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少人数×攻守兼任で挑む。課題を強みに変える学生たちの挑戦——東京学芸大学アメリカンフットボール部

教員を目指す学生が多く学ぶ東京学芸大学で、1974年の創部以来、活動を続けているアメリカンフットボール部。現在の所属学生数は32名で、そのうちほとんどが大学から競技を始めた未経験者です。過去にはリーグ戦で全敗するという厳しい結果も経験しています。しかし、その全敗をきっかけに組織の基準を見直し、現在は1部リーグ(BIG8)への昇格という目標に向かって活動しています。限られた人数の中で、いかにして目標に向かい、周囲から多くの支持を集めているのか。学生たちの実際の葛藤と成長の過程を伺いました。

 

 

——貴団体について概要を教えてください。

 

私たちは1974年に創部し、現在は計32名(3年生10名、2年生12名、1年生10名)で活動しています。文系と理系の割合はおよそ6対4で、教員養成大学であることから、真面目で何かに本気で打ち込みたい学生が集まっています。

チームに根付いているのは「全力で取り組むことが当たり前」という価値観です。部員同士は良好な関係を築いていますが、練習が始まると雰囲気は一変します。グラウンドに入る前には必ず全員で集まり、声を出して意識を一つにしてから練習を始めます。また、世代を超えた繋がりも深く、平日に遠方からグラウンドまで足を運んでトレーニングを指導してくださる卒業生の方もいます。こうした周囲の方々との継続的な関わりが、私たちの土台になっています。

 

 

——未経験者が多い中で、どのように練習を進めていますか?

 

今年のチームは、大学からアメリカンフットボールを始めたメンバーが全体のほとんどを占めています。コンタクトを伴うスポーツであるため、最初は誰もが心理的なハードルを感じます。その課題を解決するため、独自の育成期間を設けています。

新入生は最初の1から2ヶ月間、上級生や専門のトレーナーと一緒にコンタクト専用の別メニューに取り組みます。最初は軽く当たる程度からスタートし、少しずつ強度を上げていきます。怪我を防ぎながら段階的に体を慣らしていくことで、コンタクトに対する抵抗感を減らし、未経験者でも早くから試合に参加できるようになります。

 

——チームとして大切にしているルールはありますか?

 

弊部では、ミーティングや練習前の活動の5分前には必ず集合し、1分前にはいつでも開始できる状態を作ることを組織の基準にしています。これは単に規律を厳しくしているのではなく、競技の特性に直結しているからです。

試合中は1つのプレイが終わってから、40秒以内に次のプレイを始めなければなりません。常に時間に追われる状況で正確に動くためには、日常の時間を守ることが不可欠だと考えています。私たちは過去のリーグ戦で全敗を経験したからこそ、「当たり前のことを、当たり前に徹底する」という基本に立ち返りました。

 

 

——チームとしての課題はありますか?

 

現在は人数が少ないため、一人あたりの役割が多くなるという課題を抱えています。例えば、以前はトレーナーが担当していたテーピングを選手自身が巻くようになったり、スタッフの業務量が増加したりしています。学年によって活動への意識に差が生じた際には、練習後に一緒にウエイトトレーニングをしながらじっくり話を聞き、課題や悩みを解消できるようコミュニケーションを取っています。

一方で、少人数だからこその強みもあります。多くの選手がオフェンスとディフェンスの両方を担当するため、相手の意図を理解しやすくなり、戦術の幅が広がります。また、プレイヤーとスタッフの距離が近く、学年に関係なく意見を交換できる風通しの良さも、私たちの組織としての武器です。

 

 

——部活動を通じて、どのような成長を感じていますか?

 

競技の技術以上に、社会に出てから役立つ力が身についていると実感しています。例えばスタッフは、外部企業への協賛依頼やSNSの運用、資料の作成など、学生のうちから実務に近いビジネス経験を積むことができます。プレイヤーも、コーチや目上の大人の方々と対等に意見を交わし、厳しい指摘を素直に受け入れて改善するプロセスを繰り返します。

卒業後は約半数が教員に、残りの半数が一般企業へ就職します。先輩との繋がりから協賛企業へ就職するケースも多いです。どの道に進むとしても、ここで学んだ「目標に向けて粘り強く取り組む力」や「周囲と協力する力」は、必ず活きると考えています。

 

——多くの応援を集める理由を教えてください。

 

私たちの試合には、多い時で200人近くの卒業生や地域の方々が来場されます。この集客の背景には、日々の地道な発信活動の結果あると感じています。

資金や応援が必要な時だけ連絡をするのではなく、1年を通して常にチームの状況を発信しています。週に1回はSNSやチャットツールで練習の様子を届けたり、いただいた差し入れを選手が使っている写真を添えてお礼を伝えたりと、感謝を言葉や行動で示すようにしています。試合中も、良いプレーをした選手の名前をスタンド全体で呼んでメガホンを叩く独自の応援スタイルがあり、その声援がチームにとって大きな原動力となっています。

 

 

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。

 

日頃からチームを支援してくださっている企業の皆様、卒業生の皆様、そして保護者や地域の皆様、感謝申し上げます。皆様からの継続的なご支援があるからこそ、私たちは活動に専念することができています。

皆様からの期待に応えるため、今年は「全勝BIG8(1部リーグ)昇格」という目標を掲げました。部員一同、競技面でも人間面でも成長できるよう、誠実に日々の練習に取り組んでいます。これからも結果で恩返しができるよう、全力で活動してまいりますので、引き続きご支援とご声援をよろしくお願いいたします。