指示ではなく行動で巻き込む。誰もが輝く適材適所の組織づくりとは——白鴎大学サッカー部
関東大学サッカーリーグノルテに所属し、関東3部昇格を目指して挑戦を続ける白鴎大学サッカー部。
かつては、練習への参加率が低く、無断欠席をする部員もいるなど、チームとして苦しい時期がありました。
しかし、そこから数年かけて少しずつ立て直しを進め、今では新入生を含めて65名規模の組織へと成長しています。
支えているのは、学年を超えたつながりと、一人ひとりが自分の役割を持ってチームに関わる文化です。プレー面だけでなく、広報活動や対戦相手の分析、地域との交流など、それぞれが自分にできる形でチームを支えてきました。
苦しい時期を乗り越え、勝利を本気で目指す集団へと変わった白鴎大学サッカー部は、どのようにしてここまで成長してきたのでしょうか。今回は、その歩みと関東3部昇格への思いについて、キャプテンの上野豊季さんにお話を伺いました。

——貴団体について概要を教えてください。
私たちは、北関東3県と埼玉県のチームで構成される「関東大学サッカーリーグノルテ」に所属しています。関東3部の1つ下に位置する地域リーグです。現在の最大の目標は、本リーグで2位以上に入り、昇格戦を勝ち抜いて関東3部へ昇格することです。また、リーグ戦の合間に行われる天皇杯予選や総理大臣杯の予選にも注力しています。関東1部や2部といった上位レベルのチームと対戦できる貴重な機会であるため、自分たちの力で、その出場権をつかみ取りたいと考えています。
現在は2年生から4年生の45名が所属しており、新入生約20名が加わることで、総勢65名規模の組織となる予定です。普段は大学内の人工芝グラウンドにて、週4回の朝練と土日の試合に取り組んでいます。大半の部員が日中や夜間にアルバイトをしており、学業との両立を図っています。

——チームの強みや特徴について教えてください。
チームの強みは、練習では集中し、オフではしっかり楽しむメリハリと、学年を超えた仲の良さです。部員の多くが栃木県内の高校出身で、小学生の頃から互いを知っている選手も多くいます。
そうした昔からのつながりが大学でもチームの一体感を生み出しています。オフの日には学年でグランピングに出かけることもあり、いつも明るく活気のあるチームです。
一方で、ピッチに立てば全員が真剣にプレーに向き合っています。私たちは、見ている人がワクワクするような魅力あるサッカーを目指していますが、攻撃だけに偏っているわけではありません。守備では相手が嫌がるようなハードワークを徹底し、攻撃と守備のバランスを大切にしながら試合の流れをつかむスタイルを貫いています。練習後の自主練習でも、シュートの精度を競い合うなど、楽しみながらも負けず嫌いな選手が多いです。
——かつてのチームからどう変化したのでしょうか?
私が1年生だった4年前、チームはとても苦しい状況にありました。練習に参加する選手が少なく、無断欠席や遅刻を繰り返す部員もいる状態が続いていました。
しかし、そこから数年をかけて、チームは少しずつ良い方向へ変わっていきました。
その変化を象徴する試合が、アミノバイタルカップ関東大会です。1回戦の相手は、同じ栃木県内で関東3部に所属する作新学院大学でした。10年以上勝てていない相手だったこともあり、当時の4年生の中には「勝つのは難しい」と感じていた選手もいました。
それでも試合本番では、チーム全体に「絶対に勝つ」という強い気持ちが生まれ、見事に勝利をつかむことができました。
試合後、かつては練習にほとんど来ていなかった4年生たちが、必死に戦い抜いた末に涙を流していました。かつて低迷していたチームが、勝利に本気でこだわり、涙を流すほど強い思いを持つ集団へと変わったのです。
その姿を見たとき、チームが大きく成長してきたことを強く実感しました。
続く2回戦も突破し、3回戦では関東1部の日本大学と本気で戦えたことは、私たちの歴史に確かな一歩を刻んだ出来事だったと感じています。

——一人ひとりが役割を持てる組織を、どのように作っていますか?
私が理想としているのは、部員全員がそれぞれの力を最大限に発揮できる環境です。競技レベルに関係なく、チームに所属している以上、誰にでも活躍できる場があるべきだと考えています。
たとえば、試合出場の機会が限られている選手でも、広報活動に力を入れたり、対戦相手の分析を徹底したりすることで、チームに欠かせない存在になることができます。現在は、そうした役割を新たにつくり、役割が形だけで終わらないよう、実際にチームへ還元できる仕組みづくりを進めています。
また、組織運営では「複数リーダー制」を取り入れています。現在は3年生と4年生から計3人のキャプテンを置き、その下に複数の副キャプテンを配置しています。リーダーを増やすことで、より多くの選手が責任を持ってチームに関われるようにすることが狙いです。
私自身もキャプテンとして、後輩に任せきりにするのではなく、一緒に走りながら取り組むことで、自分と同じ熱量でチームを引っ張る仲間を増やしていきたいと考えています。
——地域との交流活動について教えてください。
年に1回、宇都宮大学との定期戦を開催しており、併せて地域の子どもたちとの交流企画を実施しています。昨年は小学生のカップ戦を開催し、今年は、大学生が追跡役となって子どもたちと楽しむ「逃走中」形式のイベントを企画しました。子どもたちに体を動かす機会を提供し、「楽しかった」「参加してよかった」という声をいただけたことは、私たちにとっても大きな喜びです。今後は、地域のスポーツ少年団へボランティア指導に赴く計画も進めています。
こうした活動を通して、社会に対して自らが何を提供できるのかを真剣に考えるようになりました。地域社会への意識が自然と高まり、応援してくださる方々の存在が、日々の厳しい朝練を乗り越え、ピッチで戦うための大きな原動力となっています。

——今後の組織課題をどう捉えていますか?
組織面での最大の課題は、全員の当事者意識を高めることです。人数が増えるほど、どうしても人任せになったり、自分には関係ないと感じてしまったりする場面が出てきます。
だからこそ、やってみたいことや良いアイデアがあれば、まずは自分から発信して行動に移すことを大切にしています。一人ひとりが主体的にチームに関わることで、組織のまとまりや環境はさらに良くなっていくと考えています。
競技面では、AチームとBチームの両方のレベルアップが急務です。誰が試合に出ても同じレベルで戦える選手層の厚さがなければ、関東3部昇格という目標は達成できません。
一人ひとりの主体性を高めることと、チーム全体の競技力を上げること。この2つを同時に進めていくことが、これからの大きなテーマです。
——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。
日頃から応援してくださる皆様には、私たちの試合や日々の活動が、皆様の日常の楽しみの一つになれば嬉しく思います。皆様のご期待に応えられるよう、ピッチで結果を示し続けてまいります。
そして、これから入部を検討している新入生の皆さんへ。現在の私たちは、非常に前向きなエネルギーに満ちた、成長段階のチームです。この環境に身を置いていただければ、サッカーの技術のみならず、人間としても大きく成長できると自信を持って伝えたいです。私たちと共に、さらなる高みを目指して歩んでいきましょう。