。単なる数字の管理ではなく、現場のこだわりが正当に評価され、プロダクトの質に反映される環境を作ることが、エンジニア出身である私の役割だと考えています。

 

——失敗を「ナイストライ」と捉える文化は、どのように浸透していますか?

 

私たちは、新しいことへの挑戦をする上での失敗そのものをとがめることはありません。IT業界は変化が速く、やってみなければ分からないことが多いため、失敗を恐れて動かないことの方がリスクだと考えているからです。挑戦の結果として得られたものは、たとえ失敗であっても本人やチームの貴重なデータになります。そのため、社内では失敗を「ナイストライ」と称え、そこから得たフィードバックを次にどう活かすかを議論する文化が定着しています。このフラットな環境があるからこそ、年齢や社歴に関わらず、誰もが「まずはやってみよう」と考えられます。この試行錯誤の積み重ねが、今の私たちの技術力を支えています。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

——これからの時代に求められるAIの姿とは、どのようなものですか?

 

私は、AIは「ドラえもん」のような存在であるべきだと考えています。便利な道具を提供してのび太くんを助けますが、実際に体験し、成長するのはのび太くん本人です。AIが人間の仕事や体験をすべて奪うのではなく、人がより価値のある活動に集中できるよう、後ろから支える。それが私たちの目指す「優しいAI」の姿です。2030年代半ばまでは効率化のためのAI利用が主流だと思いますが、その先は人間の感情やライフスタイルに寄り添うAIが必要になります。社会インフラを支える確かな技術を磨きつつ、常に「その先にいる人間」を主役にしたサービス設計を追求していきたいと考えています。

 

——トリプルアイズを共に創る仲間として、どのような学生を求めていますか?

 

今の時点で高度な専門知識がある必要はありません。それよりも大切にしているのは、自分の考えを言葉にして伝える「発信力」です。私たちの仕事は、チームでの開発が基本です。「これが好き」「これがやりたい」、あるいは「これは分からない」といった自分の意志を周囲に伝えられないと、ミスマッチが生じてしまいます。主体的に発信できる人であれば、私たちはその想いを形にするための環境やプロジェクトを全力で提供します。自分の手で世の中を便利にしたいという好奇心を持ち、言葉にできる人を求めています。

 

 

——学生へのメッセージをお願いします。

 

学生のうちに、生成AIを自分の思考を深めるパートナーとして、徹底的に使いこなしてみてください。同時に、実際に外へ出て多様な価値観に触れることも大切です。AIを使いこなすスキルと、実体験に基づく想像力。この2つがあれば、IT業界は最高に面白い場所になります。入社後の数年間の経験は、学生時代の知識の差を十分に埋めてしまうものです。だからこそ、今の自分に何ができるかではなく、これから何をやりたいかという熱量を大切にしてほしいです。変化を恐れず、私たちと一緒に次世代のスタンダードを創り出していきましょう。皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

 

片渕博哉
株式会社トリプルアイズ 代表取締役社長

1991年生まれ。東北大学理学部中退。2016年に25歳・未経験からエンジニアとして株式会社トリプルアイズに入社。開発業務に従事した後、囲碁AIのソフトウェア開発マネージャーや、現在の主力製品である画像認識プラットフォーム「AIZE(アイズ)」の開発責任者を歴任。AIエンジニア育成プログラムの立ち上げやDXS事業責任者を経て、2023年に執行役員に就任。2025年11月より代表取締役に就任し、技術者としての現場視点を活かした経営を推進している。